タイトルについての叫び
タイトルは、作品の顔であり、もちろん名前でもあるが、もっとも重要なのは「最初に読者の目に入るもの」ということである。
小説家になろうには、非常に多くの小説が投稿されている。当たり前だが全部読みきる時間なんか一介の読者には存在しないし、全部目を通す義理なんざない。作者と読者は、基本的に一期一会である。
その無数の作品の海の中で、読者はタイトルを眼にして、内容がどうなのかと気を釣られたり、なんだこのタイトルは、と一本釣りされたりする。
すなわち――タイトル自体が触れたくもないような匂いをプンプンさせていれば、読者はそれに目を通すことはまずないのである。
というわけで、本作ではタイトルについて語っていく。
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ぶっちゃけて言うと、このエッセイのタイトルは微妙である。
微妙に長い。
書籍化とかされてるタイトルには大きく分けてだいたい二つ。
本作ではこの二つを「良いタイトル」として語る。
1. 端的でわかりやすい
2. 一本釣りできるようなタイトル
二つのどっちかを満たしていればタイトルとして問題ないといえよう。
というか、基本前者を満たしていれば、短ければ基本的に問題ない。呼びやすい・覚えやすい、印象に残るかはさておき、残しておき易いからである。
後者は、そりゃあもう見る人が二度見、三度見するようなタイトルがソレ。ダイソンじみたバキューム力があり、ヤバイものは本当にヤバイ。それだけで話題になるようなものである。
読者を楽しませる作品としては、後者のような一本釣りタイトルを用意できるのが最善である。しかし、筆者含めそういった(笑いの)才能はひねり出そうと思っても出せないものである。作者は所詮、作者の内にあるものしか出せない。
というわけで、このエッセイのタイトルはちょっと長いし、一本釣り……は出来てないよな? そのため、微妙である、と評価をする。
一方で、「悪いタイトル」。これもまた、良いタイトルの条件と同じく、いくつか存在する。
ここまで書けばわかるだろうが、「長いタイトル」がソレにあたる。なろうのデイリーランキングにももちろん存在する。
無論、長いタイトルであれど一本釣りが出来るようなものがあれば問題はないのだが…そもそも一本釣り自体が刹那的にそのタイトルに惹かれるから成立するもので、そのためには「一瞬の時間で面白い情報量を突っ込む」のが必要、すなわち「短くて面白い」というコトが重要になるのである。逆に長いと「長い」という情報だけ与えてしまい、興味をはずさせてしまうことまである。
――ていうか、ぶっちゃけこのタイプのタイトルは「寒い」のである。
俺の作品すごい!見て!面白い!こんな要素ある! ……そんな声が聞こえてきそうなくらい、無邪気なのが、大体だ。
読み上げてみればそのタイトルが寒いかそうでないかはわかると思うのだが、していないのだろうか…?
寒いと理解して、それを色にしているのであれば、別にとやかく言うまいが……。
次に悪いタイトル、それは「口語・スラング表現」「顔文字」が入っているものである。
この口語表現は普通の会話程度なら問題はないのだが、ネット会話のように「w」(笑いの意)をつけているヤツとかがいる。
基本的にスラング表現・顔文字は、小説では「地の文」「会話文」「説明文」全てにおいて、(その表現を目的とした使用法以外では)使っちゃあならんものである。
何でかと言うと、「さめる」からだ。
筆者の感覚で悪いが、小説は世界であり――基本的名読者はそこに対して没入し、非日常や他人の日常を楽しむことを目的とする。
そのために世界観の情報やら、感情やら、いくつかの「共感」と「ワクワク」を原動力に、どんどん世界に没入されるのであるが……そこにスラングが出てくると、一気に「現実」という名の冷や水を浴びせられるのである。
そんなもん、誰が読もうか。そういった表現が「出てきますよー」と宣言しているようなタイトルがついた小説など。
最後に悪いタイトル……これはチト旗色が違うのだが、「他のタイトルと重複・類似していること」である。
コレは最大限回避すべきであり、しかしなかなかしづらいものである。何しろなろうには大量に作品が投稿されている。それら全ての作品に対して類似でないかを確認することは不可能に近い。実際にゃランキング周辺だけ確認すればよいが、それでもだ。
――ただ、これを怠ると読者に対して「盗作疑惑」を抱かせる。
盗作。何かを作る業界の中では、必ず付いて回る問題である。最近だと五輪のウンチャラが話題になった。
この疑惑が読者に抱かれると、著しいマイナス方向の色眼鏡を提供してしまう。もちろん知っている人にしか色眼鏡は提供されないが、ひどくなると感想欄が炎上しだすし、作者のテンションゲージが青にマッハである。
ひとつ前で「流行り廃れ」について語ったが、これは逆にマイナージャンルにこそ起き易い。
メジャージャンルについては「またメジャージャンルのコピーか」と読者があきれるため、盗作という発想には届かないのである(どちらにせよマイナス色眼鏡ではあるが)。
これを回避するには実績で言い負かすか、類似ジャンルを読み込む程度しかない。
さて、良いタイトル、悪いタイトルの事例をいくつか挙げた。
まぁ何度も言うが、極論、短ければ問題ない。盗作疑惑だって長めのが駄々かぶりしているからそう思われるのであって、短ければ「ダブっても仕方ない」という考えに出来るのである。
どうしても気になるのであれば、他人にタイトルを聞かせて感想を聞くのが一番である。こういうのは自分ひとりの感性で書くから寒くなるのであって、他人の感性を借りればそのあたりは是正できる。
作者さんたちは、タイトルが独りよがりになっていないか。それを今一度確認してほしい。
相談出来る友達がいなかったら? ――感想に投げて来いよッ!