次世代人とは何か? その2
「僕は君のことが気になるんだ。だから、君も僕のこと、気になってる、…だろ?」
「うん。私も気になってるよ。(棒読み)」
「やっぱりそうだよね。なのに、小心者な僕は迷っていたんだ。けれど、勇気をだして本当によかったよ。他の娘たちを悲しませる、そんな勇気をね。」
「ほんと、勇気は大事だよね。(棒読み)」
「ところで、今日の放課後って暇かな?」
「暇だよ(棒読み)」
「ああ、んなんて愛らしいのだろう。本当は忙しいだろうに・・・・・・。気を遣わなくてもいいんだよ。だって、僕等の仲だろ。僕と会う為の準備に忙しいのは分かってる。」
もう相槌すら面倒だ。面倒だ。
口を口で塞いだ。この男は黙りこくってしまった。それでいい。
今日の予定にこいつは要らない。不要で無意味だ。今日の放課後は忙しいんだ。明日からを暇にする為にね。
今日は両親共に帰りが早い。そして、運命的にも、私の家に異変が起きたら気付くような近所の家庭が軒並み留守なのだ。今日しかない、今日しかない。
「ふふっ」
私の家の壁紙は真っ白。なのに、今は真っ赤なんだ。
私は見たことが無い。両親が仲良くしてるところを。ただそれだけ。いつ捨てられるか分からないから。ただそれだけ。
そして、私は飛び降りたんだ。
「あ、ああ゛、、、。」
この言葉は私じゃない。あの男だ。ベランダから落ちて、頭の中身を散乱させた人間の、性は違えど自分と同じ動物の死を見た男の声だ。
「あ、ああ゛、、、。」
これは私の声だ。死ななかった私の声だ。死ねなかった女の声だ。
二度目は躊躇するかと思っていた。しかし、そんなことなどなかった。ただ、死なないのだ。
立ち竦む彼を尻目に、自らの殺戮を繰り返した。結果は変わらない。
そこで、あることに気付く。頭の中身はどこだ?ぶちまけたものは?頭を巡らしても、無いものは無い。そういう解答だけだ。それでも巡らしていると、ある考えに辿り着いた。
私は頼んだ。彼に、全てを押し付けたのだ。
気付きもしなかったが、彼は純粋な男だった。
「良かった。いつもの君と違ったからさ。ついてきて良かったよ。僕が最初で良かった。」
彼の声は震えていたが、一言一言を重く噛みしめながら言っていると分かった。
留置場で彼は自らを手にかけ、真相は闇に消えた。学校内で、彼のアプローチは有名だった。同時に私の嫌がる態度もだ。そしてあの日の口づけは誰にも見られていないはず。
だから、よくある”男”の事件として終焉を迎えた。
私は親戚の家から、別の学校に通うことなった。そして、初日からアクシデントが起こる。校門に、前の中学の制服を着た女が居た。
「ねえ、あたしにもキス、してよ。」