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5 シャワールームで

このジムのシャワールームは居心地が良くて大好きだ!


他のジムだと、シャワー室は個室で狭く、台数も少なく、混んでいれば並ぶ必要がある。しかも、大抵制限時間付きだし、後ろに並ばれてたらゆっくり入ることも難しい。


その点、このジムのシャワールームは、大きな洗い場に幾つもシャワーが並んでおり、仕切りがあるだけのシンプルな作り。広くて銭湯のような解放感がある。


オレの部屋は風呂なしだから、このジムのシャワーには本当に世話になっている。


今日はトレーニングをしてないので、汗をかくようなことはしてないが、冷や汗をかいた…疲れも洗い流したくて、頭から思いっきりシャワーを浴びた。



オレが気持ちよくシャワーを満喫しているところへ、累とお隣君もやってきた。

そして当たり前のように、オレの両ポジに陣取った。


あれ?ちょっと待て。他にもたくさんシャワー空いてるよな?なんでオレのすぐ隣に来るの?


しかし、突っ込むのも面倒なので、無視して頭を洗うことにした。


すると、累が突然オレに話しかけてきた。


「師匠って、すんごいデカいっスよねー!」

ちょ…、オマエ何を言い出してんの?


ここは大人の対応で、慌てず騒がず、完っ全っ無視!

シャワーの音で聞こえなかったことにしよう。


そしたら累のヤツ、オレを通り越して、今度はお隣君に話しかけ始めた。


「二番弟子は知ってたっスかー?」


お隣君の名前「二番弟子」になったのか。

せっかく名乗って挨拶したのに意味なかったね…。


「師匠のすんごいデカいの!」

だからオマエ、本当に止めろ!


無視をきめこんだが、お隣君の様子が気になり、チラリと横目で見る。


すると、お隣君、顔を赤らめてオレを見上げている。

おいおい、待ってくれ。そんな顔しても、オレ見せないよ?


「あー何だな、ほら、オレって、背がデカいよな!」

「累もそういうことを言ってるんだよな!」


…って、何でオレが取り繕っているんだろ。


もういいや、さっさと流して上がろう。そうしよう…。




二人を置いて先にシャワールームを出たが、オレ髪が長いから、ドライヤーに時間がかかって、結局二人に追い付かれてしまった。


しかし何だね、キミたち。一緒にシャワーに来て、一緒にシャワー上がって、意外と仲良くなったりしたの?それともお互いに牽制し合ってるの?うーん、後者だろうな…。


結局3人揃って外に出た。


累がオレに「師匠、腹へったー!」と言ってくる。

直訳すると「オレに昼メシを奢れ」と…。

時間も12時半で、ちょうど昼時。でも、勘弁してほしい。もうオレを開放してくれ…。


「オレ今日このまま帰るから。また今度な!お疲れ!」

そう言って、アパートの方に歩き出す。


すると、お隣君が黙ってオレの後ろを付いてきた。ああ、そうか、アパート一緒だもんな。


でもお隣君、キミも累の性格分かったでしょ?ここは気を利かせて、バラバラに帰って欲しかったな。


案の定、累が大騒ぎを始めた。


「ええー? 何スか? 何でそいつと一緒に帰るんスか? おれ一人仲間外れっスか?」


商店街を行きかう人達が、何事かとオレ達に注目している。




そうして、仕方なくオレは3人で昼メシを食うことにした。


お隣君と同じアパートに住んでることや、それが縁でジムを紹介したことも、全部累に伝えておこう。今後のことも考えたら、それが一番いいだろう…。


そしてお隣君と累が仲良くなって、オレ抜きで2人一緒にトレーニングやってくれるといいな…と、淡い期待を抱いた。


まぁ、今日の様子じゃ、そんな日がくるとは思えないが…。

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