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ヘッドセットを取ると、スマートフォンがピコピコと点滅しているのに気づき、何の通知かと見ると同僚から「来週はどこの企業のアポイントを何時に取っているのか」と連絡が入っていた。

こいつは俺が必死にこぎ着けたアポイントを奪って、営業成績を上げるとんでもない奴なのだ。教えないことに越したことはないのだが、一度それをすると上司に「ホウレンソウって知っているか?」と言われ、グチグチと何故か俺が怒られる羽目になった。

俺のアポイントをあいつが勝手に奪って成績にしていることには目を瞑りやがって。

でも気の弱い俺は教えざるを得なかったのだが、今日の姉さんの姿を見ていて「何て俺は弱いんだろう」という思いを植え付けられた。

だから、反発してやる。

誰が教えてやるものかっ!!!


「姉さん、ごめん遅くなった!!」

「ん?ああ、良いわよ私も今ついたとこだし」

普段着の姉さんは、ゲームの衣装や仕事着と違って、ラフだが清潔感があって、大人の女性の色香を匂わせている。

そのギャップに

「姉さん、モテないのなんで??」

「うっさいわ!!あんたこそ三十路すぎてるくせに『坊や感』が抜けてないのはなんでよ?」

「ぐっさーーーーーーっ!めっちゃ心に刺さるわ、それ!!」

ええ、本当に心に刺さるわ~~~。

気にはしてないとはいえ、いや、気にしていたからこそ心に刺さるのか?!

「さっさと呑みましょう!『運営』の情報も集めないといけないし」

「そっすね・・・・・・・・・・」

俺たちは2階にある『豚男爵』へと脚を向けた。それを見られているとも知らずに。


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