次世代人とは何か? その4
人間は差別する。仕方ない。それは防衛本能だから。
仲間をつくり、また別の仲間組織からの攻撃をしのぐのだ。
次世代を担う俺たちも、すべからくそうだ。
だから、次の世代にでも期待しよう。
キャッチボールをしていた。広い土手で、知り合いの小学生とふたり。すると、少し遠くに1人の文学少女が腰掛けるのが目に入った。俺は初めて知った。こんなときに、絶世のって言葉を使うのだと。
取りやすいボールを投げれば、相手は余程のことが無ければ、取りこぼさない。しかし、相手のグローブには収まらず、少女の頭に収まってしまった。ずっと、気にしていたら、あろうことか、そちらに向けてボールを放っていたのだ。
彼女は全く気付かないのか、分厚い本を読み続けていた。おそらく、この土手に1人きりでいるつもりなのだろう。一切俺たちなど眼中にないようだ。
少し、マリアの気持ちが分かった気がする。あいつは次世代人なら、例え女でも手を出す。最近は根倉な女といつも一緒にいるな。多分、希少な次世代人同士、強く惹かれ合うのかもしれない。
俺は祈った。同じ次世代人であって欲しいと。
オラウータンもチンパンジーも、人間なんて呼べやしない。でも、知らないだけで、いや、駆逐されただけで、人間と呼べる何かは居たはずだ。彼女はそんな側でいて欲しくはない。
けれど、この出会いは酷く悲しいものだった。
俺は次次元へと身体を移行し、感覚のみの精神体となった。
そして、彼女は半次世代人だと知った。
「マリア、協力してくれ。」