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プロローグ
――昔から何か足りないと言われてきた。
感情は乏しいし、才能はない。
それでもきっと、他人より秀でていたものは私にはあったのだろう。
私はそれすらも伸ばすことができなかった。
知っていたとしても伸ばそうともしなかっただろう。
何をどう努力したところで、変わらないと思ってしまっていたから――
――周りがどんどん消えていく。
私が悪いのか、周囲が悪いのかは決定づける余地も時間もない。
そもそも、絶対に完璧であるはずの自分の周りに、欠けが存在していることが許せなかった。
消えた周りを連れ戻したくても、まったく行動できない。
それは実質的に自分が悪いんだって認めることで。
だから、どうしても私にはケリをつけることが出来なくて――
「『もしも変われるなら、なんだってする』」