ダイジェストに抱く感性についての愚痴
ダイジェストって楽ですよねぇ。
何が楽って、ホラ。全部書かなくていいし? 適当なシーンをポン、ポンと引っ張ってくれば、それだけで小説の全容が把握できる気分になっちゃったり。
個人的にめっちゃ設定メガ盛りの過去編も、特に設定盛ってないけど面倒な過去編も! ダイジェストでらくらくさ!
――んなわけネェだろオラァッ!
というわけで、叫びまでとは行かない(文章量的な都合で)んだが、ちょっとダイジェストについての愚痴ね。
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どっちかって言うと、これは二次創作に多く見られる+筆者も二次創作で見て今愚痴ってるわけなんだけど。
ダイジェスト、危険です。
何が危険って、使い方によっては作者と読者の「情報量」をしっちゃかめっちゃかにしちゃう危険性があるんだ。
情報量とか、情報の相違っていうのはやべーもんだ、というのは確か前に語ったはず。
簡単に書くと、下のような例は絶対やっちゃあいけない。
1. 閑話でとある人物が「Bの箇所に薬草がある」とか独り言をつぶやいている
2. 勇者パーティ側はしばらくなんやかんやで旅が続く
3. ある事件を解決後、突然勇者パーティは「Bの箇所に薬草がある」前提で旅を進めだす
勇者じゃなくてエスパーだろう。お前。
こういう例は非常によろしくない。その作品の流れをブッチKILLして台無しにしてしまう。
とは言うても、これほどやらかした事例は最近見かけない。流石にな? もしやってる作品があるなら冷やかしに行きたいまである。
で、話は戻ってダイジェストだ。
これは使い方によって情報量の相違を起こすと言った……いや、しっちゃかめっちゃかにすると言ったか。
まぁしっちゃかめっちゃかにする。そりゃもう浜辺の砂の城が海に侵略されるくらいに。
ダイジェストで語られると「これから作品で語られるもの・あるべきもの」が、全て「これまで作品で語ったもの・あったもの」と、過去形になってしまう。
そりゃあ、ダイジェストですもの。「語る対象は過去になけりゃおかしい」のはまぁ当たり前っちゃあ、当たり前である。
今ある小説とかも、幼年期やある程度の時間をタイムスキップしているものもあるかもしれない。
――だが、そこでダイジェストを使ってはいけない。
ダイジェストで語られると、読者はソレに対して「コイツここで語ってるってことは後で閑話などで語る気ないんだな」と勘違いさせてしまうことがある。……というか、筆者はそれをされて、そう思った。
作品の流れ的にも、「12341256」みたいな時系列になってしまう。そうすると、作品はひどく「読みづらく」なる。
さらに、作者は「もうこれはあったこと」ということを無意識化で思ってしまい、読者に「なんだその設定」と突っ込まれる危険性すら生まれる。
ゆえに、タイムスキップにダイジェストを使ってはいけない。
これの回避方法……というか、行ってほしいことは逆に「語らない」ことである。
「色んなことがあった。4年前あいつに出会った。2年前あの事件があった。そして今に至る。」ではなく、「そして、6年の月日が流れた……」程度でお茶を濁してほしいのである。
そうすれば、作品の流れ的には「341256」と重複部分がないし、34の前提部分となる12がちゃんと語られることで読者は満足を得る。満足は大事。ルールブックにもそう書いてある。
ざっくり書いたが、ダイジェストの使い方は大事。マジで。
ちなみにだが、情報量の制御は面倒ではあるが、「時系列表」を作成することで誰がどの情報を持っているかを正確に管理することが出来る。
非常に難解な推理小説や最後のどんでん返しを書きたい作家さんとかはつかっているトカいないトカ……。
イメージとしては某お茶の間に流れたことでクレームが来た絶望系ホラーゲーム(PS2)のアレを思い出してほしい。
ゲーム内容は思い出さなくていい……ああ、窓に!窓にッ!