107話目
その影の正体は知っている。
先ほど俺たちに助言をくれた男だろう。
だから、俺は同志に対して警戒することなく、
差し出された手を握って立ち上がるのであった。
「ありがとう。」
そういうと、
「・・・ふ・・・・同志だからな!当然だ!!」
ちょうど藪のところ周辺には木が覆い茂っていることもあって、
薄暗くなっており、同志の顔が見えないのだが、
なぜか口元付近が輝いているように見えた。
それ以外のところは何も見えなかったのだが・・・
俺たちはそのまま熱い握手を交わしたのちに、
各々が帰る方向へと消えていくのであった・・・
「兄ちゃんすごかったな!!あんなナイスバディな修道女がいるなんて!!
俺・・・今度見かけたとき、襲わない自信がないよ!!」
「やめておけよ。俺たちはここに暗殺に来たんであって、
問題を起こしに来たわけじゃないからな!」
「・・・わかったよ・・・。」
どうやら俺の言葉を聞いて本来の目的を思い出してくれたのだろう。
ポテトは素直に俺の言葉に従ってくれるのであった。
確かにポテトの思いは理解できる。
おいおい!っと思ってしまうくらいのセクシーボディだった!!
っというか、修道服はあんなに隠すものなんだな!!
あのボディをしっかりと隠して、
おとなしい感じにまでするとは・・・
意外な発見に感心してしまう。
って、そんなことじゃない!!
本来の目的を忘れていたぞ!!
「俺たちはバリティッシュ男爵が来るのを見張っていたんだ!!」
「ああぁ!?」
今、思い出したような声を上げるポテト!
いや・・・まあ・・・俺も今思い出したのだが・・・
完全に修道女にすべてを奪われてしまっていた・・・
「どこかにいたか?」
「・・・わかんないよ。」
「確かにな・・・。すぐそばにいたあの男にすら気づかないんだからな・・・。」
隣にいた同志にも気づかない・・・いや、気づけないほどの暗闇が
あの藪付近にはあった。
・・・だから、覗けたのだけど・・・
「また次の機会にあそこで張り込みをしなくてはいけないな。」
「本当に!?」
暗闇で見えないが、ポテトの目はキラキラとしていて、
さらには顔は満面の笑みになっているだろうと
予想ができる返事の勢いだ!
「いいかポテト、俺たちは・・・。」
そこまで言いかけたところで、闇に覆われていた場所から
やっと外へと抜け出せて俺はポテトの姿を視認することが出きるようになった!
ただ、視認したポテトの姿に何かを言う前に
すでに俺が話している言葉は止まることはなく、
「仕事に来ているんだ!浮ついてるんじゃないぞ!!しっかりしろ!!」
そう伝えるのだが・・・
「・・・兄ちゃん・・・。」
「なんだ?」
「鼻血を垂らしながらそういわれても・・・。」
そういわれて俺はあわてて、自分の手を鼻の下にあてると、
ネチャリとした感触がするのであった。
そのまま自分の手を目にうつる位置まで持ってきて、
自分の手を確認するのだが・・・
確かに真っ赤に血に染まっていた・・・
っていうか、
「ポテト、お前の顔も・・・服まで鼻血で染まっているぞ。」
そう!
俺が暗がりを抜けて第一声に言いたかったのは、
鼻血で服まで汚しているポテトにツッコミを入れたかったのである!
ただ、先にポテトに言われるとは・・・
というか、俺もそんなことになっているとは、
予想だにしていなかったよ・・・
どんなに仕事が大事だといっても
修道女の裸体を見て、鼻血を垂らしていたら
なんの説得力もないわな・・・
っというか、さっき薮のところで滑ったのも
もしかしてこの鼻血のせいだとでもいうのだろうか!?
あわてて自分の服を見るのだが・・・
マジかよ・・・
足元の靴にも赤い血がついており、
当然ズボンにも赤い血が付いていたのであった・・・
きっと男3人で仲良く鼻血を流していたのだろうな・・・
あまりに滑稽な姿を想像してしまうのであった・・・
ちなみに・・・
翌朝、バリティッシュ男爵の屋敷を確認しに行った時のことである。
洗濯物が干されている一角に・・・
真っ赤に染まった服を洗っているメイド?おばちゃん?・・・おばあちゃん?を
見かけてしまった!!!
・・・どうやら・・・
同志がバリティッシュ男爵のようだ・・・
確かにバリティッシュ男爵はいたな・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




