ミシガン州フリント市地元テレビ局 報道番組 書き起こし 2026年4月8日
[映像:スタジオ全景。デスクにスーツ姿の男性アナウンサー。背後の巨大モニターにはフリント市の地図。市街地一帯が赤く塗られ、一部が点滅している。画面左上に《BREAKING NEWS》のテロップ]
アナウンサー(男性):
「お伝えしています通り臨時ニュースを続けます。ミシガン州フリント市内では現在、広範囲にわたる大規模な暴動が発生しており、警察および消防当局は“かつてない危機的状況”だとしています。」
[モニターの地図がズームし、「ダウンタウン」「ノースサイド」「ウェストサイド」などの地区名と共に赤い点滅が広がっていく]
アナウンサー:
「こちらの地図は、昨日午後3時以降に緊急通報(911)と出動要請が集中している地域を示したものです。赤く表示されているエリアは、市警が“暴力行為・負傷者多数”と分類した事案が確認された地区ですが──ご覧の通り、フリント市内の大半が赤く染まっている状況です。」
[テロップ:《フリント市内で“前例のない暴力事案” 死者100人超・負傷者1000人以上か》]
アナウンサー:
「当局によりますと、正確な数字はまだ把握できていないものの、警察と消防が確認しただけで死者は100名以上、負傷者は1000人を超える見込みだということです。暴力行為の原因は現時点では不明であり、警察は“市民同士が突然互いを襲う”不可解な事案が多発しているとしています。」
[アナウンサー、原稿から目を上げてカメラを見据える。スタジオが一瞬静まり返る]
アナウンサー:
「それでは、負傷者の受け入れでひっ迫している州立フリント総合医療センター前からの中継です。現場のリポーター、サラ・コリンズさん。」
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[映像:夕暮れ時の病院前。救急車のサイレン、ヘリの音。入口前にはストレッチャーが並び、負傷者と医療スタッフ、警察官がごった返している。マイクを持った女性レポーターがカメラに向かう]
女性レポーター(サラ・コリンズ):
「はい、こちらフリント総合医療センター前です。ご覧の通り、背後では救急車が次々と到着し、途切れることなく負傷者が搬送されてきています。」
[カメラが後ろにパンし、ストレッチャーで運ばれる人々の様子。腕や脚を押さえ、血で染まった包帯。看護師が怒鳴るように指示しながら走り回る]
サラ:
「病院側によりますと、午後だけで少なくとも数百人の負傷者が運び込まれており、救急外来はすでに収容能力を超えているということです。ここで、警察と消防が撮影した市内の映像をご覧ください。」
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[VTRに切り替わる。映像①:ダウンタウンの交差点。路上に転がる人影、壊れた車。遠くで叫び声。 フラつきながら他人に掴みかかる人物、その腕に噛みつく姿が一瞬映る]
サラ(ナレーション):
「こちらは、フリント中心部で撮影された映像です。当初は“略奪を伴う暴動”と見られていましたが、市民同士が突然互いに襲いかかる様子が多数確認されています。」
[映像②:住宅街。前庭で複数の人が揉み合い、そのうちひとりが倒れた相手の肩口に顔を埋める。服が真っ赤に染まる]
サラ(ナレーション):
「多くのケースで、素手での殴打、引っかき、そして“噛みつき”による負傷が報告されています。警察は“薬物の大量使用の可能性も否定できない”としていますが、詳しいことはわかっていません。」
[映像③:ショッピングセンターの駐車場。血の跡が地面に帯のように伸びている。反対側から警察官が銃を構えて近づく。地面に座り込んだ男が、突然膝立ちになってカメラ方向へゆっくり振り向く]
※音声はサイレンと怒号のみで、モザイク処理が入る。映像フェードアウト。
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[VTR:病院ロビー内。簡易ベッドと椅子が埋まり、負傷者があちこちでうめいている。医師と看護師が走り回り、怒鳴り声と泣き声が入り混じる]
サラ:
「ここ、フリント総合医療センターのロビーです。普段は落ち着いた待合スペースですが、ご覧のように廊下やロビーにもベッドやストレッチャーが並べられ、負傷者であふれ返っています。医療スタッフの数は明らかに足りておらず、治療を待つ人々の列が伸び続けています。」
[カメラが椅子に座る中年男性に寄る。腕に厚い包帯、血がにじんでいる]
サラ:
「お怪我をされていますね。失礼ですが、どういった状況で?」
負傷者A(男性・40代):
「店の外に出たら、誰かが通行人に殴りかかってて……止めようとしたら、いきなり腕に噛みつかれたんだ。あんな力、感じたことない。目も……何て言うか……こっちを見てなかった。」
[別のストレッチャー。若い女性が足を押さえ、顔を歪めている。ズボンの裾が裂け、肉がえぐれたような傷口が覗く(モザイク)]
サラ:
「こちらの方は?」
負傷者B(女性・20代):
「車から降りて……何が起きてるのか見ようとしたら、道路に倒れてた人が、急に起き上がって。 助けようとしたら、いきなり足に噛みついてきたの。何度も蹴ったのに離れなくて……誰かが引きはがしてくれなかったら……」
[医師が「もういい、撮影はそこまでだ」と言いながらカメラを押しやろうとする様子が映る]
サラ:
「病院によれば──」
[カメラ、再びサラの顔のアップに戻る]
サラ:
「ここに運び込まれた負傷者の多くが、銃や刃物ではなく、“素手や歯による傷”を負っているとのことです。医師は“通常の暴動とは明らかに様相が異なる”と話していますが、原因は依然として不明です。」
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[中継映像:再び病院前。救急車の列。ストレッチャーが次々と出入りしている。サラがやや声を張り上げる]
サラ:「現在、病院は“これ以上の受け入れは困難”として、州当局に追加の医療支援を要請しています──」
[背後で、ストレッチャーに横たわっていた男性が上半身を起こす。そのすぐ隣のストレッチャーには、腕に包帯を巻いた別の負傷者が座っている]
救急隊員:
「おい、横になってろ! 動くな!」
[シーツの男が首を横にひねり、身を乗り出して隣の負傷者の肩に噛みつく。悲鳴。周囲が一気に騒然となる]
負傷者C(悲鳴):
「やめろ! 離せ!!」
[カメラが一瞬そちらを向き、噛みついている男の横顔と、流れる血が映る。すぐに揺れる映像。居合わせた警察官が銃を抜き、叫ぶ]
警察官:
「そこを離れろ! 離れろ!!」
[発砲音。男の胸元に血しぶきが飛ぶ。なおももがき続けるような姿が一瞬映り、サラが慌ててカメラ前に割り込む]
サラ:
「カメラ止めて! 今すぐ切って! スタジオ、スタジオに戻して!!」
[映像ノイズ。急にスタジオへ切り替わる]
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[中継映像:スタジオ。アナウンサーが硬い表情でカメラを見つめている]
アナウンサー:
「ご覧いただいた映像の一部には、大変ショッキングな内容が含まれていました。視聴者の皆様にお詫び申し上げます。現場の病院前では負傷者の一人が突然暴れ出し、他の負傷者に襲いかかる事案が発生した模様です。詳細は確認中です。」
[背後のモニターに、新たなテロップ]
《フリント市長 州兵出動を要請》
アナウンサー:
「フリント市当局によりますと、市長は先ほど暴動の鎮圧および市民保護のため、ミシガン州知事に対して州兵の出動を正式に要請したということです。現在、州当局および州兵司令部が対応を協議しています。」
[アナウンサー、原稿から目を上げて、ゆっくりと言葉を選ぶ]
アナウンサー:
「繰り返します。フリント市内では、原因不明の暴力事案が多数発生しています。警察は、市民の皆さんに対して──」
[テロップ:《市民へのお願い:外出を控え、不審者に近づかないでください》]
アナウンサー:
「決して不用意に外出せず、自宅など安全な場所にとどまること。窓やドアを施錠し、不審な人物を見かけても近づかず、決して接触しないこと。異常な行動を取る人物を見かけた場合は、ただちにその場を離れ安全な場所に避難することを呼びかけています。」
[スタジオ内、数秒の沈黙。アナウンサーが小さく息を吸う]
アナウンサー:
「以上、フリント市内で続く暴動について、現時点で判明している情報をお伝えしました。続いてのニュースですが──」
[画面フェードアウト]
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