NGO医療支援キャンプ・ビデオログ書き起こし/2026年3月22日
撮影:国際医療NGO《MedFront》ボランティア S・アフマド(翻訳済)
同NGOはモランバ共和国での暴動発生後、国境周辺に医療支援キャンプを設営して負傷者の救護に当たっていた。
■ 映像開始
[カメラが揺れながら移動。避難民キャンプの入口。テントが林立し、地面は泥でぬかるんでいる。泣き叫ぶ子供、検問所付近の怒号。]
撮影者(息を切らしつつ/翻訳):
「……ここは国境から2キロ手前。今朝から避難民が一気に増えている。食料もテントも足りない。」
[大荷物を背負い、疲れ切った顔の避難民たちが列を成す。裸足や血のついた衣服の者も多い。]
■ 診療所内部
[簡易医療テント。地面に敷いたシートに負傷者が並ぶ。負傷者の多くは手足に包帯を巻いている。]
医師(翻訳):
「次!……噛まれた? どこを? そこを押さえて!」
[避難民の男性が前腕を見せる。"乱暴に食いちぎられたかのような裂傷"が露出する。]
撮影者:
「銃じゃない……歯形だ。」
医師:
「わかってる。今日は“咬傷”ばかりだ。暴動なら刃物や鈍器だろう。ましてや数年前まで内戦が起きていたんだ。銃ならどこでもあるのにわざわざ嚙んだりするなんて。こんなの普通じゃない。」
■ 別の負傷者
[若い女性。肩から背中にかけての大きな裂傷。血が滴る。]
女性(震え声/翻訳):
「……“頭のおかしい人たち”が噛みついてくるの……誰彼かまわず……」
医師:
「落ち着け。感染症を避けるために消毒する。傷口を見せて動かないで。」
[女性は怯えた目で周囲を見回す。]
■ テント外の子供
[段ボールの横にうずくまる少年。毛布を被って震えている。]
撮影者:
「大丈夫か? 何があった?」
少年(震え声/翻訳):
「……お母さん……撃たれたのに起き上がった……目を開けて……ぼくの手をつかんで……」
撮影者:
「きっと生きてたんだろう。よかったな」
少年:
「ちがう! 本当に……胸に大きな穴が開いてたんだ、生きてるはずない!」
■ 診療所に戻る
[カメラが再び医療テント内部へ。騒然とした空気。負傷者の悲鳴、スタッフの叫び。]
医師(叫び声/翻訳):
「誰か押さえて! 出血がまだ——!」
[ベッドの上で暴れる右足に深い咬み傷を負った中年の避難民。負傷の度合いから立つのは困難のように見えるがゆっくりと上体を起こし、やがて完全に立ち上がる。身体は揺れ、表情は焦点が合っていない。]
看護師(驚愕):
「嘘……その傷でなんで… 誰か止めて!」
[中年の避難民は両手を大きく振り回し、前方の医師たちに向かって突進しようとする。]
ボランティア(怒鳴り/翻訳):
「パニックだ! 錯乱してるだけだ、落ち着かせろ!!」
「押さえろ! そっちの腕を——!」
[数人がかりで負傷者を取り押さえようとするが、異常な力で暴れ、備品が散乱する。]
誰か(叫び/翻訳):
「こいつをベッドに拘束しろ!! 動かすな!」
[カメラが大きく揺れ、撮影者がカメラを近くの台に置いて加勢する。ベッドの上に押し倒され、複数のボランティアや医師に押さえつけられている中年の避難民と、その腕を抑えようとする撮影者の姿が映る。]
撮影者(怒号/翻訳):
「くそっ……じっとしてろ!! 押さえろ!!」
[撮影者の罵声。]
撮影者(絶叫/翻訳):
「クソッ、こいつ咬みつきやがった!誰かロープか何か持ってきてくれ!痛え…」
[周囲で悲鳴と叫びが広がる。テントが揺れ、備品の倒れる音。]
[カメラは床に倒れ、レンズに血が飛び散る。数秒後、映像が途切れる。]
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