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変な学校 〜番外編1〜

作者: akaoni0026

これは、自分が書いた「変な学校」と言う作品を、割とコメディータッチで書いた番外編です。

 とりあえず、深く考えずにお読みください^^

 週末の晴れは最高の気分どころじゃない。


 最悪の気分になる(ため息)


 確かに今日学校へ行けば明日、明後日は休みだ。晴れているのだし、普通ブルーにもならないだろう。


 けどそれが、ブルーになる要因なんだよな…


 僕は伊井森(いいもり) 耕輔(こうすけ)


 ここは僕の家で、僕は今洗面所にいる。朝食の前の眠い目を醒ます為に洗顔中だ。


 そこに、「とことこ」と聞き慣れた足音が近づいてきた。この足音は…(りん)だな。


「おはよ〜…」


「おはよう、鈴」


 早朝だからか、鈴はとてつもなく眠そうな顔をしているが、実はこれは違う。早朝だからではなく、ある人物のせいで夜眠れなかったから、その通り眠いのだ。


「昨夜もあいつに抱き枕にされたのか?」


「うん…」


 …;ホント仕方のないやつだな、アイツ;


「今日金曜だから、お昼ゆっくり眠るといいよ。明日になったら、最悪眠れなくなるかもしれないからね」


「うん、そーするー…」


 眠そうな目をこすりながら、鈴はまたとことこと寝室に戻っていった。


 …難儀な子だな;


 洗顔を終わらせ、ダイニングに向かった。


「起きたか、耕輔」


 見えない(キッチン)から、(きょう)が挨拶してきた。大して物音を立ててないにも関わらず。まあなんていうか、彼は物凄く耳と勘がいいからそんなことが出来る。いや、出来るんじゃない。無意識ににしているのだ。


「今日も早いね、鏡」


 姿は見えないがこちらからも挨拶する。


「当然だ。朝食は一日の原動力、いわば最重要補給物資。それなくしては戦争も出来ん」


「いや、しなくていい;」


 席につこうと前に向き直ると、いつの間にやら白髪の少年が立っていた。


「おはようございます耕輔さん」


 が、耕輔は驚かない。これで“普通”、“日常”だからだ。


「おはよう雄谷」


 彼は挨拶をしてもニコリともしない。これもいつものことだ。で帰ってくる言葉が


「今日も髪型変ですね」


「ほっとけ;」


 だ。ってかこれはイレギュラー行為でいいだろ;


 席に座り、携帯を少しの間イジってから気付く。


「あれ?アイツどうした?」


「ああ、ヤツなら隣の智香の家へ行ったぞ」


「ああ、そう…」


 朝もはよからこんにちはですか…。まあこうゆうトコも普通だったりするんだけどね;


「それよりメシが出来たぞ。鈴はどうした?」


「寝なおすって」


 それだけ言えば鏡には通じる。


「そうか。なら今日はお前が食料を運べ。お前だけ働かんと言うのは尺だ」


「はいはいっと…」


 僕は席を立って、キッチンに向かった。



 朝食が終わって、鏡がガチャガチャと食器を洗っている時間、TVを見て気付いた。


「もうこんな時間か…」


 アイツを迎えに行かなきゃまずいな。いや、でも智香さんがいるんだし、大丈夫か?


 智香(ちか)さんは、まれに見る優等生でかなり真面目な人だ。律佳がそこにお邪魔してるんだから、任せて大丈夫のハズだが。


 いや、駄目だ;


 以下駄目な理由:


過去、アイツと智香さんとで外で会話していた時、車が制限速度無視で、やや律佳に当たりそうな角度で突っ走って来たことがあるのだが、なんと智香さんは「○○ちゃん(アイツの名前)が轢かれるかもしれない」と言うある意味超妄想的なことを思い、壁に埋まるほどの力でアイツを突き飛ばし、大の字で突っ立ったあげく吹っ飛ばされたことがあった。嘘ではないし、その場で見た僕が言うんだから何の間違いもない。


 結局重傷を負った“車の運転手”を、壁にぶっ飛ばされた“アイツ”が運んだ。


 ちなみにおもいっきり轢かれた智香さんは、“服まで無傷”だった。


 以上。


 …今思っても無茶苦茶だが、全部本当のことである。


 やっぱり智香さんの家に行こう!!;今更ながら二人にしておくのはまずいッ!;


 っつか気付けよ自分!!;


「鏡、智香さん家行って来るッ!」


「ああ。…気をつけてな」


 あたぼうよ!!;



「おっはー!!こうすけぇ!」


「…お…おは…ってーかイテェ…」


 何が痛いのか…

     わかりやすく言うと、ドアに挟まれました。


「それ、わけわかめですよ」


 ッ…智香さん、ダジャレ突っ込みってないで…助けろよ…。


 僕の意識はそこで(つい)えた。





「寝ている耕輔クンの代わりに私が説明致しますね。

    まず耕輔クンはインタフォンを押しました。

        しかし家のインタフォンはカメラ付き+電話付きで、まず相手の顔、姿、声を確認するんです。

         ですが確認をしようと思った所、家に来ていた“律佳”ちゃんが、耕輔クンの気配にいち早く反応して、私の、耕輔クンに対する電話越しの問い、『どなたですか?』に、耕輔クンが答えようとマイクに体ごと顔を近づけた所、あのような惨事に…」


「…冷静ですね」


「あら。起きてらしたんですか?」


「ええ、『カメラ付き+電話付き』あたりから」


「そうだったんですか…」


「ちなみにアイツってのは文中の律佳って人のこ」


「おっはーこうすけぇ!」


 忌むべき甲高い女の声が聞こえた瞬間、僕の体に物凄い衝撃が!


「どぅわっ!?」


 目の前は真っ白い世界になった。


「耕輔くん!?」


 智香さんが僕の肩を優しく掴んで、上半身を起こしてくれた。


 そのおり見えたが、どうやらここは学校の保健室で、俺は今“アイツ”の一撃で前に座ったままのめったらしい。しかしなぜ学校でしかも保健室にいるんだ…僕。


「…よかった、無事のようですね…」


「いや、よかないですよ。ほら、セットした髪がグシャグシャに…」


「まぁ本当…より変な髪形になってしまいましたね…;」


 うわー。傷つくなぁそれ。


「それより、律佳」


「はぁい♪なぁに?」


 紺のセーラー服、大きな赤いリボンに太股まである長いおさげ、幼い輪郭に大きな緑の目の少女、朔未(さくみ) 律佳(りっか)が、そのおさげを揺らしながら答えた。


 この少女こそ、例の“アイツ”。先ほど僕をドアに挟み、僕を後ろから殴った張本人だ。


「ドアくらいゆっくり開けろよ」


「 ? 何の話?」


 お前何分で自分のしたこと忘れるんだよ。と言いたいが、恐らく『五秒くらい』がオチなので、


「…やっぱりいい…」


 やめておこう。

 

 ん?何分て咄嗟に言ったけど…


 …僕が寝ていた気絶していた時間は、本当に分単位なのだろうか。外は見た感じ、まだ朝方だが…。もしかしたら何時間も眠っていたのかも知れない。


「智香さん、僕が気絶していた時間って、どれくらいですか?」


「ん。約…20分と22.4509秒程度です」


 それ正確過ぎて逆に分からないですよ…。


 とりあえず21分くらいか。余裕だ。


「ねーこうすけー…」


 お。珍しい。反省してそうな声だ。しかし


「お前とは今喋りたくない」


 僕が余計なこと言いそうだから。悪い。


 …いや?余計じゃない、普通なんだけど、とりあえずそれ一回言うにつき、パンチ一発の代償があるだろうから、結果的に言わない方が利口だろう。


「むぐ」


 律佳が口を一文字に引き絞った。やはり反省してるんだけど…。


「ヒドイですよ耕輔クン!」


「いや、そうでしょうけど──」


 と言っても智香さんは構わずまくし立てる。


「年頃の女の子が己の罪を認めて、男性に対して反省してるんですよ!?それを『今喋りたくない』って気分的な答えで返すんですか!?」


 最悪の表現法だ…;どう聞いても僕が悪者としか聞こえない…;


「そうだそうだ!私に失礼だ!」


 開き直ってますやん。


「とりあえず、話くらい聞いてあげたらどうです?」


「…そうですね…」


 保健室の先生が僕の顔を怪訝そうに見ていることだし、話くらいは聞いてやるか…。


「律佳。言いたいことがあるなら、言ってくれ」


「う、うん…あのね」


 律佳は珍しくモジモジしながら話し始めた。…でもこう言う時って、嫌なことしか起こったことないんだよな…。そう、律佳が自然なこと自体、不自然なんだ;


「さっきは…ごめんね?痛かったでしょ…?」


「う、うん…気絶するほ」


「こうすけが起きたから、嬉しくて、ついさ…」


 …ああ、ドアじゃなくてそっちね。ってーかついってお前。


「…だ、だからぁ…おわびと言っちゃなんなんだけどぉ…」


 律佳が顔を赤らめ、体を意地らしく揺らしている。


 うっわ。何かすっごい嫌な予感がする。


「じゃんけんしよう!!」


 …何のお詫びだ、それ。


 いや、ここで突っ込むのは簡単だが、じゃんけんくらいなら…全然、いや問題は全くない。


「分かった。律佳、よく分からんがじゃんけんしよう」


「だからお詫びだって言ってるじゃん。頭ワルいな」


 どっちがッ!;


 ま、まあいいか…


「さーいしょーはグー…」


 …ん?


 どうして律佳はグーさえ出さないんだ?


 いやそれどころか、人差し指を顎下に当て首まで捻っている。まさか…;


 僕は多少勘付きながらも、律佳の答えを待った。結果、


「グーってグー?」


 多少読めていたけどまさか、


 こっからとは!;


「い、いいよ;分かった;」


 じゃんけんをしようと提案した律佳が、「何でじゃんけん知らないんだ」って突っ込みは、もうこの際しないよ;


「いいか?律佳。じゃんけんって言うのは、要するに“石”と“ハサミ”と“ヤスリ紙”なんだ」


「うんうん」


「じゃあ実際それを使ってやってみようか。律佳、持ってきてく──」


「あ、私持ってますよ。どうぞ」


 智香さんが、石とハサミとヤスリ紙を懐から取り出し、手渡してくれた。


 どーしてこんなもん持ってるんだ、この人は;


「あ、ありがとうございます…;」


「いえいえ♪」


「じゃあ律佳、説明の続きをするぞ?石はだな──」



 僕は律佳に、“石”は“グー”、“ハサミ”は“チョキ”、“ヤスリ紙は”“パー”、と言う説明はせずに、モノで直接(ダイレクト)に、じゃんけんと言うのを教えた。


 …グーやらパーやらで教えると、最悪殴られかねないからだ;


 教えた後、律佳は条件をつけてきた。


「じゃあ負けた方が勝った方の言うこと聞くってことで♪」


 お詫びじゃなかったのか。


 と言うのも今更おこがましく、とりあえずそれで納得した。勝てば律佳におとなしくしていろと言えるわけだし、何より負けないだろう。相手は素人だ。




 …そして、数回の勝負ののち、勝負は決した。


「きゃは〜w私の勝ちだね!♪」


 僕は…


 完全敗北した…orz


 そもそも運で生きているような(リッカ)だ。勝ち目は最初からなかった…。


「じゃあ、耕輔、負けたんだから言うこと聞けよ?」


 …コイツのことだ、ロクな要求して来ないだろう…;


「なあ律佳、お詫びじゃなかったのか?おかしいだろこの展開」


 僕がそう言うと、律佳はピクリと神経を怒らせて、


「あ?負けといて今更なに言ってんの?ハサミで鼻毛斬られたい?」


 すると智香さんも怒りのオーラを全身から立ち上らせ、


「そうですよ耕輔クン。ヤスリで全身の毛と言う毛を削られたいですか?」


「す、すいません…言うこと聞きます…」


 …理不尽だっ;


 結局この日、耕輔は“律佳の言うこと”を聞き、早退となった。




 三日後…




 よく晴れた月曜の朝だった。


「タイクツだー」


 いつものように彼女、律佳は机に突っ伏してあくびをしている。その姿は、愛玩動物にも匹敵する。


 本編では一言も零れないのだが、こうやってくつろいでいるときの彼女は、やたら可愛く、猫に劣らないほど愛嬌があるのだ。本編でこうゆうことに触れないのは、耕輔が恋愛感情を微塵にも持っていないからだと推測出来る。


「よぉ律佳、またヒマそうじゃん?」


 耳に騒がしくはないが、やはり騒がしい、いつもの朝、律佳の隣の席は耕輔だが、その反対の席の男子が彼女に声をかけた。ちなみに今日耕輔はお休み、理由は腹痛を伴う風邪、熱アリだ。


「ってかぁーヒマなの〜」


 ぶぁーと言いながら体を伸ばす律佳にその男子、渡里(わたり) (うみ)、通称ハト(由来は、海を越えるのは鳥だからと言うことだが、ハトは越えただろか)が、面白いがワリと面白くないハナシをもちかけた。


「あ、律佳よぉ!ジャンケンしよーぜ!!」


 微妙である。


「ジャンケン…?」


 ぼけっと彼を見るあたり、彼女はジャンケンを知らないらしい。こうゆうことはよくある。


「何だ。お前知らないのか?」


「うん」


「メンド臭いヤツ…」


「なにがよぅ!」


 いつもどおり起立で腕を伸ばしどかんと机を叩く。机がフラフラと迷い、やがてズレた定位置に戻った。


「あのな、ジャンケンってのは」


 簡単にルールを教え、終えた頃には律佳はルンルン気分でとてもにっこり笑っていた。


「うわー、おっもしろそーやろやろ、はとぉ!!」


 はとぉっていうのは、ハトのことだ。言わずもがなであるが。


 ちなみにハトが教えたジャンケンは、あっち向いてホイ方式であった。


「うっし、いくぜー!?」


 律佳が一気に臨戦態勢に入る。


「ジャン!」


 パーにするか…!?


「ケン!」


 いや、手堅くチョキ!?(※意図不明)


「ポン!」


 やっぱりここは…!! 



 ハト、チョキにて完敗!(まだ一戦目)グーを出した律佳がにこーっと笑う。


 しかしここからが本題だ。力を思い切り入れる。外したら次はない…!


「あっち向いてー…」


 次の瞬間。


 ぶおっと風が揺れ、


「どん!!」


「ぐはっ!?」


 突然ハトは一点の衝撃により、体が浮き上がり、机の上約40cmを吹っ飛び、教壇の横をかすめ、奥の黒板の下に背中を思い切りぶつけ、さながらストリートファイトに負けた男のように、がくりうなだれた。その頬には、くっきりグーの赤い跡。


「ルールちげ…」


「やったー!私の勝ちぃ!」


 みんなの、今現在クラスにいる生徒の、白い注目を受けていることを知る由もなく、彼女は自分の机の上で愉快そうに踊ったのだった。


 ある日の月曜、晴れた日のことだったー――。



 一方耕輔宅。


 彼は自室のベッドの上で三枚もの毛布を被り、体を震わせていた。


「ううぅ、昨日カキ氷早食い大会なんてするんじゃなかった…っ」


 理由。


 ジャンケンを名前告知なしにて行い、負けたのち、なぜかカキ氷早食い大会になった。


「そういえば…分かりやすいように“紙”と“ハサミ”と“石”で教えたけど・・・今日ジャンケンって教えてやらなきゃな・・・ハックシュッ…(ズー)…あー、さみぃ…」

ここまで読んでくださった方々、誠にありがとうございます^^

 原作をお読みになってない方は、「?」のつきどころが多々にあったのではないかと思いますが、「ニッ」とでも笑って頂けたなら幸いです^^


 それではまたいずれどこかで^^

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