台風の名前のお話
※ 武 頼庵(藤谷 K介)様 主催「秋は〇〇〇!!企画」に参加しています。
秋の風物詩にも色々ありますが、あまりありがたくない風物詩の筆頭が『台風』ですね。
台風による被害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。
ところで、台風にはそれぞれ名前がつけられていることを御存じでしょうか。
日本では『台風〇号』と呼ぶのが一般的ですが、実は国際的に共通の名前が付けられているのです。
古いところでは、昔の水害の話などで『キャスリーン台風』『ジェーン台風』なんて名を聞いたこともあるのではないでしょうか。
アメリカでは古くから台風に女性名をつけるのが一般的で、戦後の日本もそれと同じ名称を使うようになりました。途中で色々と問題になって、男女の名を交互に使うようになりましたけどね。
状況が大きく変わったのは2000年です。
アジアの13の国と地域、アメリカとで国際機関『台風委員会』が発足し、それぞれが10ずつ台風の名前の候補を出しました。10×14で140の名前がリストアップされ、それを順番に使うことになったのです。リストの最後まで使ったら最初に戻る、というわけですね。
各国が挙げた名前は、地名や人名、動植物の名前や神話の神様の名前など、実に多彩です。
日ごろ触れることのほとんどないクメール語やチャモロ語、ヤップ語などの単語もあり、なかなか耳慣れないユニークな響きのものも多々あります。
そして、日本が台風の名前のリストに挙げたのは『星座の日本語の名前』です。
まあ、日本の神話だとちょっと拒絶反応があることも予想されますし、無難なところでしょうか。
当初、挙げられた名前を見てみますと──。
『テンビン』
『ヤギ』
『ウサギ』
『カジキ』
『カンムリ』
『クジラ』
『コップ』
『コンパス』
『トカゲ』
『ワシ』
──ちょっと待て。何かヘンなのが混じってないか?
『コップ』
『コンパス』
──おいおい、誰だよこれ選んだの⁉
何でわざわざ、横文字由来のものを選ぶかなー。しかも星座として別にメジャーなわけでもないのに。
国際的に使われる名前なんだから、せっかくならもっとこう、日本語として響きの美しいものを選ぶとかさぁ──。
百歩譲って横文字由来を使うにしても、『ケンタウロス』とか『ペガサス』『アンドロメダ』とか、カッコいい響きのやつが他にいくらでもあるやん!
よりにもよって『コップ』ってあんた……(溜息
何というか、日本ってこういうところのアピール・センスが壊滅的に垢抜けないですよね。
これを知った時、もう乾いた笑いしか出ませんでしたわw
ちなみに、甚大な被害を出した台風の名前は、報道などで繰り返し使われることも多く、紛らわしさを避けるために変更されることがあります。
これまでに変更されたものは──。
『テンビン』→『コイヌ』
『カンムリ』→『コト』
『ワシ』→『ハト』→『ヤマネコ』
そして、件の『コップ』は現在『コグマ』に変更されていて、二度と使われることはなさそうです。やれやれ。
──でも、まだダサい星座名は他にも残ってるから、油断は出来ないのです。
なお、コップ座の名誉(?)のために少し付け加えておきますと──。
コップ座は学名『Crater』──ギリシャ神話ではアポロンの酒器またはワイン壺とも言われ、形も『コップ』という言葉からイメージするようなあの形ではありません。
両側に取っ手のついた、優勝カップのような形です。
だったら『さかずき座』とかにした方が良かったのに。
そもそも、これに『コップ座』なんてダサい日本名を付けてしまったのが元凶なわけで──誰だよ、こんなくっそダサいセンスの持ち主は?
そう思って調べてみたら、これを決めたのは学術研究会議──現在のあの『日本学術会議』だそうですw