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第18話 これから



 「私達は願ったり、叶ったりだが。いいのか。」


 「ええ、こちらが仕出かしたミスですし、他に脱出する方法もありませんしね。但し、我々の方がランクが上なので、ここからの指揮は私が執ります。よろしいですね。」


 「それは、当然だろう異議は無い。」


 「と言っても、私共は、救助目的の為、ここのボスまでの行程や、ボスの知識はありませんので、その辺はご教授おねがいしますよ。」


 「ああ、任せてくれ、ださい。」


 「あら、カミーラさん。ランクは違えど同じ冒険者。普通に話して下さって構いませんよ。」


 「すまん。そうさせて貰う。」


 カミーラとジェイミーから、今後の行程の見立て、途中の魔物等の注意点や、最下層のボスの情報を教えて貰い、それ共有して、先に進むこととした。

 カミーラとジェイミーは、傷は癒えたが、体力が完全に回復していないし、通路も狭く、全員で戦うには狭いということもあって、アンとともに隊列の中程で待機という事になった。

 最下層目指して降りて行くと、魔物もそれなりに強くなってきたが、リサとアンは、流石ワンランク上のパティーメンバーという事もあって、危なげなく剣で相手を牽制しつつ、魔法で敵を屠って行った。また。魔物の数が多いときも、パルが後方警戒に回り、俺がリサとともに前で、敵を引きつけつつ、アンが魔法を放った後に、俺達が剣戟を加えて行き、仕留めると言った動きが確立され、俺も何とかリサ達の動きについて行けてていた。

 カミーラ達と合流して、3日が過ぎると、カミーラ達の体も大部動くようになってきたため、ボスの前に腕慣らしを兼ねて、戦闘に参加を始めた。その際も色々と隊列や役割をを変えながら、それでも危なげなく敵を倒して行く。

 ところどころにある罠も、パルが慎重にそれを見抜き、罠を処理をする。


 「即席にしては、バランスもいいし、連携も取れているな。」


 俺は、目の前で繰り広げられている戦闘を周囲を警戒しながら見て、そう感想を漏らす。

 ここまでは、順調すぎると言っていいほど快調に進んでいる。

 そして、とうとうボスがいるらしき、部屋の前に立つ。


 「では、ここで休息して、明日体力、魔力が十分な状態で、立ち向かうとしましょう。」


 「おうよ。しかし、ダンジョン内は不思議だよな。ボスの部屋の前で休息しても、逆に襲ってこないってんだから。」


 「それを言ったら、罠だっていくら解除しても、また設置されるんだし、ダンジョンコアの考えでそうなっているのでしょう。」


 「俺の母親は、ダンジョンコアが魔力溜まりの魔力だけでなく、冒険者を招き入れ、ダンジョン内で魔力を使わせたり、殺したりして、その余剰魔力を吸収しようとしていると、それで自分より強い敵には、自分が襲われないよう、手前に強敵を配置してそれを倒すと、報酬と出口を用意し、さっさと出て行って貰うようしていると言っていたな。」

 

 「ほう、レオ君の母上は詳しいんだな。学者先生か何かなのかい?レオ君も詳しいが母上を手伝っているのかい?」


 「いいえ、ただの冒険者でしたよ。好奇心で色々調べていたみたいです。それを子供の俺にも聞かせてくれたから、俺も色々詳しくなっただけですよ。」


 「お母様の話、過去形のようですけども。」


 アンが、リサがまだ俺をからかおうとしているのを悟って、そう俺に言ってきた。

 俺は、それについては別に過去の事だから構わないが、いろいろ詮索されるのも面倒なので、アンの言葉に乗っておいた。


 「ああ、俺が10歳の頃、父親と一緒に冒険に出たっきり、戻らなくてね。」


 「そうだったのか。すまん。レオ君、軽率だった。」


 「気にしないでくれ、もう昔の事だ気にしてない。」


 「まぁ、その話はその辺にして、明日のボス戦の打ち合わせをしようや。」


 カミーラが、そう話を変えようと切り出したが、あまりに強引な切り口に、返って皆黙ってしまった。

 その雰囲気を破るように、アンがカミーラを話しかけた。


 「うふ、カミーラさん、もう少し自然に話を切り替えましょうね。みんな困ってますよ。」


 「う、う、すみません。」


 カミーラが、赤くなってうつむいて謝ったその所作が、見かけに似合わずかわいく見えたため、皆の雰囲気が緩み、そこから、ボスの特性の確認や、お互いの立ち回りの確認、行動に対して意見を言い合う等、明日に備え準備を整えた。





 翌朝、皆、戦闘の準備を整えると、リサとカミーラがボスの居る扉の前に立ち、ゆっくりと扉を開き、まず中に入った。そして、次に俺とパルが中に入ると左右に広がるような位置取りをした。そして、アンとジェイミーが最後に入り、リサとカミーラの後ろに着くように陣取った。

 暫くすると、部屋の入り口から一番奥の方で魔法陣が3つ展開し、中央に4メートル以上はあるだろう牛鬼人と、3メートル近いオーガが牛鬼人の左右にが現れた。

 牛鬼人は、両手持ちの大きな斧を持ち、オーガも両手に片手斧を装備している。


 「現れましたよ。では、手筈通りに。『ホーリープロテクション』『クイック』」


 アンは、そう言って、リサとカミーラに防御魔法とスピード強化の魔法を唱える。


 俺も自身に『パワーブースト』『スピードブースト』身体強化に重ねがけ出来る新しく習得した自己強化魔法を唱え、力とスピードをさらに強化する。

 ジェイミーも、パルに身体強化に重ねがけ出来る支援魔法『エアーアーマー』で防御力と回避能力を向上させ、『クイック』でスピードを強化する。

 俺は、右のオーガ目掛けて突進し、パルは、左のオーガに投擲を行い、敵の注意を自分に引き付ける。




 リサとカミーラは、中央の牛鬼人に挑発を行い、注意を引き付ける。

 アンは、牛鬼人に『スローダウン』を唱え、動きを奪おうとする。しかし、牛鬼人に、これはレジストされてしまう。


 「ブフォオ!」


 牛鬼人は、そう叫び声を上げると、リサに突進を仕掛ける。

 リサは、体を深く沈めて、牛鬼人が両手斧を振り上げた瞬間を狙って、盾を相手に打ち付けるように飛び込む。

 牛鬼人は、振り上げた斧の重さと、リサの突撃が腹の辺りにぶつかったことによってバランスを崩し、体を大きく後ろに反らすようにして倒れこむ。


 「お見事です。『ストーンランス』」


 アンは、そう言うと、地面からだけでなく自由に撃ち込め、威力も強化されたアースニードルの上位魔法を倒れている牛鬼人目掛けて撃ち込んだ。


 『エアーシュート』


 ジェイミーも、アンに合わせて、風魔法を叩き込んだ。

 カミーラも牛鬼人が倒れたのを見て、武技スキル『強刃撃』を脚目掛けて発動させる。




 一方、俺は、オーガに近づくため、距離を詰めていく。

 オーガは、右に持った斧を俺めがけて叩き込んでくる。

 それを俺は速度を緩めず、寸前で躱して、相手の懐に飛び込む。

 オーガは、空を切り、地面に突き刺さった斧を引き抜くと、今度は水平に叩き込んできた。

 俺は、剣で斧の軌道を変えるべく、斧の柄に剣を当て振り払う。相手の斧は、軌道を変えて再び空を切る。

 そして、そのまま斧を弾くため振り上げた剣をその空振りし、隙だらけになったオーガの右腕目掛けて叩きつける。

 剣は、右腕にめり込むように斬りつけたが、オーガの筋肉に阻まれ骨に当たったところで止まる。だが、強化された剣の勢いを殺しきれずに、鈍い音を立てて骨が折れる。

 腕を途中まで剣に切り裂かれ、骨も折れてしまい、腕が変な方向に曲がると、握っていた片手斧も持てなくなり、落とす。

 痛みで叫びを上げながらも、まだ闘争心は失っていないようで、もう片方の手に持っていた斧で、俺に襲い掛かる。

 俺は、その一撃を受け止めたが、勢いを殺し切れずに吹き飛ばされる。

 だが、上を目指す俺だ。この程度の敵に負けるわけにはいかない。

 敵の図体がでかいが、力は、俺の方が魔法のおかげでほぼ互角かそれ以上のはず、いくぞ。





 パルは、相手の一撃を躱しつつ、投擲で少しずつダメージを与えていく。

 うん、こんな一撃受けたら、パル持たない。でも頑張る。

 しかし、避けながらも投擲を続けて確実にダメージを伸ばしていたが、やがて投擲武器が尽きる。

 パルは、覚悟を決め、剣を構える。とりあえず、避けて手数で勝負、うん、行く。

 オーガは、両手で器用に2本の斧を振り回して、パルに迫ってくる。

 それにパルは、剣を軽く添えて、最低限斧の軌道を変えつつ、体格差を生かし懐に潜り込む。そして、オーガに一撃を与えるが、パルの一撃では、致命傷には至らず、後ろ飛びで離れるようにして距離を取られてしまう。

 うん、やられはしないだろうけど、敵をやるのもかなりきつそうだ。





 それぞれ、見た感じ優位に進められている。 牛鬼人は能力的には圧倒的上の魔物だが、それをこちらは、数と魔法で補っている。

 しかし、牛鬼人は丈夫過ぎだろう。

 あれだけの攻撃を受けて、牛鬼人は、平然と起き上がる。

 そして、斧を構えると、再び突進をしてくる。

 アンとジェイミーは、足止めの為『マジックアロー』を打ち込む。牛鬼人は、それでも足を止めることなく斧を振り払うようにして、飛んできたマジックアローを打ち消す。


 「魔法を斧で打ち消すとか、嘘だろ。」


 「来るぞ。構えろ。」


 驚くカミーラに、リサが、注意を促す。

 牛鬼人は、今度は振りを小さくして襲い掛かる。

 リサは、重い斧の一撃を盾で受け流そうとするが、受け流し切れず、大きく飛ばされる。

 だが、態勢を整え、倒れることなく何とか着地を決める。

 その一撃で斧が地面に突き刺さり、牛鬼人の動きが一瞬止まる。正面に居たリサも、飛ばされ、正面ががら空きになったため、後方にいたアン達は、魔法を打ち込む。

 魔法で、貫こうとするが、体の浅いところでいずれの魔法も止まる。だが、傷はつけられている。このまま押す。

 更に魔法で押し込む。

 牛鬼人は、斧を引き抜くと一歩、二歩と後ずさる。そして、再び勢いを付けて今度はアン達に向けて突進をしようとする。


 「させるか。」


 カミーラは、牛鬼人の動きと危機探知スキルによって、その動きを止めようと牽制の一撃を放つ。『渾身撃』側面から上段の一撃を打ち込む。体格差で、腰目掛けての一撃となったが、牛鬼人は、アン達を見据えて飛び掛かろうとしていたため、カミーラに気付いた時にはすでに避けきれず、腰骨に当たる一撃となった。

 武技スキルによる一撃ではあったが、分厚い腰骨を砕くまでには至らなかったが、それでも動きを止めるには十分な一撃となった。




 俺は、既に右の片腕が使えなくなったオーガに追い打ちをかけるべく、飛び掛かる。

 オーガも、痛みをこらえながらも、冷静に迎え撃つべく、斧を構えて、俺の剣筋に斧を出し、受け止める。

 剣の受けられたため、オーガの斧の勢いを利用し、俺は後ろに飛び跳ねるようにして距離を再びとる。

 睨み合いが続くかと思った時、そこへオーガが、手にしていた斧をいきなり投げてきた。


 「なっ。」


 唯一の武器を投げてくると考えていなかった俺は、驚きの声を発しながらも、何とか避ける。

 そして、俺は、無手になったオーガに、襲い掛かろうとするが、オーガは、転がるようにして右手に持っていた落とした斧を拾い上げると、オーガもまた距離を詰めてくる。オーガは躱されないように、斧を水平に薙ぎ払う様に振り回してきた。

 斧相手では、正直に受け止めると剣が折れる可能性を考慮し、飛び込んで、倒れ込むようにして、その攻撃を避けてすれ違う。

 オーガは、斧を振り回した勢いを利用して振り向くが、右腕が垂れ下がりながらも重石のようについているため、大きくバランスを崩してしまい、痛みもかなりあったのだろう、大きく叫び声を上げた。

 俺は、チャンスとばかりに再び懐に潜り込んで近づき、武技スキルによる一撃をオーガの胴体に叩きこむ。


 『強刃撃』


 オーガは、その一撃を受け、剣が体半分まで食い込み、背骨も折れたようで、血しぶきを上げながら剣の傷口が大きく開くように上半身が倒れこんでいく。

 何とか倒したか。

 すぐさま、辺りを見回す。

 ジェイミー達は、決め手に駆けはしているが、数で翻弄できているようだ。確実にダメージを蓄積させているようで、上手くいけばこのまま押しきれそうだ。

 そうなると、オーガ相手に小柄な体で、戦っている、パルの援護に行った方がいいか。

 瞬時に、状況を確認して、そう判断すると俺は、パルの援護に向かった。





 うーん、オーガは頑丈。

 パルは、一撃を当てては離脱し、ヒット・アンド・ウェイで傷を増やしているが、オーガの関節部など比較的弱そうな部分目掛け、一撃を当てようとするが、相手も上手く躱したりと思う様にダメージを与えられずにいた。

 オーガも、攻撃を掛けるがうまく避けられてしまうため、イライラが頂点に達しつつあり、パル以外の周囲への気配りが疎かになっていた。

 そこへ、俺が丁度オーガの背後を取るように近づき、パルと目が合う。

 パルは、誘う様にオーガの懐に入って行く。

 オーガは、待ってましたとばかりに、パルに斧を打ち付けていく。

 オーガが、斧を振り下ろす瞬間に、パルはバックステップでその攻撃範囲から離脱する。

 俺は、ガラ空きになったオーガの背中から、心臓部を目掛けて剣を突き刺す。そして、剣を引き抜くとオーガは既に絶命して、そのまま前に倒れていった。


 「助かった。レオ、サンキュー。」


 「よし、最後に牛鬼人だ。援護に行くぞ。」


 「おう。」


 俺とパルは、そう言って、リサとカミーラの邪魔にならないよう、牛鬼人目掛け、距離を詰めていく。





 カミーラの攻撃を受けて、牛鬼人は、今度はカミーラに攻撃対象を移す。

 そこへ、飛ばされたリサが距離を詰めて、一撃を浴びせるべく飛び込むが、これを牛鬼人は、斧でいなして再び弾き飛ばす。

 リサも、斧を受けた際の勢いを利用して、後ろに下がったため、見た目は派手に飛ばされたように見えるが、ダメージらしいダメージもなく、猫のような柔軟さで着地を決める。


 『ウォーターボール』


 ジェイミーは、牛鬼人の注意がリサ達に向いている隙を利用して、水球で牛鬼人の顔を包み込む。


 『多重展開』『ストーンランス』


 アンは、牛鬼人が水球で息が出来ずに藻掻き苦んでいる間に、時間をかけて生成したストーンランスを4本を同時に四方から牛鬼人目掛けて撃ち込む。

 顔の水球を拭い取ろうとしていたため、周囲から迫るストーンランスをすべて受けてしまい拘束されたようになるが、すぐに斧を片手だけで四方八方に振り回して、ストーンランスを叩き折る。血を吹き出しながらも、体に刺さったストーンランスの槍先を水球を脱ぎ去った手で、引き抜く。

 そして、4人の数々の魔法や剣による攻撃によって血だらけになりながらも、その痛みを感じていないかのように牛鬼人が斧を構える。 その牛鬼人へ、前方左右から、リサとカミーラが、盾を前面に構え近づいて行く。

 カミーラ達を迎え撃とうと牛鬼人が、斧を振り上げた瞬間、パルが左後方より、高速で近づくと飛び掛かり振り上げた左腕の脇の辺りに剣を突き立てた。

 カミーラ達の突進して来る気迫に周囲の警戒が疎かになっていたため、驚きの声を上げ、刺された場所に目を向ける。


 『刺突撃』


 そこへ、今度は俺が、反対の右後方よりストーンランスにより傷ついた傷口を狙い、武技スキルにより剣を突き刺した。

 ストーンランスによって開いた傷口は、パルの方に体を捻ったため、さらに広がるように開いていたため、突き刺した俺の剣は、牛鬼人の筋肉を破り、ダメージは内臓へと達した。

 その痛みの為、牛鬼人は仰け反るような体制になり、そこへカミーラ達は大きく飛び跳ね、2人で胸元に飛び込むようにしてを盾に体を預ける。

 体を大きく後ろに反らしていた上、胸元に盾に体を被けるようにした突撃を食らった、牛鬼人はそのまま後ろに倒れ込こみ動かなくなった。死んではいないようだが、動く気配はない。そんな牛鬼人を取り囲んでいた俺達は、警戒して飛び込めずにいたが、後方よりアンの声が聞こえた。


 「これで終わりにしましょう。」


 アンは、どこからともなく鉄塊を取り出す。恐らくはマジックバックにでも入れていたのだろう。


 『アースニードル』


 その鉄塊は、消えるようになくなり、牛鬼人の胸元に鉄で生成されたアースニードルが突き刺さった。


 「終わったようだな。」


 リサは、牛鬼人を剣で突き、反応がないのを確かめてから、そう言った。

 そして、俺の背後から、魔法による発光を確認して、振り返ると宝箱が現れた。



 その後、俺達は、大きな負傷こそなかったが、アンに打ち身や擦り傷を治癒して貰い。魔物と魔物が持っていた武器を俺とアンが持っているマジックバックに仕舞い込んだ。

 最後に、アンは、アースニードルに使った鉄も、魔法で元の状態に戻して、マジックバックに仕舞い込む。その動作を見て、俺もあの時マジックバックを持ってたら、重石を持って帰れたな、あとでルーチェに頼んで回収させてもらおうかなどと考える。

 一通り、回収作業を終えると、リサは、宝箱に目をやり、こう言った。


 「いよいよ。お楽しみのお宝拝見と行こうか。パル君頼むよ。」


 「うん、任せて。」


 そう言うと、パルは宝箱に近づくと、罠がないか慎重に確認する。どうやら罠は内容で、ゆっくりと箱を開ける。


 「おお、ちょっとしか入ってない。」


 「うん、どれどれ、こんなもんだよな。アン?」


 「そうね。でも、余り攻略されてないのかしらね。結構いい物もありそう。」


 そう言いいながら、皆で中身を確認し、それが終わると、そのまま容量に余裕がある俺のマジックバックに収納した。

 中身が何かわからないので、鑑定後、それぞれに見合った報酬になるよう分ける事になる。それで後で揉めないよう全員で宝箱の中身の確認を行った。

 そして、再び地面が光り、転移の魔法陣が展開された。

 転移陣に足を踏み入れると輝きが増して、周囲が光に覆われる。やがてそれが収まるとまぶしい外の光が照らしてきた。

 俺にとっては、1週間ぶりの光だ。カミーラ達にとっては2週間以上ぶりの地上となる。


 「うわぁ、まぶしいな。」


 「ええ、でも温かいわ。」


 「本当に助けてくれてありがとう。それにダンジョン攻略もできた。」


 「そうね。パルも知らせに戻ってくれてありがとう。アンさんもリサさんも、救助にしていただき、ありがとうございます。そしてレオも、助けに来てくれて本当にありがとう。」


 「当然のこと。」


 「いいえ、助けに来たのにボス戦までさせてしまってごめんなさいね。」


 「あー、それは本当にすまん。」


 「ああ、俺もあの罠を発動させた一人だ。悪い。」


 「いや、私達は、このダンジョン攻略が、失敗して死んでも、成功しても最後のつもりだったんだ。たぶん、最初に潜ったメンバーだったら勝てずに負けていただろう。正直、あたし達だけじゃ実力不足だったと感じた。」


 カミーラは、伏し目がちにそう言った。自分達の甘い考えがこのような形になったことを悔いているようだ。


 「いや、苦戦はしただろうが、どうにかなったんでは?でも、最初のメンバーは裏切って、仲間を呼び6人がかりで襲って、君達3人に負けたのだから、君達よりはるかに弱そうだから、確かに難しいか。」


 リサは、励まそうとしたが、状況を思い出しそう口にしていた。


 「励ますつもりがないなら、黙ってましょう。リサさん。」


 「すまない。」


 「まぁ、結局、このメンバーで倒したんだ。そんな事どうでもいいさ。俺も、ソロだったら、一生ダンジョンボスなんて縁がなかったしいい経験が出来たさ。」


 「そうですね。帰ってギルドに報告と、ボス戦の分け前をさっさと分けましょう。みなさん。」


 最後にアンがそう締めくくると、皆で声を返した。


 「「「「「おう。」」」」」


 こうして、救助依頼から始まったダンジョン攻略は無事終了した。





 その後、ボス戦の宝箱の報酬を鑑定結果を基に報酬を均等となるように、金額的に足りない分などは、金貨で価値が同じくらいになるよう調節したりして分けた。

 カミーラとジェイミーは最初は、救助された側だと辞退を申し入れようとしたが、俺やリサ、アンが、戦闘に参加しているのだから、辞退は許されないとその申し出を引っ込めさせた。

 俺は、その中から、一振りのショートソードを手に入れた。一応魔法付与がされた代物で、今の剣が今回のオーガとの戦闘でかなり痛んでしまったので選択した。付与魔法自体は、ダメージ強化と自動修復らしく、さほど強力ではないが有用な物だそうだ。

 他の連中も、それぞれ必要と思われるものを選択した。 


 「では、皆さん、私達は他の仲間も別件の依頼から帰ってきましたので、これで失礼します。」


 「ああ、またどこかであったらよろしくな。特にレオ君は、Bランクに昇格したら、王都に来ると言い。Bランクのソロ依頼も王都ならあるからね。勿論あたいらと一緒にまた組んでもいいよ。」


 「まぁ、さらに上を目指すなら、王都に来るべきね。」


 「まぁ、Cランクに成りたてなので、いつになるかわからないが、成ったら考えておくよ。」


 「うふふ、そうしなさい。」


 「何度も言うけど、本当な助かりました。ありがとうございます。」


 「本当に助かったよ。」


 ジェイミーとカミーラは、そう言ってアン達に頭を下げた。


 「本当に冒険者辞めちゃうの?」


 「そうだぜ、もったいないぜ。特に女性冒険者はただでさえ少ないんだから。」


 「もともと親とはこの年齢までと言う約束だったんで、一度親元に戻ることにします。それから、また話し合って、今後のことは決めさせてもらいます。ジェイミーとせっかく他のパーティーを抜けて参加してくれたパルにも悪いからな。」


 「上手くいくといいな。」


 「私は、カミーラと一緒に街に帰って、一度孤児院に今回の報酬等で溜まったお金の一部を寄付してきます。」


 「教会に、喜捨と言われ、横から取られないようにね。」


 「パルは、二人の護衛で付いて行く。」


 「徒歩だと、女性だけだと危険ですから、人数は多いほうがいいわね。」


 「うん、女性だけだと危険。なので、レオにも護衛頼んだ。」


 「おう、そうか。カミーラが抜けたら、盾が居なくなるしな。行った先の街で身動きできなくならないように、そりゃいいことだ。」


 「そうね。ジェイミーちゃんも、レオ君が近くにいた方が安心よね。」


 「その言い方は、なんですか。そんなんじゃありません。」


 「あら、そうなの?」


 「レオ君も黙ってないで、なんか言ったらどうだい?」


 「いや、俺は、護衛依頼を受けただけだから。」


 「そう言う事にしときましょう。では、本当にお先に失礼します。」


 「ああ、またな。」


 そう言って、アンとリサは、去って行った。




 俺達も、翌朝、カミーラ達が昔住んでいた町へと向かった。

 

 「カミーラ、この護符は返すぞ。」


 「いや、それはお前に俺達が何かあった時の為、前金でやったものだ。返されても困る。」


 「これからもジェイミー達を守ってもらうためにも受け取るべきだよ。」


 カミーラは、俺の言葉に、しばし考える。かなりの沈黙が続いた。


 「冒険を続ける決意をするためか。ありがとう。」


 そして、カミーラをそう言って、俺から護符を受け取った。


 「ほら、二人とも何遅れてるの。先行っちゃうよ。」


 「後衛先行はまずい。急げ。」


 「ああ、わかった。今行く。レオも急げよ。」


 カミーラは、そう言って先にジェイミー達を追いかける。

 俺は、ここの所カミーラ達と一緒だが、これからも俺は基本ソロ、その護符は、守る者が多い者が使った方がいいさ。


なんか、予定した。最終話にもっていけなく。まだ続けられるんじゃと言う、中途半端な終わりですが、これで一応最終回です。

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