流行り廃れの叫び
時事ネタあり。
流行り廃れ…かっこよく言うと、栄枯盛衰。それはすべての世界において存在していて、抗いがたいものである。流行に乗っとけばまず間違いはないし。
だが、その……「何事にも限度」はあるだろう……?
本作では、2015年09月~2015年10月における、小説の題材の流行り廃れについて、少し触れる。
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作品とは、世界であるとは語った。作風については、ちょくちょく語っている。
だが、それらを決定付ける、その前にあるもの。それが「テーマ」だ。
テーマとは、作品の内容や方針を比較的まとめたカテゴリー群と理解してくれればいい。理解してなくても、まぁフィーリングでなんとかなるだろう。
いくつか下記に例を挙げる。
1. デスゲームなどを含めたVRMMORPG系
2. 乙女ゲーの主人公、悪役令嬢などを含めた乙女ゲー系
3. 異世界に何等かの理由、原因により転生・転移する異世界もの系
4. 現実に似た世界を持ち、日常風景を描く日常系
こんな感じだ。
ざっくり切っているが、今ある作品はだいたいこんな感じで区切れるだろう。
これら一つ一つを取り上げても、別に悪いわけじゃあない。もちろん殆どは面白く工夫されていたりする。読むとはまるし楽しめるだろう。
ではこれらのテーマで何を叫びたいかと言うと──供給過多である。
――何もかもぶっちゃけて言うと、悪役令嬢やら乙女ゲーやら多すぎませんか……。
いや、まぁ、わかるんだよね。今良くある悪役令嬢の話をサクっと例を挙げると、
【パターンA】
1. なんらかの原因で悪役令嬢に転生・憑依する
2. 前の人生の記憶から、現在の自分のキャラクターが将来没落ないし死亡するものであることがわかる
3. それを回避しようと色々行動すると、なぜか嫌われているべきキャラクターに好かれる
4. ただし回避している本人は嫌われているものだと思い込んでいる
【パターンB】
1. なんらかの原因で悪役令嬢に転生・憑依する
2. 将来的に婚約破棄される立ち位置だと気付く
3. いじめとかしてないで普通に過ごしていると、ヒロイン(たいてい電波女)が婚約者をたぶらかす
4. 婚約破棄されると同時にヒロインざまぁ+どこからともなく貴公子参上
こんなとこじゃねぇの。
多少、婚約破棄自体をさせないぜ、みたいなのとか、婚約者が実はたぶらかされておらず、みたいなものも存在はするが、大体の流れはこんなものだ。
これが、ほんっとーに、多い。
恋愛モノ自体を書くのは、別に問題はないと思っている。というのも、恋愛モノは「感情に訴えかける部分が非常に強く、人気が出やすい」という即物的な利点と、「人の感情に訴えかける書き方や展開を学ぶことが出来る」という作者側の利点が存在している。
実際、2年前くらいは筆者も「ファンタジー書く前に一度恋愛を書くと登場人物の感情をより強く描けるようになる」と推奨していたくらいである(ついったでぼそぼそつぶやいていた)。
それが、今ではこのありさまである……。
流行り廃れ自体は、上記の通り仕方のないものである。
某剣で描くオンラインとかが流行った後はVRMMO+デスゲームが非常に蔓延したし。
それについで某ゴミビルドが流行ったときも、「クズスキル」の単語が蔓延した。
某地平線とかが流行った後は、VRMMOをやっていてその世界に入り込むものが増えた(今も某死を越えた話がアニメ放映完了直後なので、もっともっと増えるだろうけれど)。
ただ、それらは良かった。
VRMMOならその内容やウリにしている内容でオリジナリティを出せるので、多少ごまかしが聞く。
その世界に入り込むものでも、人外であるとかTSであるとかいくらでもどうにでも出来るのである。
同じような(ようなものじゃあないが)題材であろうとも、そこには多少の作者の「世界」が入っているのである。
だが悪役令嬢に乙女ゲー、テメーはダメだ。
別に、ストーリーがどうとか、登場人物がどうとか、そういうのももちろん「ダメ」ではあるんだが。
いっちばんダメなのは――感情に訴えかける恋愛モノであるべきなのに、登場人物の立ち居地も、感情も、会話も、全てが全てデッドコピーであることなんですよォーッ!
そんなものから世界が伝わってくるか! ――否ッ! 断じて否ァッ!!
一切! 合切! 皆無であるッ!
さらに言うと、そういったものの大半が「短編」であるッ!
短いし、ちゃんと「落」まで書かないし! 「山」だけ書いて後は投げっぱなしジャーマン!
ほんとーに最後まできっちり書かないのは読者からすると、「未完じゃねーか!」か「長編にしてくださいコメント乞食か!」とぶっちするか、「疲れちゃったのかな…」と逆に心配になるんですよ…。
無論、「悪役令嬢」「転生」「本来だったら嫌われ者」のコンボですっげーのを書いている人はいます。堂々とテンプレを使っていても、巧い人のはマジで巧いのは知っています(知ってる人はむしろ「テンプレを使っている」んだけど)。
それでも、大多数はそうじゃない。それは事実です。
それに――ある程度の実力の作者が悪役令嬢モノを書いたところで、読者に印象が残るかというと、それはほぼありえません。
悪役令嬢であるが故に、「その他大勢」にカテゴライズされてしまうからです。
読者はピンとくるオリジナリティがなければ、作者の名前を覚えることはほとんどないのです。
「流行ってるから」という理由で書き始めようとしている作者さんたち。
書きたかったのは、ほんとーに、それっすか?
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余談だが、筆者が一番読みたく、なろうで殆ど存在せず、また存在している代表的なものはほぼ全て書籍化しているジャンルは「転生もなく憑依もなくその世界のみで完結するファンタジー」である。
その世界のみで設定等を練り上げるため、必然的に設定などがよくなり、味のある作品に仕上がりやすいのである。
興味があったらぜひ書いて、どうぞ(ダイレクトマーケティング)。