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突然、私の前に巨大な噴水が現れた。
「うわっ!でかっ!ぶっ!!!!!!」
驚いたのも束の間、噴水に誰かが突っ込んで、水しぶきが私にぐっちょりと・・・・・・・。
こんにゃろぉぉぉぉぉぉぉぉ
「てめーーーーーーーっ!人の武器を盗んでんじゃねーよっ!」
あら、ほら、予想通りになってんじゃない・・・・・・・・・。
誰か武器盗まれてんじゃん。
私は服も武器も全てロック!これで、自分から離れることはない。
「ふん。盗まれる方が間抜けなんだよ~~~。ま~~せいぜいこの後頑張ってスキルあげしな。じゃあな」
と、盗んだ張本人であろう人が噴水から這い出てきて、私の目の前を素早く通り抜けていこうとしたので、そうは問屋は卸さない。派手に転ばしてやったわ。
だって、だってよ!
「ちょっと、あんた・・・・・・・・・私の服をこんなに濡らしておいて、トンズラかこうっていうの?はぁ?ばっかじゃないの?」
「へ?ちょっと、ま、姉ちゃん!げっ!スティーール!!!」
動揺した振りをしながら私の武器を盗もうとする、この無神経野郎。
「へ?なんで、効かねーんだよっ!」
「うっさい!!!つうか、あんたに姉ちゃん呼ばわりされる謂われなんてないわよっ!」
ゲシッ!!!
こいつの頭を踏みつけ、
「そんなチンケな技が私に通用すると思ってんの、坊や?」
「っ!!!ちょ、ちょっと待って!まじで、俺が悪いからっ!つか、坊やってっ!」
「何がどう悪いのかわかってんの?理解してんの?ねぇ???分かってないのなら、服をひんむいて噴水に再び突っ込むけど??」
「ええええええっ!スティールよりエゲツない技!!あ、ごめんなさい!あの方の武器はお返ししますので、どうか許して!!」
「わかってないじゃん?私言ったでしょう?『私の服をこんなに濡らしておいて』って」
「ひっ!!ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
はあ、なんでログインした途端これなの?街の様子だって見れてないのに!あ~あ、ついてない。
自分が言葉にしたとおり、この男の服をひん剥いで、あ、下半身なんて見たくないから、下着だけ残したわよ?噴水へゴートゥヘブン!
剥いだ服から金を戴いて、ついでに盗まれた男性に武器を返して、
「じゃあ、これで新しい服買わせて貰うわね。毎度、坊や」
「だから坊やって~~~~~~(泣)」
恨めしい声が聞こえてくるようだけど、きっと気のせいよね。さ~~、服屋さんはどこかな~~~。このだっさい初期設定の衣装、さっさとオサラバしたかったんだよね~~~。
初期設定の服は、ジョブごとに最初は皆同じ物。色も選ぶことができないため、超ダサイ!
ランク毎に着られる衣装は決められているので、まだ初期ランク1の私はとりあえずリアルな自分では絶対に買うことも着ることもない、ゴスロリの衣装を探す旅に出るのだった。
何故か私が歩く道は、人がそそくさと退けてくれる。何でだろう?私なにかしたかしら?
耳を欹てると、
『初期ランクであれって・・・・・・』
『しかも、アサシンのくせにまるでシーフじゃねーか』
『ゲーム内でリアル追剥ぎ(笑)』
『お近づきになりたくねー』
『どこのギルドだよ?』
『げっ!まじ、痛ぇ~ギルド名』
『あんなのと組みたがるプレイヤーいねーだろ』
まずい、非情にまずい・・・・・・・・。
端から目立ってしまった。そんなつもりなかったのに。
つか、これじゃ私あの職場のお局達と同じじゃね?人に八つ当たりして、悪いことをしたという気持ちが湧かないところとかさ。
あ、やべ~じゃん、これ。
花畑に送っちゃった坊やに謝りに行こう・・・・・・・あ、必要ないわ。
私の服ぐしょぐしょに濡らしておきながら、詫びの一つもない坊やになんて、時間の無駄・・・・・・・・。
だから、この考えが良くないのよ!
あーーーーもうっ!
服だけ買わせて貰って、あとのお金は返すわよっ!
なんて人がいいのかしら私って!!!
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