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番外編IF:幸せな未来

【注意書き】

※〇〇=凛の相手の名前 凛の相手はご自由に想像下さい。

※少なくとも、小林新君は、相手は不明ですが結婚しています。

 朝の明るい光が公園全体を照らしている。四方八方から聞こえる、子供達のワー!キャー!と言う明るい弾んだ声。その声に、右手の手鏡を見ていた私、凛は思わず微笑んだ。


「凛!」


「何?咲?」


 後ろからかけられた声に、私は身体を半回転させる。手鏡は、懐へしまった。黒髪のミディアムヘアの女性、咲が、手を挙げながらこちらに近付いて来た。彼女の後ろには、旦那である男性達が話していた。咲の明るい色のワンピースが揺れる。彼女は、私の近くに来ると、笑みを浮かべた。


美空(みく)ちゃんと優ちゃん、楽しそうね。」


 私は自分の子供達である美空と優に一度目を向ける。彼女達は姉妹で、二人とも私と同じ茶髪に黒目。美空は小学3年生、優は小学1年生だ。二人とも満面の笑みを浮かべて、楽しそうだ。私には二人が光輝いて見えた。私は視線を咲に戻し、笑みを浮かべて言う。


「そうだね。一葉ちゃんは?奏太君は、美空と一緒だけど。」


 美空と一緒に走り回って遊んでいる男の子に目を向ける。黒髪に黒目の男の子、奏太君は、美空と生まれた時からの幼馴染だ。同い年で、美空と同じクラス。二人はとても仲が良く、良く何人かで遊んでいるのを見かける。


「一葉はあそこよ。優ちゃんもいるわ。」


 咲が指差す方を見ると、黒髪に黒目の女の子、一葉ちゃんが少し離れたところにいた。友達と一緒に花壇でしゃがみつつ、頰に手を当てながら笑顔で色彩豊かな花を見ている。彼女は小学二年生だ。その近くには、いつの間に来ていたのか、優もいる。優が話しかけると、一葉ちゃんが顔を綻ばせる。二人は並んで目の前の花壇に視線を戻した。


 私は四人に目を向け、その様子に微笑を浮かべる。皆、可愛い。


「奏太君、美空と良く遊んでくれるよね。美空に優しいし。ありがとう。」


「そうなのね。でも家だと、……。ありがとう。」


 咲は、黒目を瞬かせると、数秒後、穏やかに微笑んだ。


「美空ちゃんも、良い子よね。元気良く挨拶してくれるし。勿論、優ちゃんもね。優しい子よね。」


「ありがとう。一葉ちゃんも。頭が良いよね。」


「ありがとう。」


 咲の言葉に、私は満面の笑みを浮かべた。続けて褒めると、咲は顔を綻ばせた。私は、美空達に視線を戻す。いつの間にか、奏太君が美空の手を引いて先導していた。美空は嬉しそうにしながら後をついて行く。私はその様子を目を細めてじっと見る。しっかりと繋がれた手に、奏太君の想いが籠っているように見える。私はくす、と笑うと、咲に視線を戻す。そして、美空達の手を差し示した。


「ほら、奏太君が美空の手を引いてる。」


「そうね。……奏太ー!優しくしてあげてよー!」


「分かってるー!」


「お母さーん!」


 前を向いていた美空達は、揃って振り返る。一度目を見合わせると、笑顔で空いた手で手を振り返す。それぞれが元気良く返事をした。私は、優!と呼んだ後、彼女達に手を振り返した。一度美空は手を離そうとしたが、奏太君が口を動かす。すると、美空は笑みを浮かべ、空いた手で振り返して来た。彼等は顔を見合わせると、笑い合い、手を繋いだまま再び駆けて行った。


 はあー、と言う声が聞こえ、私は隣を見る。咲が複雑そうな笑みを浮かべて美空達を見ていた。彼女は私の視線に気付くと、苦笑する。


「ごめん。後で言っておくから。奏太君、美空ちゃんのこと気に入ってるみたいで……。」


 後半は顔を近付け、声を落として言う咲。それに、私はくす、と笑う。この間までまだ小さかったのに、もうそんな時期か。私は、美空を一瞥してから、視線を戻した。


「もしかして初恋?美空も楽しそうだし、別に良いよ。……美空も、もしかしたら……。」


 そしたら、両思いってこと?私はキャー!と高い悲鳴を上げた。


「素敵ね!」


「ええ……。それはどうかしら。」


 咲はすっきりしない表情をした。


「美空ちゃんは可愛いけど、奏太にはまだ早いかな……。」


 咲は、笑みとも苦笑のどちらとも付かない顔で、奏太君に視線を向ける。奏太君達は、私達の考えを知らず、生き生きと遊んでいる。私は、今日の美空の話を思い出した。


 美空は奏太君から貰ったと満面の笑みで首元の首飾りに触れていた。私は良かったね、と微笑んで返した。この間美空が花冠を作ってあげたらしく、それのお礼らしい。一生懸命美空のために奏太君が作ったと感じ取れた。首飾りは日の光に照らされてか、淡く光っているように見える。


 私は少し前に美空が奏太君に抱き付いているのを見たのを思い出した。私は知らず識らずのうちに微笑んでいた。あの時か。あの時は、咲と顔を見合わせ、可愛い!奏太君が照れてる!と言い合った。


 私は過去のことを思い出しながら、美空の首飾りを見て、目を細めた。後で押し花かしおりにしてあげようかな。良い思い出になるし。二人のもし、を想像して、私はくす、と笑った。


 私の脳裏に、将来成長した美空の隣に並ぶ奏太君の姿を想像する。


「私達も、親戚になるかもね。」


 笑顔を向けて言うと、咲はパシ、と音を立てて私の肩を叩いた。……全然痛くない。彼女は、半分笑いながら、言った。


「気が早いわよ!」


「そうかもね。」


 ……でも、案外あっという間だったりして。その時に、美空や優の隣に立ってるのは、誰かな。子供達の希望に満ちた将来を想像して、私は、笑みを深めた。もしかしたら、本当に、咲と親戚になる未来もあったりして。私は、隣に立つ彼女を一度視線を向け、すぐに戻した。胸が弾んだ。それは、それで楽しそう。私達の関係が、美空達を通じて、未来に引き継がれるのね。


 そのまま、私と咲やお互いの近況や子供達について話した。


 暫くして。


「凛!」


 後ろから名前が呼ばれた。〇〇の声だ!夫である〇〇のいる方に、私は振り返る。


「はーい!」


 そして、咲にまた後で、と声をかけ、私は〇〇の元へ足を向ける。


「今行く!」


 歩きながら、一度手鏡で自分の顔を見てみる。傷一つない綺麗な鏡面には、いつもと同じ、笑顔の私が写っている。私は笑顔を溢し、手鏡を鞄にしまう。


 そして私は大好きな〇〇の元へ駆け足で向かった。


「〇〇、何ー?」

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