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一つ、あ、いや、二つ説明しよう!
この世界でも飲食は可能だ。味覚が存在し、満腹感も、幸福感も感じる。何故ゲーム内で空腹感、飢餓感が必要か。
それは、ダンジョンに潜り込んで飲食せずに魔物を倒すなんて、そんな簡単なゲームなど面白くないし、それが現実世界ならナンセンスだ。仮想現実に過ぎないが、このゲームにはちゃんと五感が存在するらしい。例えば五感の一つ『視覚』。仮想現実で見た映像は『現物映像』のため、現実世界に戻ったとき、その光景を忘れられず、このゲームに再ログインできない人も続出しているとコメント欄に記入があった。そう、『恐怖』のスプラッタな視覚映像とかだ。
それほど、現実と区別がつかない五感をこの世界には持ち込まないといけないのだ。
そして、アルコールや喫煙だって、そうだ。未成年が年齢を守らなかった場合、ゲーム事態が無くなるという現象が起きうる。なので、必ず、始めの初期設定の時に実年齢を言う必要は無いが「○十代」というのは必要なのだ。もし、偽りの年代を登録し、アルコールを飲もうとすれば、ゲーム内でそれはアルコールでは無くちゃんとジュースにすり替わるようになっている。現代のゲームでは、現実世界の肉体が成人しているかどうか調べることが可能となっているため、誰も年齢不正はできないので、そこら辺は安心して良いそうだ。ただし!ゲーム内で満腹になっても現実世界では空腹だったりするので、要注意よ!現実世界を疎かにするわけにはいかないし、そんな輩が出てくることは決まり切ったこと。だから運営側は、このゲームのログイン時間は、ゲーム独自の絶対制限時間2時間が設けられている。それ以上のログインはできず、勝手にセーブされ、現実世界へと戻される。
あ、これ全てレビューからの知識よ。
酒好きな私が、仮想現実でも飲めるのかどうか調べていたら、このレビューがあっただけ。
「で、どういうことよ?」
こいつのおごりってことで、こちらの焼き鳥10本、チーズインハンバーグ、サラダ、白身魚のムニエルにエビのフリッター。そして、もちろん大ジョッキ!!!あ、追加でワインボトル1本頼んだわよ。
「・・・・・・・・姉さん、本当に遠慮ねーのな・・・・・・・」
「五月蠅いわね。というか、こちらの世界の食べ物美味しいわね」
「そうだろう!俺もそれは認める!こんなの仕事帰りに食えたら最高だよな!」
「それね!まじ、それ!というか、これが総菜コーナーにあったら私買って帰るわよ!」
「わかってるね~~姉さん!もしかして、リアルで仲良くなれそう。ま、会えたらだけどな」
「そうね。ま~会ってもこのゲームの話になりそうだけど・・・・・・・・」
「違いねーな」
むしゃむしゃと遠慮の塊もない勢いで食べ尽くしていく私だが、それでもこの世界の情報がまだまだ足りないので、こいつにおねだりするしかないのだが、
「あ、店員さん!ビール追加で!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あんた、どんだけ飲むんだよ」
「タダ酒なんてそうそう飲めないからね。仮想現実でもそういう機会があるんなら、遠慮はしないわよ」
「はい、至極尤もなご意見でございますね。まあいい。とりあえず、姉さんがさきほど俺に言ったことはこの世界の半分でしかない」
「ひゃい?半分???」
「食べるか、飲むか、話すかにしてくれよ。まじでリアル世界でこれが女だと萎ってぇぇぇぇぇぇぇっ!あ、ご、ごめんなさい!口が過ぎました!あああああっ!だから、足を踏まないでぇぇぇぇぇぇぇっ!ふぅぅぅぅ・・・・・・・・勝てる気がしねぇ・・・・・。ごほん!このゲームはイベントが土・日に開催されるシステムで、開催時間も決まっているし、それ以上のログインもできない。その期間だけは、運営側は絶対制限時間を大幅に広げる。それは、イベント内容によって違うが、大体が4~5時間程度になる。そのイベントに参加しないならば、通常の絶対制限時間だが、絶対制限時間を伸ばしたいからって参加表明して、実際イベントに参加しないのはルール違反と見なされ、絶対制限時間に自動的に戻される」
「ふ~~~ん。ま~そんな卑怯な真似は楽しいゲームではしたくないわよね。で?他にあるんでしょ?」
「イベント期間中は決まった時間だけ開催だから、自動的に終わりの時間が来ればログアウトになり、また開始時間までログインはできなくなる。なぜ、そのシステムかというと・・・・・・・・・・」
「イベント時間以外で、小細工や敵のアジトなどを壊滅させてしまう卑怯者が出てくるからね」
「その通り!つまり、次の開催時間までは、参加者はログインができない。通常のクエストもできない。ログインできるのは開始10分前からと決められている」
「ふ~~~ん、よく考えられた物ね。でもよくよく考えたら、そのイベントって、ギルド加入者しか参加できないってことでしょ?私みたいに地味に緻密にコツコツと楽しんで、現実世界で溜まりに溜まったストレスを発散させるためにプレイするソロプレイヤーには関係ない話でしょ?」
「なんか『溜まりに溜まった』って部分がすんげ~~語気が荒かったな・・・・・・。相当のストレス保持者だな・・・。気の毒に・・・・・。な、ビール飲むか?何か気の毒になってきた。お~い、お姉ちゃん、ワインボトル2本と大ジョッキ追加で!」
「うわぁおっ!あんた、最高っ!!!まじでストレス飛ぶわ!本当にありがとうね」
「っ!!!な、何だよ急に!ツンデレかよ・・・・・・。ま、礼を言われて嬉しくないはずないけどな」
「あんたも大概ツンデレよ」
「同列に扱わないでくれ・・・・・・あ、ごめんなさい!まじで足を踏まないでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
こいつは口が過ぎるというかなんというか、現実世界である意味で女の敵が多そうだわ。
「あ、もしかして俺の現実世界を心配してくれました?あははは・・・・・。実際の俺はこんなチャラ男じゃねーすよ?まじでただのしがない三十路を過ぎたおじさんです」
「あら、あんた三十路過ぎてんの?そんな語り口調だからまだ若いのかと思ってたわ。大学生くらいかと」
「有り難い評価なのか微妙なんですが、姉さん・・・・・・。あああ!じゃなくて!俺、もうイン時間ねーから、とりあえずまた明日の朝10時頃ここにいてくれたら助かります!じゃ、じゃあっ!!!」
ヒュンッ!
あ、消えた。うん、自動ログアウトされたみたいね。
というか、明日の朝?10時って・・・・・・。買い出しに行って、昼からゲームしようと思っていたのに!今リアルは何時だ?
私はタブレットで時間を確認すると、深夜の1時を回ったところだった。
仕方ない、ログアウトして、早朝に買い出しに行ってから10時にインするかね。
即決した私は、「あいつと会わない」という選択肢を選ばず、素直にお休みなさいということで、ヒュンとアウトするのだった。
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