下僕③
エリカの悲鳴は手でふさがれた。
ピンポーン
ピンポーン
「いないのかエリカ」
準はドアノブに手を伸ばすとすんなりあいた。
「不用心にもほどがあるだろあいつ」
文句をぶつぶつ言いながらキッチンへむかってもいない。二階へ行ってもいない。というか人がいる気配がまるでない。メールをしてみたがエリカの部屋にあったらしくエリカの着信音が響き渡った。あいつのことだからかくれんぼしてるんじゃないかと思い、とりあえず家の中をさがしてみるもいなく、どっかでかけたのかな。しばらく待つことにした。けど一時間まってももどってこなかった。俺ももう帰る時間だからケーキをオーブンから出して冷ましておいて置手紙をのこして帰った。きっと両親が戻るころにはあいつも戻ってるだろうと。
「ただいまーー」
「にーちゃん、ゆーごはん、はやくー」
家に着くなり妹がご飯をせがんできた。
「わーった。今作るからテレビでも見ててまってろ」
妹はぴゅーっつとリビングに向かい正座してテレビのリモコンをつけた。
『続いてのニュースは連続失踪事件です。この一週間あいついで女子高生が消えています。部屋をあらされた形跡や遺書のようなものは発見されておらず、ドアがあいていたため何者かにさらわれた可能性が高いとみて警察が捜査をしています……』
「あやっっべえ卵切らしてたんだちょと買いに行ってくる」
急いでコートをはおると少し離れた家の前に見知らぬ車が止まっていた。なんだろうと眺めていると女の子は気を失っているらしく担がれて車に乗せられていった。
次の日学校に着くと異様な雰囲気に包まれていた。
「おい、なんなんだよこのさわぎは」
「準おめー聞いてなかっかのかよ。うちの学校の女子生徒があいついで行方不明になってついにこのクラスの渡辺さえって子も失踪したらしいぜ」
チャイムが鳴って先生が入っていてみんな急いで席に着く。コホンと咳払いをすると先生はおもむろに口を開いた。
「一部の人は知ってるかもしれないけど渡辺さんと数日前から連絡が取れなくなりました。なにか知っている人は先生まで。出席とります……」
準はエリカの机に目をやるといなかった。
次の日も次の日も来なかった。家に押しかけてみたけれどいなかった。
もしかしたらエリカも……という勘は当たっていた。
準は先生に事のいきさつ伝えると一応出張中の両親にも連絡してみるわ。それでいなかったら警察に被害届だすわ。と言っていた。
「ボス、らちった寿中の女子中学生達どうするんすか」
黒い革ジャンを羽織った男は助手席にいるボスに問うとボスはたばこをふぅと吐くとにんまりと笑った。
「今回はそうだなぁ支部にもってって売るのもいいがぁあの金髪の子は手元に置いておきてぇなぁ」