永い旅
掲載日:2026/04/25
死んだ、と思っていた。
しかしふわふわと浮かんでいて、死んだと思ったのが間違いじゃないのか、と思うほどだ。
「おや、あなたはまだのはずですがねぇ」
ポリポリと後頭部をかきながら女性が話しかけてくる。
「えっ、どういうことですか」
女性はパンツスーツ姿で、何かファイルを持っている。
「あなたはまだ死ぬべきじゃないということですよ。ということで……」
何かを俺が言うよりも前に、彼女は俺の額へと右手手のひらを押し当てた。
「ゆっくりお休みなさい。永い旅の前の休みは、短いのですから楽しんでくださいね」
ドンと衝撃が体中を突き抜けていった。




