100話目
俺たちは、とある貴族に雇われたしがない暗殺者だ・・・
「なんで兄ちゃんが“しがない”んだ?」
そんな風に無邪気に俺に聞いてきたのが、
次男であるポテト、その後ろには無言でこちらを向いて、
ポテトの言葉に同意するようにうなづいたのがオルアシだ。
そして、俺はこの3兄弟の長男であるスカイだ!!
「そもそも”しがない”ってなんだ?」
・・・まだその質問は続いていたんだな・・・
正直に言って、このバカに言葉を教えたところで・・・
「しがないってのは・・・取るに足らないって意味だ。
今回の場合だと、俺たちは貴族に雇われた身だからな、
所詮雇われの身だし、それも断ることもできなかったって意味だよ。」
「すげえな!!あんちゃん!
さっきの短い言葉にそんな意味を込めてたなんて!!」
そういいながら目を輝かしてくれるのだが・・・
「ところであんちゃん・・・
さっき言った言葉って何だったかな?」
・・・やはり意味を教えるのなんて無駄だったんだ・・・
ほんの数秒前に俺に聞いた言葉すら覚えていられないってことは、
どんなに教えたところで、すべてわからなくなってしまうことが
否が応でも容易に理解できてしまう・・・
だ・か・ら!!
ポテトに言葉を教えるなんて無駄なんだよぉ~!!
「・・・気にするな。」
そういいながら、優しくいさめるのだが・・・
いらなかったな・・・
やっぱり・・・
まあ、いい。
今は目の前の仕事に集中するべきだろう。
こんなことでため息をついても仕方がない。
「お前たち、覚えているか?この村に来た理由なんだが・・・。」
「おいしいものを食べに!!」
元気よく俺の質問に答えてくれるポテト・・・
「・・・。」
無言で何かを訴えてくるオルアシ・・・
まずは・・・
ポテトよ・・・
俺たちの職業を何だったのかを思い出してもらえるかな?
俺たちは泣く子も黙る暗殺者だぞ!!
決して美食家ではないぞ!!
それと観光でこの村に来ているわけではない!
だから、おいしいものを堪能しに来たわけでも食べに来たわけでもない!!
どうして・・・そんな結論に至ったのか・・・
それと!オルアシ!!
無言って!?
・・・しかも、その無言で何かを伝えたいようなのだが、
俺にはその無言では全く伝わらず!!
で!!
俺をものすごくオルアシは睨んでくるのだが・・・
・・・あれ?
もしかして・・・俺が悪い?
無言で何かを訴えてくるオルアシの考えを読めない俺が全面的に悪いのか!?
「・・・はぁ~・・・・。」
しかもため息をつきやがったし!?
いやいや、俺は全く悪くないだろう!!
そもそも無口なだけで、話せないわけではない!!
つい先日のことであるが、王都からこちらの村に向かって
出発する晩のこと、
「俺と一緒に・・・朝日を見ないかい?」
居酒屋で飲んでいた時に、たまたま隣で食事をしていた女性に対して
第一声にそんな言葉をかけていたよな?
しかも“俺と一緒に”って言った後は、じっと相手を見つめて
わざわざ間を開けてまでして!!
いやぁ~うまい!その間がいいぞ!!
・・・って、きっちりしゃべれるだろうに!!
どうして俺たちの前では無言なんだよ!!
「・・・。」
それでも無言のオルアシに対して、
「オルアシは、シャイなんだ。
だから、言葉を話すのにためらいがあるんだよ!」
そういって優しくフォローをするポテトだが・・・
いやいや!お前もオルアシがナンパしているときに、
横にいただろう?
饒舌に女性と会話していたじゃないか!
なんで、それでシャイなんだよ!?
どこにシャイの要素があった!?
それに嬉しそうにポテトの言葉にうなづいてるんじゃないぞ!オルアシ!
ただ、しゃべるのがめんどくさいだけってのは俺はわかってるんだからな!!
頭をポテトになでてもらいながら、
嬉しそうな顔をするオルアシに言うのだが、
まったく俺の言葉が通じている気配はない・・・
俺・・・こいつらとやっていけるのだろうか・・・
ただただ不安だけが頭をよぎっていくのであった・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




