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しょーと・すとーりーず  作者: wise
次世代人とは何か?
5/8

次世代人とは何か? その3

 あたしはマリア。唯のマリア。


 例えばね、どれだけ人殺しの能力に長けていても、法がその自己アピールを好しとしない限り、唯の人間なの。


 だから、あたしは唯のマリア。




「恥ずかしい?なら、あたしの部屋でもいいのよ。」


 あたしの、あたしの声で動揺する彼女が眼前にいる。顔を赤らめて、ほんとに可愛い。


「私の、その……」


「全部よ、もちろん。」


 彼女の言葉を遮り、おそらくその先に続いたであろう質問に答えた。


「言えば。」


 意外にも彼女の返答は淡泊だった。イタズラを母親に報告される。その程度のトーンだった。


「あら?あなた何か勘違いしてるの?」


「?」


「罪を償わせたいわけじゃない。ただあたしは、キスしたいの。そう、情熱的に。」


 自分がすべき行動を決めあぐねているのかしら。いえ、そもそも何か判断を下せる状態じゃないのね。でも、全く動じていないかのような、その物言いだけは変わらない。


「なら、まずはお互いを知りましょう。」


彼女はそう言い放ち、歩き始めた。


「あたしは、あなたを見ていたの。そう、ずっとよ。」


「それから?」


「恋をしたの。あなたをいつも見てた。だから、あの日は狂いそうだったわ。」


目撃()たのね。」


「あの男は許されない。あの程度のことで、あなたの味を知るなんて。ああ、こっちよ。」


あたしは、彼女を自らの家へと誘う。


従順、無抵抗、諦め。どれなのか。いや、全てなのかも。それらが彼女の人生なんだろうか?


あたしは貪った。初夜を迎えた男のように。


「満足?」


苦痛と、その先の快楽に顔を歪ませる彼女は、美しくいとおしかった。


「好きよ。あなたの醜い自己愛よりも、あたしの想いはもっと醜くて汚いの。」


「私はあなたが好き。そしてあなたは私が好き。」


「どうしたの?そんなに良かった!?」


「興奮しないで。最後まで聞いて。」


「ええ、分かった。」


「そんなの不純だと思わないって話。私が私を好きで、あなたは私を好き。よっぽど、純情よ。」



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