表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/101

第39話・三虎暗躍

駿河に目を奪われていた間に信濃でも雪斎党の胎動が…

彼らの狙いは佐久か諏訪か伊那平か?

坂井忠の傷が癒えるまで、しばらく信州にお付き合い下さい。

…ところで三虎って何だ?と思われた方は本文へ


PS.ここでお詫びと訂正です。

本文中、諏訪兄弟の表記が逆になっておりました…

わざわざ家系図まで作ったのに(トホホ)…だから人名は苦手って言ってたのに…

2023/08/30以前に読んだ方々、混乱させ申し訳ございません。

本文、修正いたしました。

戦国奇聞!(せんごくキブン!) 第39話・三虎暗躍


 草薙紗綾捜索も気になる所ではあるが、今回は勘助が掴んだ深志(松本)の動きを追う事とする。

 まず、現状の信州の勢力分布を思い出していただきたい。

 “…は?んな事 覚えてねぇよ!” と思った方は 第32話・教えて!周辺状況 図2:信州勢力図 をご覧下さいな。

(苦労して略図 作って置いて良かった…)

 で、透波(すっぱ)が掴んだ情報と言うのは 小笠原長時が兵を集めている と言う物である。

 その数(およ)そ 四千。 高遠の時と同じような数だが、こちらは一応 信濃守護であるし、自前の軍勢も高遠勢よりは揃っている。

 実際の規模は六千以上と見積っておく方が良いし、これだけの兵を遊ばせておく筈もない。

 軍師勘助はアラートレベルを上げ、佐久や上州の動きにも警戒を強めた。

 勘助が想定した小笠原長時の戦略は以下である。 (図1)


 図1:

挿絵(By みてみん)


 目標:支配地の喉に刺さった棘、高遠城を落とし、分断されている伊那平の完全支配を取り戻す。

 手順1.佐久の村上義清を動かし、諏訪からの武田の援軍を牽制する。

 手順2.深志から長時本隊が高遠城を囲む。

 手順3.刻を合わせ松尾から信定隊が高遠城を囲み、板垣信方を追い返す。


 小笠原の動員前に陽動である村上義清が佐久で動くと読んでいるのだが、村上勢は静かである。

 長時と義清の連絡漏れか、互いの目論見の違いがあるのか気になる所だが、佐久では真田が前々から防衛線を張っているので、村上勢の足止めは出来ると踏んでいた。

 長時本隊が一気に諏訪に侵攻する策も無いではないが、下諏訪から上諏訪に入る道筋の関所には原虎胤の旗を掲げておいた。

 これは小笠原除けの御札みたいなもので、夜叉美濃(虎胤)は長時のトラウマとなっているであろうから、侵入を防ぐ長時封じである。

 高遠城の板垣勢には兵糧の蓄え、飛丸の整備、杖突街道からの補給路の警備を指示しているので、死角無し。


 勘助は鼻の穴を膨らませ “万全で御座る” とのたまった。

 後は村上の動きを待って、作戦発動のタイミングを見るだけである。

 …しかし…待っているってのは…退屈で…退屈で(欠伸(ふあぁ))…ならねぇ (あくび指南より)

 と、言う事で作者と読者の皆さまは 小笠原辺りの状況を覗いてみたいと思うのである。


―――――――――

 時は少し、3カ月ほど 遡る。

 ここは深志林城、信濃守護 小笠原長時の居城である。

 この当時の城は、現在の人間が思い浮かべる 大阪城や姫路城の様な天守が聳える城とは、かなりイメージが異なる。

 この林城も戦の時に籠る2つの峰に分かれた大小の砦と、間の谷にある普段生活する館の総称であった。

 で、この城の主、小笠原長時は…燻ぶっていた。

 良い所を見せようと、家臣が止めるのも聞かず 高遠の誘いに乗り、原虎胤の策に嵌められ、勝弦峠で一蹴されてから 半ば引き籠りである。

 そんな閑散とした館に訪い(おとない)を入れる者が二人。

 二人とも修験者姿であるが、一人は見覚えがある。ヒョロッとした体で癖毛の頭髪を後ろで束ね、ギョロッとした目の雪斎党・藤堂健一であった。

 もう一人はズングリした体格で糸の様に細い目をした30匇々(そこそこ)の男である。

 二人は怪しげな雰囲気を醸しながら、館に吸い込まれるように入って行った。


 小笠原館の一室で藤堂らは、長時を待っていた。 (長時間ではない、長時(ながとき)を待っているのだ)

 藤堂は胡坐で後ろ手を付き、通された部屋を眺め 薄ら笑いを浮かべながら喋り出した。


「ふん…粗末な部屋だね。…これが雪斎の使いを通す所かねぇ?守護の館だ、もう少しましな部屋もあるだろうに…」


 同じ胡坐でも背筋をピンと伸ばし、胸を張ったもう一人の男が 声低く返答した。


「この様な(なり)でいきなり 名門の守護に合わせろと言うておるのじゃ。通されただけでも まだマシと思うが…」

「…名門ねぇ。そんなモンを鼻に掛けているから 鼻が利かなくなるんだ。

弓馬の家元だか何だか知らないけど、大将が一人で勝てる訳ないよな、ハハ」

「三虎殿、声が高いぞ、外に漏れる」

「あ? …聞かせてるんだ…ワザとね。ここの主がどの程度のお方か…ね」


 その言葉を聞き終わったのか 奥の戸が音も無く開き 険しい目付きの40過ぎの男が入ってきた。

 藤堂を睨み付け、声高に問い質した


(なんじ)らが、雪斎殿の使いか? 無礼を申さば 使いと言えど 許さぬぞ!」


 藤堂たちは一応姿勢を正し、辞儀をした。

 頭を上げると立っている男に向かい語り掛けた。


「はて、何やら聞こえましたかな?

(それがし)楯岡道順(たておかどうじゅん)と申す者、またここに控えますは藤堂三虎(とうどうみとら)。 ※1

本日は長時様に善き話をお持ちしたと心得ておりますが…貴方様はどちら様で?」


 険しい目付きの男は藤堂たちの前に腰を下ろし、呼吸を整え、名乗った。


「儂は深志の軍略に関しては長時様より一任されておる、神田将監である。

(なんじ)らが持参いたし書状、披見(ひけん)いたしたが、なかなかに面白き物であった。

なれど、書状には雪斎殿の花押(かおう)も無く 、(なんじ)らが(まこと)の使いなるか…」

「ぷっ…雪斎様が(はかりごと)の密書に花押を残すほどの 阿呆とお思いか、将監殿」

「…それはそうじゃが、(なんじ)らを疑って(うたごうて)いる者が居るのも、事実。

…何かの罠かもしれぬゆえ、首刎ねよと申す者も居る次第」


 何やら小難しいやり取りをしているが、要するに 小笠原側は持ち込まれた悪巧みの書状に興味を引かれたが 本物かどうか疑っていて、面倒だから後腐れ無いように藤堂たちを殺してしまえ…と言う意見も出てる と、言っているのである。

 実績は欲しいがプライドMAXで猜疑心もMAXな長時辺りが言いそうな事ではある。

 首を刎ねると言われ、腰を浮かしかけた藤堂を隣の楯岡道順が制しながら


「信じられぬと申されるのか、将監殿?

ははは、ならば簡単に我等が事、証明できる人物が居る。…この館に高遠頼継が厄介になって居るじゃろ?

先般 武田に打ち掛かった折、高遠に三千が兵を与えたのは儂らじゃ。

ここに我らに宛てた礼状が有るぞ。頼継の花押(かおう)付きじゃ。本物かどうか、高遠に尋ねるが良い」


 楯岡道順はニヤつきながら、懐から一通の書状を取り出し 将監の前にポイと投げた。

 将監は書状を拾い上げ、中を改め 頷いた。 …頼継の書状に間違いは無かった。

 …ん、って事は やはり高遠の反乱は駿河が裏で手を貸していた…て事だったのか。 (※2)


「成程、書状は本物らしいの…

貴公らの身分は承知いたした。…したが、解せぬ事も残って居る。

今川は北条と戦をしてまで、武田と同盟を結んで居ろう? されば なぜ我等に加勢を致すのじゃ?何が狙いじゃ!」


 将監の質問に楯岡道順は口を(つぐ)むが 藤堂はあっさりと喋り出した。


「それはね、武田に余り大きくなって欲しくないんだ…

このままだと、信濃は全部 武田が取ってしまうだろ?それは後々厄介だ…

うちが甲斐を取っても良いんだが、今川の目はそっちを向いていない…

判り易く言えば、しばらくの間、武田は甲斐の山奥でじっとしていて欲しいって事だよ。

時期が来れば…甲斐も武蔵も取るんだけど、今じゃ無い。

…あ、小笠原が甲斐を取っても別に構わないよ。今川の邪魔をしなければね」

「…」


 そこらに転がる石ころを取る様に国取りを口にする 三虎とか言う者の口振りに、気味悪さを感じる神田将監であった。

 将監の表情を読み、被せる様に道順が話を進める。


「得心いただけましたかな? よろしければ、書状に有りました様に兵三千、御用立ていたしますが…」

「ううむ…」


 将監の目にはなおも逡巡の色が消えていない。

 それを見て取った藤堂は将監に向かい からかう様な口調で


「兵三千は多過ぎますか?

…高遠は使いこなせず、哀れ弟の首を獲られてしまいましたからね。

小笠原は二千ほどに減らしましょうか?」


 将監がギリッ と歯ぎしりし、藤堂を睨んだ。

 その時 “カツン” と藤堂の膝前 三寸(9㎝)の床に矢が突き立った。

 部屋の左手、開け放たれていた戸の向こう。 中庭の先に弓を放った者が一人立っている。

 そのまま次の矢を(つが)えながら ツカツカと歩み寄ると口を開いた。


「様 を付けよ、下賤の者。 如何なる時も “小笠原様” じゃ。

…兵三千を使いこなせるか じゃと? 小笠原は武門の家じゃ、見くびるな!」


 藤堂と道順は平伏し、道順が頭を下げたまま弓を持った男に話しかけた。


「これは長時様。 目通り叶い 祝着至極(しゅうちゃくしごく)に存じます。

それになんと頼もしきお言葉、敬服いたしました。

三虎が事 お許し下さりませ…お詫びと申してはご無礼やもしれませぬが、兵は4千、ご用意させていただきまする」


 長時は矢を(つが)えたまま、将監に頷いて見せた。

 将監も頷き返し、平伏している二人に向け声高に


「雪斎殿の誘い、乗ってみても面白かろう」


 将監の言葉に頭を上げようとした道順の顔横 三寸に矢が突き立ち、長時の声が被さった。


「誰が(おもて)を上げて良いと申した。 小笠原の弓を侮るでないぞ…

(なんじ)らが主に伝えよ。 今後信濃の太守への使いは、身分に相応しい者を寄越せとな!」


 長時は押さえていた怒りを矢に込め、撃ち終わると踵を返し庭の奥へ消えていった。

 藤堂の読み通り、道順と二人の会話は キッチリ最初から聞いていたのであろう。

 怒りに任せて手打ちにするほど 愚かでは無いが、表情を変えず流すにはプライドが高すぎる様だ。

 長時の気配が消えた頃、藤堂たちは身を起こし 床に突き立った矢を抜いた。

 そして何事もなかったかの様に、目の前の将監に向かい


「戦をするに “矢” の数は足りますかな? 何ならそれもご用立ていたしましょうか?

さて、長時様からのお許しも出た事で、細かな段取りをお伝えいたしましょう…

諏訪の衆と足並みを揃えていただかねばいけませぬので…」


 ※1:三虎(みとら)→虎虎虎→トラトラトラ 一発逆転が大好きな藤堂の こだわりの名乗りである。 (あっ誰も付いて来ていない…)

 ※2:なんか臭ってたんだよなぁ、と言うのは 第16話と第25話 熟読。(伏線の回収~)


―――――――――

 時は小笠原の覗き見から戻り 今、である。

 場所は朝からどんよりと曇った空が気分も湿らす、諏訪上原城だ。

 その上原城の城門付近に数騎の騎馬武者が駆け込んできた。

 背負った旗印は諏訪家の物である。

 一騎が門に近づき大声で訪い(おとない)を入れる。


「我等、諏訪満隆(みつたか)が一党、頼重様に注進の儀あり! 開門(かいも~ん)


 門番から実質的城主である武田信繫に報告が入り、信繁が急行する間にも 門外には戦支度の満隆一党が増えていた。

 その数、二百を超えている。 異常事態である。

 信繁は二の丸から状況を見つつ、傍らの側近 山高親之に訊ねた。


「佐久の真田から知らせは無いか?動くとすれば村上勢が先との読みであったが…」

「否、動きを伝える様な物は何も。また塩尻、府中いづこからも知らせは来ておりませぬ」

「うむ、狼煙はどうじゃ?」

「今日は雲が低く、狼煙台は見えませぬ」

「そうであったな…真田幸綱は未だ帰らぬのか?」

「は、未だ…」

「是非も無いな。…まずは門外じゃ。大手は開けるなよ。

儂が潜りを開け、門外の衆に何用か尋ねてみよう。

あ、それから、念の為 第一報の狼煙を上げておけ」

「今日の空では…見えますかな?」

「念の為じゃ」


 大手門に急ぐ信繫であったが、一の曲輪に来た時には既に馬を引き満隆一党が城内に入って来ていた。

 見ると諏訪家重臣、田中淡路が諏訪満隆(みつたか)と語り合っている。

 彼が勝手に門を開いた様である。

 田中淡路は諏訪家への忠心は厚いが、考えが薄い所がある。(※3)

 駆け付けて来た信繫隊が満隆一党を追い返すべきか、刀の柄を握り 信繁の指示を待っている。

 対応を間違えると修羅場となる。

 信繫は頭を振りながら、満隆に近づき声を掛けた。


「満隆殿、物々しき様(ものものしきさま)で御座るな…如何されましたか?」


 満隆は目の下にクッキリ くまを作り、かなり老けた印象であるが、(よわい)は40ソコソコである。

 心労が強かったのであろう、青クマである。


「おぉ、信繫殿、兄者がえらい事じゃ。 ここでは人目が多いゆえ詳しくは申せぬ事じゃ。早う頼重が所へ」

「…この戦支度は何事です?」


 満隆は信繫に顔を近づけ、声を落とし


「長時の軍が峠を越えて下諏訪に入ったそうじゃ。

満隣(みつちか)兄者は長時と手を組んだ…謀反じゃ。…早う頼重が所へ」

「!」


 ※3:諏訪家重臣といえば、重臣Aであるが、場面とそぐわないので名乗って貰った。彼の頑張りは第10話、11話参照。


 えー中の人です。

 人の名前って覚えられないですよね。 私は苦手です!

 諏訪家の人々が画策している様ですが、判らないでしょ?

 取り敢えず 現当主 頼重と出て来た人達の関係だけまとめました。

 ご参考までに… (図2)

 図2:諏訪家系図

挿絵(By みてみん)


 今回は叔父、甥の3人が登場人物です。

 で、この叔父さんたちは、ここ上原城から1里ほど 諏訪湖寄りの桑原城を守っていたのですが、次男満隣(みつちか)が小笠原と手を組んで、三男満隆(みつたか)が 袂を分け 頼重に知らせに来た と、言う事らしいですね。

 それはそうと、下諏訪から上諏訪に入る道は諏訪湖の東西2か所のみです。

 で桑原城は東側の防御でして、そこが働かなくなると言う事は…

 ヤバイじゃないですか!

 と、状況をご理解いただいたところで、本編をお愉しみ下さい。


―――――――――

 謁見の間で 形の上では城主である諏訪頼重を上座に戴き、緊急会議である。

 頼重は突然の呼び出しに怒った様な表情で満隆を睨み、問い質す。


「叔父上!一体、何事じゃ?」


 満隆は疲労困憊の顔色で、ボソボソと説明しだす。


満隣(みつちか)兄者が小笠原と手を結んだ…大祝(おおほうり)を諏訪に取り戻すと申して…」

「は?大祝(おおほうり)はこの諏訪頼重ですぞ。 長時なんぞに丸め込まれ、満隣(みつちか)叔父は(うつ)けか」


 満隆(みつたか)はキッと頼重を睨み、精一杯胸をはり、甥に意見し出した。


「頼重!お主がうかうかしておるから、兄者が馬鹿をするのじゃ!」

「は?叔父上 何を申される。儂が何としたと?」

「虎王丸が事じゃ!倅と嫁を一緒に甲斐に持っていかれ、お主はただ飼われておるだけとの噂じゃが、本当なのか!

それが本当であれば、諏訪大祝(おおほうり)家は 真実 甲斐に乗っ取られたと言う事になるわい」

「馬鹿な話を…誰の言じゃ!」

「誰でも良い!違うと言うなら、嫁と倅をここで見せてみよ!」

(たれ)かある! 禰々と虎王丸をここへ連れて参れ!」


 何やら諏訪家の親類の喧嘩である。信繫たち武田の者は口を出せず、成り行きを見守るだけであった。

 小笠原対策を急ぎたい信繫は、内心 やきもきしながらも、早く諏訪満隆の機嫌が直り、防衛戦に使えないかなぁ と思っていた。

 半刻と経たず、奥の戸を開け 幼子を抱いた女性(にょしょう)が入って来た。

 鎧武者を前に、優雅に挨拶をする禰々である。

 満隆は相好を崩し幼子を呼んだ。


「おぉ、おぉ 虎王丸。大きく(おおきゅう)なったの…この叔父が撫でて進ぜよう」


 母 禰々に促され、トコトコと満隆の許に歩み寄る虎王丸。それをヒョイと抱きかかえ満隆はニヤリと笑った。

 満隆は手にした鉄扇の親骨で床を打ち、低い声で叫んだ。


「今じゃ!」


 驚く虎王丸に短刀を当て、頼重に見せる満隆。

 先ほどまでの疲労困憊さからは想像できない、太々(ふてぶて)しい表情である。

 同時に謁見の間の外で控えていた武者数人が部屋に走り込み、室内を制圧した。

 (たばか)られた…満隆も謀反側であった。

 信繫や側近の数人は抜刀し、対峙したが、いち早く状況を見て取った信繫が制した。


「虎王を取られた。皆 動くな」


 満隆はチラと信繫を見、微笑みながら喋りだす。


「流石は晴信殿の弟君じゃ、判断が早い。

さて、頼重。事の次第、教えて欲しいか?

信繫殿はどうじゃ?」


 信繫はゆっくりと頷いた。


「左様か…ならば教えてやろう。

…動かぬ事じゃ。 ここから動かず、甲斐からの援軍もここから先へは通さぬ。

無論、杖突峠にも行かせはせぬ。

…先は長い、取り敢えず 皆 腰でも下ろそうか」


 満隆を睨んだまま、言葉に従い座る信繫である。

 小笠原の調略を警戒していないのは油断であった。

 そして村上勢が先に動く との読みは予断であった。

 信繫はこの危機を脱する事が出来るのか?

 愈々(いよいよ)迫る、小笠原との対決は?

 と、言う事で 次回に続く。


第39話・三虎暗躍 完



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ