③大京の物語 想像の詩人
あやか きーちゃん 山田先輩 差配人等など読者が自由にモデルを想定して 空想妄想幻想に楽しんでくださいませ 但し 作者はあくまでも特定のモデルだけでなく 複数の方の混合 コンポジションイメージで造作していますので そこんところヨロシクです
③大京の物語 想像の詩人
旅に出ると聞きつけて有象無象がワラワラと集まってきた。免許取れたんだろ。クルマ貸してやっか。年長組からはそんなありがたい申し出もあった。止めとけ。事故るのがオチだ。あやかの意地の悪い声も聞こえる。だけどそんな免許取得前の自分をよくクルマに乗せて実習の面倒をみてくれたのがあやかだった。すこぶるつきのスパルタ式だったが。あまりにもボンボン叩くのでほんまもんのアホになっちゃうと言いつのったがアホなのは元からやとてんで相手にされない。もっともハリセンだったが。後から知ったのだがそのハリセンも山田先輩が用意してくれたもので、どうせあやかの事だから手が早いやろということでクッションがわりにあやかに持たせたらしい。山田先輩ほか何人かの年長さんにはホントにお世話になった。年少組はキャピキャピとうるさいだけだったけど。ピーチクパーチクスズメの子。差配人は我が劇団が誇る二大スターが事故るのが心配だと言ってあやかのコーチには反対していた。助手席のあやかが言い放った。なにをそんなンお世辞に決まっておろうが。そんなンに舞い上がっとんのがナントカのブタつぅんだ。リンネのブタ?突然声が飛んできた。クルマのドアの窓枠にしがみつくようにきーちゃんがいた。ニコニコしているきーちゃんに照れ隠しであやかも笑い返す。いんや、コイツの場合はおだてブタつぅんだ。そうカンタンに道連れにされてたまるものか。安心しろお前が引退したらオレ様がドライバーとしてお前さんを雇ってやる。誰かさんに運転してもらってオレ様は助手席でぐぅぐぅいびきをかきながら寝るつぅンがオレ様の将来の楽しみなんだ。じょーだんこころの声だ。あやかのやつ年少の自分があやかより先に引退すると決めてかかってやがる。ううん。最初に助手席に座るのはボクだよ。きーちゃんがにわかに主張しだした。いやコイツの運転マジでこぇーで。命がいくつあっても足んないって。死んでもまたすぐに生まれてくるからノープロブレムだよ。きーちゃんコワい。あやかに負けず劣らず怖いことをいう。うんや、きーちゃんにケガさせたらあかん。差配人にコロされるって。だからあやかが先の方がいい終いまで言い終わらないうちにあやかのケリが入った。ホンマに足がわるいのん?斜め下から睨めつけるようにあやかの顔を窺う。ハリセンはというといつの間にか後ろの席に放り投げてあった。乗っていい?ああ。あやかの返事を聞くとホントに楽しそうにきーちゃんが後ろの席に乗り込んできた。ハリセンを手にポンポンと片方の手のひらに打ちつけていた。だが結局クルマでの出発は差配人に止められた。母親と温泉旅行でもと思ったが、今回は趣旨が違う。難波から東へとりあえず電車とバスで一人旅に出ることにした。おう行ってこい。おみやげは〜がいい……あやかの声を振り切って出発した。