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しょーと・すとーりーず  作者: wise
次世代人とは何か?
7/8

次世代人とは何か? その5

「マリア、その女は必要なのか?」


「ええ。あたしの半身なのよ。」


「まあいい。彼女を上手くおびき寄せてくれたら、それでお前の役目は終わりだ。」


「偉そうね。臆病者のくせに。」


「そうさ。それは世代交代しようが、不変なんだ。」


 彼らは、彼女を殺すようだ。でも、僕は君さえ居ればいいのさ。




「あたしはマリア。よろしくね。」


「えっと、よろしく。」


 彼女はとても困惑している。それは当然、見ず知らずの人間に声を掛けられたからでもあるが、女性2人が異常なほど密着していることも原因だ。


「あなたの頭ってとても軽そうね。」


「それって、私がお馬鹿さんっぽいってことなのかな?」


 とても落ち込んでいるようだ。普通なら、自分の特異性に気付かれたと焦るはずなのだが、……。これが演技じゃないのなら、真に馬鹿なのか?この娘の読んでいた本は絵本だったのか?


「これがどういうことか分かるかしら?」


 マリアは自らの腕を切り落とした。しかし、血は一滴も出ず、腕は消え失せた。


「もしかして、私と、同じなの?」


「ええ、そうよ。」


 彼女は今まで、自分と同じ特異な人間に会ったことがないのかもしれない。とても新鮮な驚きをしている。初めて悩みを共有出来るかもしれない相手と、出会ったんだろう。


 だから、ついさっき初めて会っただけの人間に、心を開いてしまった。


 悲しいな。僕は映画でも良く泣くタイプなんだ。可哀想だって、傍観しながら、ただ涙を流すのさ。




「紹介するわ。」


 マリアは、彼女を男の元に連れてくることに成功した。


 男は手を差出し、歓迎するような態度を取った。一目惚れしていたとは思えない程、冷静だ。同じ世代を生きる者じゃないと分かれば、彼にとってはもう絶世の美女は猿と成り得るのか。


「俺の名は、自由に想像してくれ。だから、君の名も聞かない。」


「?」


「君は死ぬんだ。ここで。」


「え?……私達、仲間じゃないの?」


「俺達は次世代の担い手なんだ。でも君は違う。」


「うんうん。違わないよ。だって、見てよ。」


 彼女は両手で頭を変形させた。何も詰まっていないのは明白だ。明らかに一般的人間とは違う。


「そんなことしても無駄だ。君は一部だけなんだ。見ててごらん。」


 3人の人間が姿を消した。跡形も無く。


「皆、どこなの?」


「ここだ。ここにいる。」


 そして、3人は姿を現した。


「分かるかい?俺達は身体の全てを次次元に移行出来る。まあ、俺達が仮にそう呼んでいるだけで、実際どういう空間なのかは知らないがな。」


「マリア、ちゃん?」


「あたしに助けを求めても無駄よ。」


 1人の人間がこの世から姿を消した。




「ところで、次次元を知らないの?あんなにも美しいのに。」


 少しして、君は口を開いた。


「なに?まさか。」


 ああ、彼は鋭いね。割と損するタイプだ。


「マリア、お前が彼女に魅かれるのは、彼女が俺達よりも優れているからだよ。」


 彼らに、隠し玉は無い。社会的に死んだ僕は、自由に行動できる。だから、ずっと観察してきた。


 そろそろ、君を助けるよ。その汚い雌からね。


「俺達も狩られる側だ。」


「あ、ああ゛、、、。」





これで完結です。


1話毎に違う視点で書いてみました。

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