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第12話 健康体でも重疲労のはず

 結果。


 相当の筋肉痛以外にも、体力消耗が激しく。ひとつのうねが出来てからは、璐羽によって丁寧に介抱されることに。



「投薬の調合かえっから。ある程度水分補給しといて……璐羽、少しいじる」



 人数分の水筒を琳に渡され、とにかくがぶ飲みしまくった。想像以上の体力低下が激しかったのか、農作業は流石に消耗以外にも心的負担が大きかったようだ。


 最後のお茶を飲み切ったあとに、渇いた心が軽く潤った気がしても、失った体力までは戻らない。



「ごめ……なさ……」



 精神病をなめていたわけではないが、心と体が切り離されてなくてもこの状況は大変ですまない。場合によっては生涯廃人になる恐れもあると、前の主治医には言われていたけれど。


 馴染み過ぎる、琳の調剤があっても体は思った以上に壊れていたのを自覚した。単純に、脳と神経に傷がついているのではないのだと。


『自我維持』が出来ないレベルではないが、意識が切り離されそうで怖い。


 この感覚が頻繁にあったことで、茉歩は入院をする手前だったのだ。今も同じ状況ではあるが表面は通常の生活と変わりない。



「琳。大広間へ行けばいいか?」

「ん。まほっちの布団そこだから。……今なら大丈夫っしょ」

「わかった」



 息切れと意識剥離が始まっているので、うまく聞き取れないでいたが。どうやら、多知獺に運んでもらえるらしい。


 一応上司とか考えている余裕がなかった。とにかく、この場から離れたいという意識が強くて彼にしがみつくので精一杯以外、苦しくて堪らない。


 体が浮いても声をかけてもらっても、心と体の揺れで気持ち悪くてどうにかなりそうだった。



「……暗い、がいい」



 陽の光の刺激で痛いような気分になるため、暗い方がいいと思うようになるのはいつだったか。だから、食事も摂りたくなくて籠った生活をしていた。


 そこから、きちんと変わりたいと思っていたのに、再発したのなら追い出されてしまう方が嫌だった。



「布団、被るか?」



 看護師ではないのに、多知獺の声は優しかった。かすれた声で承諾すれば顔にふんわりした布団が入って暗くなる。ぎゅっとしがみついてやり過ごすいつものやり方を、彼は否定しなかった。


 無我夢中で動いて、手が当たっても。


 柔らかく握ってくれるだけだった。



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