ストーリーの構成についての叫びⅡ
一つ前では「やおい」のストーリーが齎す悪と、それをどう回避しているかについて語った。
今回は、少し旗色を変えて、「山も落も用意しているのにスコアが伸びない」作品について語る。
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毎日18時に連載し、かつ5000字程度の文量をキープ。
誤字脱字はないし、三点リーダや句点漏れなんてことも、もちろんない。
山場だって用意しているし、世界観の語りだってしている。落ちも用意している。
なのに、何故、伸びない……?
そういったこと、ありませんか?
(なくてもあるってコトにしておいてね、よろしく)
――それはずばり、「山と落の差が少なすぎる」からである。
・パターンA 閑話をはさみすぎる
いわゆる炎のうんちゃらみたいな、突然過去話が出てきたり、突然別キャラの視点が入ったり、兎角その頻度と量が異常な作品のことを示す。これは、そういった「本筋にかかわりのない話」が大量に来ることにより、読者の出鼻を挫いてしまっているのである。
読者は、読む際に三つのことを重視すると筆者は考えている。
ひとつは、「情報量」。
ひとつは、「勢い」。
ひとつは、「ドキドキ・ハラハラ」。
情報量とは、「作者が作品内で開示している情報の量」のことである。すなわち、世界観だとか、複線だとか、キャラ背景だとかのこと。
確かに読者に「理解させる」ことが重要といえど、読者は神でもコンピュータでもないため、一度に処理できる情報量には限度がある。
限度量を超えてしまうと、読者は頭がおかしくなって死ぬので、作品を読むのをやめてしまう。読者は別に義務とか義理で作品を読んでいるんじゃあない。読者が楽しく生きたいので読んでいるのだ。情報に殺されるような作品はそりゃあ読まなくなる。
逆に、限度量を大きく下回ると、読者は暇になって死ぬので、作品を読むのをやめてしまう。読者は別に義務とか義理で作品を読んでいるんじゃあない。読者が楽しく生きたいので読んでいるのだ。情報に殺されるような作品はそりゃあ読まなくなる。
なお、一番やっちゃいけないのは「情報の錯誤」である。要するに、明らかに誰も知らない裏話だったのにそれを知っているようなことを主人公に言わせてはいけない。そうすると読者は頭がおかしくなって死ぬ。後はわかってくれ。
勢いとは、そのまんまである。「読みたい…でも手が止まらない…!」ってヤツ。悔しい…でも…のほうがその道の兄貴たちにはわかりやすいかもしれないが。
区切りが悪いとか、佳境であるとか、そういった場合に高まり、閑話部分では緩やかになる傾向がある。裏話で山と落が用意されてりゃ別だけどな。
なお、余談だがこの勢いは新規読者でなく継続読者の場合、「投稿ペース」で操作することが出来たりする。
ドキドキ・ハラハラもそのまんまである。若干勢いにかぶっているが、これがないと三つにならなかったんだ、すまん。
まぁ詳しく言っておくと、佳境であるとか、情報を小出しにするなどで操作される。
で、だ。
ちょっと長引いてしまったが、「閑話が多い」ことは、「読者の勢いを挫く」のである。
作品が佳境!主人公ピンチ!やっべぇこりゃぁ早く次読むぞぉ!って状況に突然過去の戦争の話とか出てきても読者はポカーンである。その過去の話が終ったころには「俺は一体何を読みたかったんだ…」となってしまうことがしばしばである。
あと別に佳境じゃなくても起きうる。主人公が転生直後で、まだまだ色を出してないうちに乳母視点の閑話とか出されると、一話あたりの想定していたペースが崩され、大変読みづらくなるのである。乳母一人ならまだしも、その後執事視点の同一シーンの語りとか出たら読者は先に進むのをあきらめてしまう。
こういったシーンは作者が世界観の補強だったり、語りたいシーンを入れたくてやることがあるが、正直読者からは邪魔。やるなら代表者一名の閑話程度がギリである。
閑話は、あくまで箸休め。スープ飲んでる最中に休ませてもいけないし、メインディッシュの最中に邪魔をしちゃあいけないのである。
・パターンB 山と落の高さに差がない
さて、もうひとつのパターンは、「山と落の高さに差がまったくない」ことによりおきる、「マンネリ」である。個人的に筆者はこれを「平野になる」と呼ぶ(どうでもいい)。
これは、長く続いた作品ほど起き易い。長く、何度も何度も山と落を続けるうちに、作者が山を起し、落を掘るのを疲れてしまい、「だいたいこのへんでいいや」と低く、浅く作ってしまうことにより発生したりする。
…が、重要なのはもうひとつ。「山と落のパターン化」、これこそが最大の原因に他ならない。
これは、主人公最強モノだったりすると起き易い。下記のような例を考えてみよう。
・ひとつ目の町、主人公は不思議な力に覚醒して竜を倒す
・二つ目の町、主人公はさらなる不思議な力に覚醒して悪魔を倒す
・三つ目の町、主人公はもっと不思議な力に覚醒して悪の親玉を倒す
・四つ目の町、主人公はめちゃんこ不思議な力に覚醒して異世界から来たよくわからないものを倒す
・五つ目の町、……
思っただろう?「どうせ不思議な力に覚醒して何か倒すんだろ」と。それこそが、パターン化である。
感情に訴えかける作風が薄く、硬く、しっかりと閉める作風の持ち主ほど、この事象は起き易い。
これは半分くらい「意味なし」に近づいており、割かしヤバイ。が、変な読者はこれを壁として「これを乗り越えた俺たち真のファン」みたいなことになることもあるので、固定ファンは付く。が、新規ファンが付かないので、ランキングには乗らないしポイントも伸びない。ということである。
下記にポイントをまとめた。心当たりのある作者は注意していただきたい。
・感嘆符などをあまり使わない or 逆に結構使う
・仲間がほぼ固定面子である
・たいてい敵役はぽっと出、もしくは腐れ縁
・割と最強モノ
・話数が100を超える