113話目
それは何度目のことであろうか・・・
「ゆ、許してくれ!!!」
今度は影が土下座をしているのだが、
見事なくらい額を地面にこすりつけていたのである・・・
・・・なんか・・・
哀れで仕方がないな・・・
俺はすでにそんな気持ちになっており、
これからこの男を暗殺することに憐みを覚えていた・・・
むしろ見逃してあげたほうがいいのでは?とさえ、思えてきていたのである。
そんな中で事件は起きた!!
「ふははは、これで貴様も最後だ!!」
そういって、いつものように立ち上がったと思ったら、
剣に向かって突進をかますバリティッシュ男爵。
バキン!!!
ただ、今回は違った!!
突進をした直後、何かが折れる音がしたのである!!!
俺の位置からはハッキリと見えた!!
なんとソウルイーターが折れたのである!!!
「ば、バカな!?」
驚きとともに、まだその勢いが完全に止まっていないバリティッシュ男爵は・・・
ドーーーン!!
・・・見事に木の幹へと突進するのであった・・・
「わが人生・・・一片の悔い・・・しかない!!」
そう言い切って倒れこむバリティッシュ男爵・・・
「・・・まあまあ、気を失うにしてはセリフを言い切ったな・・・。」
そういいながら、俺は影に近づいていて、
とりあえず起きていないかを確認するため
剣を鞘に入れた状態で、バリティッシュ男爵をつつくのだが、
特に反応はない。
どうやら完全に気絶をしているらしい。
「・・・兄ちゃん・・・。」
どうやらポテトも俺と同じ気持ちになっているらしい・・・
その声には憐みを含んだ声になっていた・・・
ポテトの言葉の続きとしては、
「バリティッシュ男爵を見逃さないか?」
そんな言葉だろう。
だが!!俺たちは暗殺者であり、
こいつを見逃すということは、俺たちの失敗を意味するのだ!
そうなるとどうなるか!!
そんなの簡単だ・・・今度は俺たちが暗殺される側に回るだけだ!!
だから、俺は心を鬼にして実行しなくてはならない・・・
たとえどんなに相手が哀れに思えるような男だったとしても・・・
「・・・俺たちはやらなければ、今度は俺たちがやられる側なんだよ。」
そういうと、ポテトは押し黙ってしまうのであった。
俺は、自分の剣を鞘から抜いて、ゆっくりと持ち上げていく。
こうなれば・・・一思いに殺してやるのが思いやりだ!!
「さらばだ!!」
俺が短い言葉を発して、上げていた剣を振り下ろそうとした時であった!!
「残念ながら・・・
本当に残念なのですが・・・
それをさせる訳にはいかないのです。」
そんな声が聞こえたと同時に、俺の目の前には黒い影が現れたのである!!
「な!?」
思わず俺は声が漏れてしまうけど、
今までこんな影がどこにもなかったのに
急に現れてしまったのなら、驚きの声が漏れるのは当然だ!!
だが、俺は驚いたとは言え、任務は果たす!!
すぐに剣を振り下ろそうとしたのだが・・・
「もしかして・・・お探しのものはこれですか?」
そう言われて、俺ののど元にひんやりとした何かが当たるのを自覚した。
そして、俺の今の今まで掴んでいたはずであろう剣が、
自分の手の中にないことを・・・
「ば、バカな・・・。」
こいつに俺の剣は取られたというのか!?
いつだ!?
いつそんな隙があった!?
しっかりと握っていたんだぞ!?
それがなぜないんだ!!
頭の中が混乱するが、それでも俺は動くことを止めない!
瞬時に俺は蹴りを入れるのだ!!
その蹴りによって・・・俺は、ソウルイーターの剣が突き刺さっている木へと
目の前の影を吹き飛ばす!!
「・・・へぇ。」
そんな感心したような声がその影から洩れるのだが、
その影は、俺の思惑通りに剣へと当たる・・・が!!
バキバキバキ!!!
なぜか剣が砕けるような音が聞こえてくるのであった!?
何が起きているのかが理解できない!!
だが、それでも俺の思考は止まることはない!!
「引くぞ!!ポテト!オルアシ!!」
そう叫ぶと俺は、振り返ることなく、
一目散に事前に決めてあった落ち合う場所へと逃げ出したのである!!!
ポテトとオルアシの姿は確認していないが、俺と一緒に走ってくる音は聞こえてくる!!
そして、すぐに俺たちは月明かりで照らされている落ち合う場所にたどり着いたのだが・・・
「あらあら、こんな夜中にオルアシから私の元に来てくれるなんて嬉しいですわ。」
そんな言葉を発して、こんな場所にはふさわしくない
毒々しいまでの赤いドレスを着た女性がいたのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




