フワリのお出掛け
『2人共起きてー暇なのー!』
リリーとスフィアが部屋で昼寝していて、なかなか起きてくれないの。
旅の疲れがあるかも知れないので、
寝かせてあげたいのですが非常に暇なの。
『んー、お出掛けをしようかな・・・』
仕方がなく私は空いている窓から出て、お出掛けをする事に決めた。
と、言っても何をしよう?私はお金を持っていないので何も買えませんし、
見たい観光場所は昨日のうちに全て見終わったのでやる事がないの。
露店が並んである道を飛んでいる時に、
一軒の露店に美味しそうな苺が、沢山並んでいるのを発見したの。
『わぁ!新鮮で美味しそう!』
後でリリーに買って貰おうかな?今は素通りをしようと思ったら、
その露店の店主に声を掛けられました。
『そこの可愛い妖精ちゃん!苺を食べていかないかい?』
食べたいけどお金を持っていないから後で来ますと返事をすると、
予想にもしてなかった言葉が返ってきました。
『一個だけなら無料でいいぞ!』
見た目は厳つく髭を生やして怖い男性でしたが、とても優しい方でした。
好きな苺を選んでいいぞと言うので、
私は1番大きい苺を両手で取り、小さい口を開けて嚙みつきました。
『すっごく美味しいの!!!』
今までに食べた苺の中でダントツでした。
苺を食べ終わった私は、お礼を言って帰ろうとした時に呼び止められました。
『ちょっと待ってくれ!お願いがあるんだ!』
『えっ?お願い?』
嫌な予感がしましたが、予想とは違う答えが返ってきた。
『俺が怖くない人だと宣伝をしてくれ!!』
『えっ?宣伝?』
事情を聴けば売っている苺がとても新鮮で美味しいにも関わらず、
自分の見た目が怖くて誰も近寄らないから売れないのでは?
と困っているみたいなの。
宣伝かー、独り言で苺を売っている露店の店主が凄く優しかったの!
と言えば良いのかな?どうしよう。
あ、宣伝よりも良い方法を思い付きました。
『宣伝よりも効果的なことあるよ!』
『なんだい?』
苺のお礼もあって私は露店の周りを飛んで呼び込みをした。
それと暇だったからしてあげたの。
『みなさーん、この露店にある苺はとても新鮮で
この町で1番美味しいの!いや、世界で1番美味しいの!』
そうです、私の狙いは妖精が楽しそうに呼び込みして、
店主と仲良く苺を売ることです。
妖精があんなにも楽しそうに接している人なら、
見た目が怖くても良い人なのかも知れないと思わせるため。
たまにいますよね、見た目が怖くても子供と楽しく遊んでいて
子供も楽しく接していたら、あっ実は良い人なんだなーと。
『この苺を全部売ったら、お小遣い頂戴ー!』
『おう、良いよ!頑張って売るぞー!』
『おー!!』
と、変なテンションで会話をしているの。
効果は出てきたの分かりませんが、周りには人の視線が集まって来ました。
『あんなに見た目が怖いおじさんと、
妖精が仲良く接しているな怖くないのか?』
『妖精があんなにも美味しいと言っている苺かー、気になる』
『本当は優しい人なのかな?見た目が怖いけど』
近くにいた人達がヒソヒソと話をしていました。
すると、一人の若い男性が露店の前に来て、
苺を試しに買ってくれました。
『んっ、マジで美味いなこれ!!』
その瞬間に露店を囲むように人が並び、
次々に苺が売れて数十分で完売しました。
『いやー、本当にありがとう!』
『いえいえ、私も楽しかったので良いの!』
こんなにも効果があるなんて、自分でもびっくりしました。
きっと周りには、苺を買いたかった人が沢山いたけど、
あまりにも店主の見た目が怖かったので買いづらかったのかな。
苺も完売したし帰ろうとした時に、再び店主に呼び止められました。
『妖精ちゃん、これをやるよ!』
店主がくれたのは苺でした。
『えっ、なんで一個あるの?』
実は一個だけ私の為にと取って置いてくれたみたいです。
なんて優しい方でしょう。
『ありがとう!』
『おう、じゃあな!』
私は苺を大事に両手で持ちながら、宿に飛んで帰りました。
空いている窓から部屋に入るとリリーが起きていたの、
少し眠たそうにしていましたが、私に気が付きました。
『あら、どこに行っていたの?それに、その苺は?』
『えへへー、実はねー・・・』
さっきまでの出来事を、リリーにお話をしました。
1時間も満たない時間だったけど、
なんだか良い思い出になりそうなの!




