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第16話 ダンジョンの罠

 翌朝、ダンジョンの中なのに見張りにも立たずに眠れたが、テントの中での睡眠だったため、多少は体が痛むが疲れは感じずに起きられた。

 テントから体を出すと、既に女性陣が朝食の準備をしていた。


 「よく眠れましたか。レオさん。」


 「おはようございます。アンさん。お陰様で一番最後に起きる羽目になりました。」


 俺に気付いた、アンさんが声を掛けてきたので、それに返事を返して、火の近くで調理しているリサとパルの所に向かう。

 二人にも挨拶を済ませ、食事の準備は特に手伝う必要がないのを確認してから、マジックテントから外に出て、顔を洗う。

 それから、周囲の様子を調べるため、マジックテントの周りをを見回り、異常がないのを確認し、中に戻った。

 手早く食事を済ませ、今日の予定を確認し、再びカミーラ達の救出のため、ダンジョンの奥へと向かった。


 今日は、俺とパルが先頭、アンが中央に、殿がリサという布陣で進むことにした。

 途中の敵は、出来る限りやり過ごして進み、それでも、5度ほど戦闘をしたが、危なげなく屠ることができた。

 そして、本日の目的階層にたどり着き、安全そうな場所を見つけると、そこをキャンプ地とした。

 順調にいけば、明日にはいよいよカミーラ達と合流できる予定ということだ。

 かなりの強行軍で進んでいるが、戦闘は出来る限り回避し、やむを得ずに戦闘になっても戦闘自体も危なげなく終わり、夜はぐっすり眠れたせいか、特に大変という感じもなく進めている。


 「さて、今日上手くいけば、要救助者と合流できるはずだ。救助者の状態を見て、治療して即帰還するか。一日休んで帰還するか決めることにする。もうすぐだと焦って、大きなミスにつながるようなことをしないように気を付けよう。では、出発!」


 「ん。」「はい。」「おう。」


 打ち合わせも終わり、今日はパルとリサを先頭にして、先を急ぐ俺達は、回避できる戦闘は避けつつ、奥へと進んでいった。


 「この階層から、罠がある。注意。」


 先頭を歩くパルが、階層を2つ降りたところで、そう皆に伝えてきた。

 あと2層降りれば合流できると言うところで、罠ありの階層か。

 まぁ、罠がある場所付近は魔物も居ないから、罠に注意さえすれば進むのは楽ではあるな。

 パルは、罠を見つけると素早く、罠を解除し、先に進んでいく、罠の発見といい、解除の手際といい、中々の技量だな。

 そう感心しながら進んでいくと、いよいよカミーラ達の居る階層に辿り着いた。


 「よし、もう少しだ。気を抜くな。」


 リサが、そう言って一同の気を引き締めなおす。

 そうして、暫く進むと、パルが敵の存在に気付き声を発する。


 「正面、モンスターが来る。恐らく3体。」


 「これは避けれないな。こいつ等は倒して進むぞ。」


 「レオさん、今回はリサと一緒に前衛をお願い。パルちゃんは、後方の警戒と私の警護をよろしくね。ちょっと強そうよ。」


 アンさんは、何かを感じ取ったのか、俺達にそう指示してきた。


 「おう。」「ん、了解。」


 「じゃぁ、ここからはいつも通り、アンが指示を頼むよ。あたいの指揮練習は終わりね。」


 「へぇ、リサさん、結構的確に指示して、うまいなって思っていたけど、普段はアンさんがやっているのか。まぁ、アンさんが後方に着くことが多いから当然と言えば当然か。」


 「そうか。そう思ってくれていたか。えへへ。アンも合格点くれるかな?」


 「確かに良かったと思うわ。でも、切り替えていきましょう。来たわよ。」


 暗がりから姿を見せたのは亜人型のモンスター3体だった。あれはオークか?

 体が大きいこともあり、一列に並ぶように近づいてくる。

 

 「オークよ。パワーがあるから、気を付けて身体強化をしても力負けすることもあるからね。」


 オークが近づきざまに棍棒のような物を叩きつけてくる。

 リサは、それを正面から受け止めず、横にいなすように楯で受け流して、相手の武器を持った手に剣を叩きつける。

 ミッシと言う音を立てて剣が腕の骨に当たって止まる。

 血が噴き出し、オークは思わず叫び声をあげる。


 「ぎゃあああ。」

 

 そして反対側の手で、リサを突き飛ばそうと手を振り上げる。

 俺は、それを止めるべくリサの背中側に回り込むと、振り上げた手に向けて、両手で剣を持ち叩き込む。うまく関節に剣が当たり、オークの手を振り下ろそうとした勢いもあり、綺麗に腕が斬り落とされる形になった。

 すかさずリサは剣を引き抜き、両手を封じられたオークの腹から心臓めがけ剣を突き刺し、止めを刺した。


 「まずは一体。」


 返り血を浴びながらリサは、そう言うと、後方にいるオークへと向かっていった。

 俺は、リサの動きを確認しながら、後を追う。

 リサが、オークから体を左にずらして回り込もうとする動きを見せる。

 オークは、その動きにつられて、リサを追いかけるように体を動かす。

 そこへ、死角に消えたアンの魔法がオークにめがけで撃ち込まれる。地面から突き出たアーススピアがオークの腹部を2本貫く。

 完全に動きを止められたオークに、リサが止めの一撃を振るう。


 「2体目。」


 俺は、後ろから迫ってくるオークの動きを止めるため、前列のオークを擦り抜けて、後列のオークの前に回り込む。

 そして、オークの武器を正面から剣で受け止める。棍棒を剣で受け止めるが、力負けしないよう、残りの左手で剣先で支えるように添える。

 かなりの衝撃を感じたが、剣が顔の目の前で止まり、なんとか受けきる。


 「ナイスだ、レオ君。」


 リサが、俺の背後からそう叫び、俺を追い越してオークの後ろに回り込む。

 オークもすかさず、振り向きざまにリサに攻撃を掛けようとしたが、逆に俺が、背中を突き刺し、その痛みでオークがのけぞったところに再度アンの魔法が唱えられ、両サイドからアーススピアによってオークの脇腹を串刺しにする。


 「止めだ。3体目。」


 最後にリサが、飛び込むように切りつけ、オークの首を落とした。


 「うぇ、血だらけになってしまったな。」


 「普段、盾役に徹して剣を振り回せないからって、今回ははしゃぎ過ぎじゃないかしら?」


 「そう言うなって、偶には実戦で剣を振り回さなきゃ、腕が錆びちまうってもんさ。」


 「まぁいいわ。レオさんは剣が曲がったりはしてません?あんな力任せの一撃受け止めて。」


 「ああ、大丈夫だ。問題ない。」


 俺は、剣のゆがみなどを確認しながら答えた。


 「では、リサに剣を預けて。」


 「うん?渡せばいいのか?」


 俺は、リサに鞘に剣を納め渡す。


 「では、『浄化』。続いて『修復』。」


 アンがリサに向けて、魔法を2つ唱えた。


 「一応、魔物も手ごわくなってきていますので、応急処置ですが魔法を掛けときました。」


 そうしてる間にパルは魔石を、取り出してきたので、魔法で血糊が取れたリサから、俺の剣を受け取り、俺達はまた先に進むことにした。





 「なんだい?ありゃ。」


 「魔物の死体のようね?」


 暫く道なりに進むと、正面のT字路の分かれ道に魔物の死体が転がっていた。


 「魔石も抜かれてない。」


 「さっきのオークが倒したわけないよな?」


 「ああ、ダンジョンの魔物は殺し合いはしないと聞いている。」


 「そうよね。でも間違いなく死んでるわよね?」


 「ん、死体あれ。」 


 「どうするよ?アン?」


 「罠かもしれたいから、気を付けて進みましょう。」


 「だな。行こう。」


 リサは、そう言うと警戒しながら先に進もうとした。

 すると、魔物が崩れ落ちるように倒れた。咄嗟にリサと俺は、その魔物の動きに思わず反応する。


 「だめ!」


 パルは、それを見て止めようとしたが、俺達の反応が早くお互い剣を魔物に突き刺した。

 その瞬間魔物を貫いた剣が魔物が背にしていた壁に突き刺さる。そして、剣から血が流れ、壁に魔法陣が形成され、輝いた。


 「「しまった。」」


 俺とリサは、その瞬間に、思わずそう叫んで、すぐに次に起こるべき事態に備え身構える。

 だが、魔法陣から光が消失しても、何か起こったようには感じられなかった。


 「何も起こらないのか?」


 「そんなはずはない。何か確実に発動した。」


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