10話目
「我々からの要望は、こちらの村に住んで欲しいという要望です。」
「「へ?」」
レイはともかく、なぜ領主も間の抜けた声を出すんでしょうかね・・・
レイが金銭を出すということは不可能なんですから、
だったら、次に提供できるのはその身しかないでしょう。
それなら、ここから一時間ほどの場所を開墾をしようとしているんだから、
ここに住んで一時間歩いていくことも可能でしょうに・・・
「ちなみにレイ殿の村には人は何人おられますか?」
「・・・は、はい、全員で50名ほどです。」
「ならば、うちの村での収容は問題ないです。
運のいいことに今なら100人ほどの住む場所の確保が可能ですからね。」
ニッコリと私はレイ殿に微笑む。
そして、ここで考える隙を与えてはならない!
「そうしていただけるのなら、我々は無償で助けに向かいましょう!」
その言葉を聞いたレイ殿は目を輝かせる!!
逆に分かり易いくらい驚いているのは・・・領主だ・・・
鳩が豆鉄砲を食ったような顔というのはまさにこの顔をいうのでしょう・・・
「ちょとまて!サーター!!なぜ赤の他人のためにこちらが命をかけねばならないんだ!?」
「当然、こちらのメリットがあるからでございます。
ここで村人を助ければ、こちらに村人たちが住みます。」
「だからどうした!!」
・・・結構なメリットだと思うのですが・・・
どうしよう・・・この領主・・・
ちょっとは思考するってことを学んで欲しいのですが、
今からでも教育したらできるようになるでしょうかね?
まだ10代だし、何とかなる・・・かな・・・
よし!明日からの教育のメニューに自分で考えるという勉強をさせましょう!!
頭の中のメモ帳に書き留めながら、話を続ける。
「そうなれば、このバリティッシュ村の人口が100名から150名へと大幅に増えます。」
「ふぅ~ん?それが?」
・・・・は!?
いかんいかん、それが?って返ってきたことに言葉を失ってしまいましたよ・・・
どうしましょうか・・・
このバカにメリットを話すのがなんだか大変な気がしてきたんですけど・・・
・・・あ!?
いいことを思いつきました!
「領主様・・・人口が増えるということは・・・
村に女性が増えるということです。」
「よしやろう!今すぐやるぞ!!」
そうか・・・これが必要だったんですね・・・
俺は脳内メモに更に追加する。
領主の操作方法は、自分の欲求を満たすことを提案すればOKだと・・・
「それではすぐにゴブリン討伐へと向かいましょう。」
「・・・あ!?ゴブリン討伐か・・・。」
「はい、それが何か問題でも?」
「・・・いや、俺・・・村から出るとダメダメ病が発症してしまってな、
ひどい時にはくしゃみが止まらなくなって・・・。」
「大丈夫です!くしゃみで死ぬなら本望でしょう。」
「そんなことは全然本望じゃないわ!!
そ、それに俺は、今まで黙っていたが、一時間も歩けないんだ。
昔魔物を倒した時に負った古傷があって・・・。」
「ないので大丈夫です!」
「いや、ちょっとまて!ここに小さな傷が・・・。」
「そこの傷は、村人の女性が川で沐浴をしようとしたところを覗こうとして、
足を滑らせてできた傷ですよね?」
「な、なぜ知っているサーター!?
・・・い、いや!ご、ごほん!!うううん!あああ!
ちょっと喉が詰まった感じがするなぁ~・・・。よし!元に戻ったぞ!
そ、そんなことはしていないからな!!」
「そうですか?それも若い女性かと思って、覗いたのにちょうど大ババ様で・・・。」
「ああ!!あああ!!あああぁ~♪
おお!やっと喉の調子が戻ってきた!
さて、その話はよく分からないからここまでだ!」
私が真実を喋ろうとしたところで、声をかぶせて必死に邪魔をする領主・・・
「・・・それでは派兵をいたしましょう。
行くのは私と・・・。」
「サーターが行くのか!?他の者に頼めばいいではないか!?
俺の傍にはじゃあ、誰がいるというのだ!?」
「え?大丈夫です!」
「なにがだ?」
「行くのは私と・・・
領主様ですから!」
「・・・。」
私の言葉に呆然とする領主・・・
「どうやら納得されたようなので、これでレイ殿の村は安泰ですよ。」
そう私がレイ殿に伝えると、
「は、はぁ~・・・。」
そんな間の抜けたような返事を返してくるのであった。
・・・こいつもうちの村に来たら再教育決定ですね・・・
そこは「ありがとうございます!」と返すものでは?
わざわざこのバカを説得してやってるのに、そんな間抜けな返事とは・・・
まあ、人口が1.5倍に増えるというメリットがあるのでいいですけどね。
「ちょ、ちょっとまてサーター!?俺が行くというのか!?」
驚いたような表情を浮かべるが、すでに説得するすべは心得ている・・・
私は顔を領主様の耳元に近づけて、
「向こうの村の女性の前で、魔物討伐をしたら・・・・。」
ゴクリと唾を飲み込む領主、
「し、したら?」
「領主様の元にどれほどの女性が来るか分かりませんね~。」
「よし!いくぞ!今すぐ行くぞ!!出発の準備をしろ!!
サーター!!何をしている!すぐに出発だ!!
ここで無駄な時間を過ごしている間にも狡猾なゴブリンどもが
動きだしているかもしれないじゃないか!!」
・・・これ・・・これからも使えそうですね・・・
また脳内メモに記憶しておこう・・・
こうして、我々はレイが開墾し始めた村へと向かうのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




