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「ランク20~30向きのダンジョンにしては、気味の悪い洞窟ね」
「ああ、なんで周りに血が飛び散ってんのかわからねーけど・・・・・・・・・」
そうなのだ。私がヒョウゴの案内で来たダンジョンは確かに入り口の看板に「ランク20~30対応」と書いてあるが!問題はその入り口付近に飛び散る夥しい血痕。血の跡から戦闘があったことはわかるが、だが、血痕以外この場には何もないのだ。わかるだろうか?破壊された防具や武器もなければ、肉片も死体もない。それどころか、鳥の鳴き声すら聞こえてこないのだ。
「姉さん、これはなんかヤバい気がする。通常のゲームではあり得ない」
「う~~ん、というか、あんた気づいてる?さっきから殺気がちらほらあんの?」
「ああ、気づいてた。CPUではねーな」
「・・・・・・・・・?そうね、これは私たちより格上のプレイヤーよ。しかも5人かしら?はっ!私に立ち向かってくるなんて、馬鹿も休み休みにしてほしいわ」
「っ!!!姉さん?リアルでは何のスポーツをされていたのでしょうか?」
「ん?レスリングと剣道よ。部活では陸上部に入っていたわ」
「・・・・・・・あの、いつまで続けられていたのでしょう?」
「大学までよ?今はたまにジムに行くくらいかしら」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何よ黙ってから!どうせ、女らしくないって言いたいんでしょうよ!
でも、これが現代のゲームでは大活躍よ!
「あいつらは多分このダンジョンでしかけてくるわ。そういえばあんたは大丈夫なの、スポーツ?」
「俺は合気道を今でもしてるから、ある程度は強いはず。姉さんには絶対に負けるけど。精神的にもな・・・・・・」
「失礼な奴ね、全く。でも、それなら安心ね。身体能力は多分にあって、しかも現在も続けているなら、判断力も瞬発力も問題ないのね?ならば、ヒョウゴ!あんたはこのダンジョンでは私の相棒ね!よろしく!」
「っ!!!!!!初めて名前を・・・・・・。ああ、リンデル姉さんの背中は俺が守るから、前方の敵は頼むぜ!」
「まっかせなさい!あんたと組むと負ける気がしないわ!」
「有り難い言葉だ!じゃあ、行きますか!」
この言葉で、隠れている臆病者達は私たちが何も感づいていないと思うに違いない。だけど、現在の相棒は何かを知っている。
そう、まるで真っ赤に鏤められた「血の意味」を。
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