『つぼ押しの狸のプレスマン』
讃岐国のこんぴらさんへ続く街道に、古狸が住んでいました。それほどひどいことはしないのですが、愉快犯的ないたずらで、こんぴらさんに参拝する諸国の人に、苦笑いを届けていました。しかし、まあ、古狸なので、歳をとるにつれていたずらをする頻度が下がっていって、ほとんど、うわさにも上らなくなってきました。
あるとき、近江からはるばるこんぴらさんにお参りに来たおばあさんが、宿屋に泊まって、足をさすりさすりしていますと、宿屋の下働きの娘が、どれ、お灸をすえてあげましょう、などと言うので、お灸は苦手だというと、じゃ、足の裏のツボでも押しましょうと言って、なにやらとがったもので足の裏やふくらはぎをぶすぶす刺すのです。確かに歩き疲れて足は痛かったのですが、その痛みよりもはるかに痛いのです。どうかやめてくれるように言うと、下働きの娘は、あっさりやめてくれました。下働きの娘は、また痛くなったら、これで痛いところをお刺しなさい、などと言ってどこかへ行ってしまいました。見ると、それは、プレスマンで、こんなもので人の体を刺していたのか、と、ちょっと怖くなりましたが、足の痛みはすっかりとれていました。この、下働きの娘が、古狸なのだとしたら、まあ、許されるほうのいたずらでしょう。
教訓:この下働きの娘は、たびたび同じような行動をとっており、実在するのか狸なのか、よくわからなくなっているという。




