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まさか猫種の私が聖女なんですか?  作者: まるねこ


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21 魔法の本と研究員の話

「君達は古語を自分達の言葉として使っているのか?」

「多分、そうではないかと思います。この世界に来た時、私もローニャも片言でしか言葉が聞き取れず、エサイアス様の邸の人達と話せませんでしたから」

「ではどのようにして聞き取れるようになったのだ?」


「……わかりません。ただ、家令の方に飲み物を勧められて口にすると、世界が開けたような感覚になり言葉が急に理解出来たし、話す事も出来るようになりました」


「異界の物を口にするとその世界の住人と認められるのだろうか?」

「なんだか神々の創世神話に、そんな話がありましたねぇ」


 ゼロさんが私たちに飲み物を持ってきてくれた。


 ローニャは話の腰を折らないように黙っているけれど、飲み物を口にして尻尾をぶんぶんと振っている。


「そうだな。話が逸れた。魔法が古語であれば新しい指輪は作ることが可能だろうな」

「現在私達は獣人の子供達が一般的に持っている危険の無いものでしかありません。新しい指輪を作る事が出来ればその分怪我人を救う事も出来ると思います」

「指輪にはどのような種類があるのカナー」


 ロードさんという茶髪のくりくり毛の研究員さんが聞いてきた。


「指輪には様々な種類があるのですが、私たちの知らない魔法も多いため、すべては分かりません」

「お姉ちゃん、持ってきたアレを見せればいいんじゃない?」


 ローニャは小さな肩掛け鞄に入れてきた本を大切そうにしながらそっと取り出した。

 千切れた箇所が広がらないようにして渡す。

「こ、これは……」


 ローニャから受け取ったマートン長官が魔法の教科書に目を通して驚いている。


「千切れているから気を付けてね! それは私の大事な愛読書なんだからっ!」


 ローニャはぷんすこしながらマートン長官に言っている。そもそもこれはナーニョの教科書なのだが。


「私がリュックに入れて持っていたのですが、魔物に襲われた時にリュックごと千切れてしまったのです。読みにくくてすみません」

「いや、これは貴重な資料だ。丁重に扱わねば」

「長官、本には何が書いてあるのカナー?」

「……指輪の種類と詠唱の言葉のようだ。大昔の落ち人の使っていた魔法に似ているような気もする。資料を見比べてみなければ分からないが」


「現代に魔法が蘇るかもしれないのですね! ロマン溢れる代物ですね。ですが、古語が読める者は少ない。合っているかどうかも分からない。ナーニョ嬢、教えてもらっても?」

「構いません」


「この記述によれば魔法によって指輪の形状が違う気がするのだがどうだろうか?」

「私達が持っている指輪はただの輪っかですが、高位の魔法になるにつれて装飾が付いています。魔力の通りをよくするためなのか私にははっきりと分かりません」


「……この『グレス、ヒュー?』という魔法……これは……」

「グリスコヒュールという魔法は異界の穴を閉じるための魔法です」


 私がその言葉を発した時に長官も研究員もピタリと動きを止めた。


「な、なんだって!? 異界の穴を閉じる!? 本当か?」

「はい。多分、私の憶測でしか言えないのですが、この世界の人達が『短期の空間』と呼ばれているものは別世界、魔法を使う人間の世界や私達の世界の人達が魔法を使い、閉じているのだと思います」


「……その魔法を君は使えるのだろうか?」

「分からないです。私はその指輪を見たことがありません。異界を閉じるのは複数人でするものなのかも分からないのです。

 ただ、国王軍の人たちがやって来て閉じているのは知っています。国王軍の魔法使いである祖母なら指輪を持っていて使っていたのかもしれません」


「そうか、君達は使える可能性はまだ捨てきれないのか」

「長官、まずその書物の解析を進める事が一番ですね」

「ああ、そうだな。ナーニョ嬢、貴重な話を有難う。そろそろ時間だ。エサイアスも迎えに来る頃だ。明日、より詳しい話を聞くと思うが宜しく頼む」


「はい。分かりました」

「マートン長官、その本返してもらってもい~い? 私の愛読書なの。明日また持ってくるね」

「あ、あぁ。すまない。明日また宜しく頼む」


 丁度時間になったようでエサイアス様が迎えに来てくれた。その後ろに二人の騎士もいる。


「ナーニョ嬢、ローニャ嬢、待たせた。後ろの二人は陛下から二人の護衛に就くことになったマルカスとフェルナンドだ」

「マルカスさん、フェルナンドさん宜しくお願いします」

「ナーニョ様、ローニャ様の護衛ができることを嬉しく思います。これから宜しくお願いいたします」


 こうして私たちは邸に戻っていった。


 マルカスさんとフェルナンドさんは主に邸から王宮にいる時間と邸に戻るまでの間の警護をしてくれるらしい。


 邸にいる警備兵も陛下の指示で増えているようだ。


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