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REPORT of the DEAD  作者: 残念無念
2026年 4月

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24/69

ミシガン州兵ドキュメンタリー番組・未放送映像書き起こし  撮影日:2026年4月8日

[映像:ミシガン州フォート・カスター。ミシガン州兵第1大隊所属の基地。夕方の弱い陽光が、倉庫群と兵舎の屋根に鈍い光を落としている。背景には絶えず鳴り響くヘリの旋回音、トラックのエンジン音。緊張した空気が漂う。]


ナレーション(番組用仮ナレ:男性)「2026年4月8日。暴動発生から一夜明けたミシガン州フリント市──。市内では“原因不明の暴力行為”がさらに拡大し、警察の手には負えない状況となっていた。WFLN7の取材班は、偶然にもこの日、ミシガン州兵の特集番組を撮影するため基地を訪れていた。」


――――――――――――――


[映像:兵站倉庫前。慌ただしく走る兵士たち。武器庫のシャッターが開き、M4カービン、弾倉、防弾ベスト、催涙ガス弾、シールドが次々と運び出されている。兵士の怒号、積み込み音が混ざる環境音。]


カメラマン:

「……いつもと雰囲気が全然違うな。」

女性レポーター(番組クルー):

「ええ、みなさん急いでますね……。あ、あちらで誰か説明できる人がいますか?」


[レポーターが一人の兵士に声をかける]


レポーター:

「すみません、状況を教えていただけますか?」

兵士(20代、息を切らしながら):

「フリントの状況が悪化してて……緊急招集がかかりました。警察じゃ手に負えないって話で……。すいません、行かないと!」


[兵士は走り去る]


ナレーション:

「暴動は前夜から収束せず、死者・負傷者ともに急増。ミシガン州知事は警戒レベルを引き上げ、州兵への出動準備を要請していた──。」


――――――――――――――


[映像:指揮所テント内。大型スクリーンにはフリント市の地図。赤い点滅が市内の大部分を覆っている。]


大尉(作戦幕僚):

「本部はまだ詳細を把握できてないのか?」

副官:

「はい。市警との連絡も断続的で……“急に市民が互いを襲っている”という報告が多数です。」


[取材班が室内を撮影していると、背後で怒号に近い声]


曹長(地元出身):

「フリントが燃えてんのに、なんで俺たちはここで待ってなきゃならないんだ!」


[苛立つ兵士の声。]


――――――――――――――


[映像:兵士たちがトラックの前で出動の準備を進めている。ヘルメット、防弾ベスト、シールドを装備]


レポーター(小声):

「みなさん、暴徒鎮圧装備ですね……。」

カメラマン:

「まるで戦争みたいだ。」


[そこへ、士官クラスが何人も走って現れる。取材班も後ろからついていく]


――――――――――――――


◆ 司令官のブリーフィング


[映像:会議室。士官および部隊指揮官が20名ほど集まっている。取材班は後方から撮影]


司令官(50代男性):

「全員、よく集まってくれ。すぐに本題に入る。昨日発生した暴動は既にフリント市全域に拡大している。警察も消防も手いっぱいの状況だ。」


[室内がざわつく]


中隊長:

「なら、我々が出るんですね?」


[司令官、首を横に振る。]


司令官:

「……命令が来た。我々は、フリントではなく、オハイオ州トレドへ向かう。」


[ざわめきが怒号に変わる]


複数の士官:

「は!?」「冗談だろ」「地元が燃えてるんだぞ!」

司令官:

「命令は連邦政府からのものだ。反乱法にもとづき、ミシガン州兵は大統領指揮下に移行した。……“ミシガン州の州兵は、オハイオ州の治安維持に派遣せよ”とのことだ。」


若い大尉:

「フリントはどうなるんです! 市民は! 家族だっているんですよ!」


司令官:

「わかっている!だが、命令には従わざるを得ない。連邦化された州兵は、拒否すれば軍法会議だ。」


[沈黙が落ちる]


司令官(低い声で):

「……知事は強く反発している。だが大統領は“フリント市の失態は民主党知事の責任だ”と発言している。」


[士官たちの間から怒号]


士官たち:

「ふざけるな!」「政治利用じゃないか!」「死者が出てるんだぞ!」


――――――――――――――


◆ 現場の兵士へのインタビュー


[映像:外に戻る。兵士たちがトラックに荷物を積み込んでいる]


レポーター:

「いまの命令について、率直なご感想を……」

兵士A(地元出身・30代):

「正気じゃない。家の近くまで暴動が迫ってるのに、“他州の治安維持”?大統領は俺たちを政治ゲームの駒だと思ってる。」

兵士B(20代後半):

「昨日の夜、フリントの弟から電話があったんだ。“家の前で人が噛みつかれてる”って……。それなのにオハイオに行け? ふざけてる。」

兵士C(女性、冷めた声で):

「どうせ私たちがいなくなれば、後で“ミシガン知事が無能だからフリントは崩壊した”って言い出すんでしょ、大統領は。もうウンザリ。」

兵士D(苦笑):

「反乱法なんて何十年ぶりだよ。オハイオ知事は大統領の支持者だから、都合がいいんだろうさ。」


――――――――――――――


◆ 出動の瞬間


[映像:午後5時。基地入口。多数の軍用トラックと装甲車(Humvee)が列をなし、エンジン音が響く。夕日の中、地元出身と思しき隊員たちが重い表情で乗車している。]


レポーター(マイクに向かって):

「こちらミシガン州兵第1大隊の基地前です。本来であればフリント市の暴動鎮圧に向かう予定だった兵士たちですが──連邦政府からの命令により、隣州のオハイオ州トレドへ派遣されることになりました。」


[トラックの荷台で、兵士たちが黙って装備を点検する。誰も笑わない。]


兵士A(荷台からレポーターに向けて):

「……これで地元が守れるわけないだろう。でも命令だからな。俺たちは行くしかない。」


[兵士が拳を握りしめ、荷台のフレームを叩く]


兵士A:

「大統領は“知事の失態だ”なんて言ってるが……だったらなおさら俺たちをフリントに派遣すべきだ」


[エンジン音が一際大きくなる。部隊が動き出す。]


レポーター:

「いま、ミシガン州兵が出発します。彼らはフリント市の家族を後ろに残し──大統領命令によって、州外へ……。」


[トラックの列が基地外道路に流れ込み、遠ざかっていく。夕焼けの道路に土埃が舞う。]



[映像フェードアウト。]

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