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ストーリーの構成についての叫び

 ――みんな、週間少年うんちゃらは好きかい?


 筆者はだいたい高校あたりで止まりました。単行本買えばええねん。


 前回ではワンセンテンスの長さについて語った。

 とりあえず、書き方については大体このへんでいいんじゃないか。次は、ストーリーの構成について少しばかりお耳を拝借したい。



-----



 やおい、と言う言葉を聴いたことがあるだろうか。あるよな?

 この言葉、最近だとおそらく男性同士のなんか、こう、ほら、くんづほぐれつ…?な想像をしてしまうかもしれないが、本来の言葉は別のものだ。

 すなわち、「やまなし おちなし いみなし」の頭をとって「やおい」である。


 これは作品とかがクッソつまんねーっつーことでいわれたやつだが…いわれるようになっただけあって、この内容は作品において重要な要素を示唆する。

 やま、おち、いみ、それぞれが重要、ということだ。


 やま――すなわち山、これはストーリーにおける佳境のことだ。二勢力の対立だとか、もう少し物騒な世界であると戦争だったりもする。

 おもに、作者さんはこれが書きたいがために、筆を持つことが多い。むしろこのシーンから書き出して、残りはそこにたどり着くだけの道筋と帰り道である、なんてこともあるほどだ。

 筆者的には、つーかみんな一緒だろうけど、これはメインディッシュと同じ。一番大事にされ、一番印象に残るヤツ。


 次に、おち――落。これは後日談だとかの、落語の「オチ」と同一のものだ。お姫様を勇者が救い出して二人は幸せなキスをして終了だとか、その後の結婚生活とか。連載モノだと次の山に行くための閑話も含む。

 筆者的には、これは箸休めと考えている。メインディッシュも連続で来ると胃がもたれてしまうし、吸収(≒読者が作品のストーリーを噛み砕いて理解すること)が遅れてしまう。そのため、軽いもので箸休めをしたり、吸収の助けをしたりするわけだ。


 最後に、いみ――これは意味、要するに何で書いたか、ってこと。人類救済だとかの仰々しいコンセプトがなければ、基本的には作者さんは「メインディッシュが書きたい」と思っているので、読者に読ませた後「あのシーン面白かった」「あのキャラ好き」とか言わせれば勝ちである。




 じゃあ、これがない、すなわちやおいだったら?



 メインディッシュは存在しない。どの話がもっとも盛り上がる回であるのか、さっぱり不明である。

 箸休めも存在しない。ひたすら濃厚鳥肉スープが連続で出てくるようなものである。メインなのかスープなのかもわからない。

 意味がない。「なぜこれを書いた」?




 兎角。不幸しか生まない。

 作者は書きたいことを書いたつもりが一切の賛同を得られず、読者はまるでワケがわからない作品をひたすら読ませられる。lose-loseの関係である。


 ゆえに、山、落、意味、この3種をそろえるのは非常に重要である。



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 では、巧い人の作品はどうなっているのか。

 筆者の所感としては、「世界観を語りつつ山につなぎ、そして次の山につなぐように世界観を語りつつ落とす」である。

 意味の文字が出ていないが、まぁ意味は後から結果を見るしかないからな。


 具体的に例を挙げると、下のような感じである。


 ・主人公(寒村の男性)は成人を迎えたので旅立つ

 ・近くの町にたどり着き、ギルドに登録し、薬草採取などを行う(ギルド、薬草で世界観を語る)

 ・町に魔物の群れがやってくる(山のつなぎ)

 ・ギルドの一員として挑むが、瀕死になる(山)

 ・瀕死になったとき不思議な力が覚醒し、一掃する(山、世界観の発露)

 ・王都からの使者が主人公を気絶しているうちに拘束し、王都に護送する(次の山につなぐ落)

 ・王都からの使者や町の人目線での閑話(次の山へのつなぎと世界観の語り)


 こんな感じ。陳腐とか王道って好まれるから王道なんだ(言い訳)。

 

 ここで、注意すべき観点としてはいくつかあるが、山・落を用意する以外で最重要なのは「世界観を語るのを忘れない」こと。

 不思議な力が覚醒するのはいいが、ファンタジー世界で主人公が突然ロボットに乗り出しても読者は困惑するだけである。

 つまり、「不思議なことは不思議だが、世界観的にはまぁありなんじゃないの」程度の不思議な力である必要がある。

 そしてさらに、この「ありなんじゃないか」と読者に思わせるためには、その下地となる「世界観」を語っておく必要があるのである。


 そう、世界観の語りは、すなわち「読者の理解補助」なのだ。

 ――つーか、基本的に小説は「読者に理解させること」、その上で「読者を引き込むこと」が重要なのである。




 話が数話分巻き戻るけれども、三点リーダや句点で読みやすさのイメージが~とかなんとか言っていたのは、全てはこのためである。

 あんなフワッフワした至極可読性に欠ける文章で、誰がその世界を「理解」出来ると言うのか。

 どんないいことを書いて、どんないい科白を言わせても、理解されなければ、読まれなければそれまで。


 作者の皆様には心に留めておいてほしい。どんないいもの書いても読まれなければチラシの裏に書いておいたほうが有益なのである。

 そして、それを読ませることが出来るのも、作者のみなのである。

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