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第13話 戦闘(後編)

 「お頭、挟み撃ちにしやしょう。」


 「おうよ。」


 新たに現れた敵は、どうやらこの一団を取り仕切っているリーダーらしい。

 流石に、身体強化持ち、2人を相手はきついな。


 相手は、俺を両サイドから攻めようと、左右に別れ、武器を振るってきた。

 俺は、懸命に躱しながら、木や茂みを利用して、片方からは、なるべく距離を取るように動く。それでも、2人相手では、無傷とはいかず、頬や腕、脚にかすり傷が増えてきた。

 幸い致命傷になるような傷は無いが、このままでは、じり貧になる。そう思っていると更に2名の賊が現れた。ここに来るまでにかなり急いだようで、肩で息をしている。

 俺は、今現れた男たちに向かって突進する。

 俺の突進に慌てた男達は、声を上げ、左右に逃げる。それが、邪魔になり、敵の身体強化持ち2人との距離を摂ることに成功したうえ、身体強化持ちに、男達は手で振り払われただけだったが、それでも弾き飛ばされ、意識を飛ばしてしまったようだ。


 予想以上にうまくいったな。これでこちら側の敵は、あの身体強化持ちの2人だけだ。

 距離が取れたため、俺は、敵のリーダーにに向けて、アースニードルの魔法を牽制で放った。かなり直前になってアースニードルが出現するように放ったが、それでも、敵は、剣で地面から伸びた土の針を叩き折って防いだ。だが、その動作のおかげで、完全に足が止まり、最初に打ち合っていたディルクとリーダーの距離は、かなり開いた。

 よし、いまのうちにディルクとやらを仕留める。俺は、残りのナイフ2本を投げる。


 ディルクは、スピードを緩めず、隙を見せぬように槍を最低限の動きだけで、ナイフを弾くと、そのまま俺に槍を突いて来た。

 俺は、それを避けて、木を背中に掠めるようにして体を左に逃がす。

 相手も、それに合わせて、体を捻り反応するが、突進してきた勢いを殺せなかったため、槍が木につっかえるように当たってしまう。

 大きく体を開き隙を作ってしまったディルクに、俺は腰に差していた剣を抜き、さながら居合抜の要領で、斬りつけた。

 焦って、ディルクと言う男も、槍を引きこちらの剣を防ごうとするが、間に合わずに剣を叩き込まれ、倒れ込むように絶命した。


 よし。後はリーダー格の男だ。


 リーダーの男は、俺に追いつき、一対一になった状況にこう悪態を付いた。


 「よくも、たかがCランク冒険者風情が、俺達をここまでコケにしてくれたな。」

 

 「Cランク冒険者3人にここまでやられるなんて、元から大したことなかったのでは?」


 「抜かせ。」


 そう言って、俺に剣を打ち込んでくる。こちらも、剣で受けるが、体格差もあり、力負けして、押し込まれている。


 「減らず口を叩いた割に、その程度か。」


 リーダーは、実力的に互角以上だと感じ、余裕ができたのか、そう口走りながら、剣を振るってきた。


 「ふん、力がすべてでないという事を教えてやるさ。」


 俺は、ポーカーフェイスを装い、そう言って相手の剣を受け流しつつ、隙を見ては、剣を叩き込んでいく。


 「生意気が。」 

 

 リーダーもそれを難なく躱して、俺が前のめりになった所を、回し蹴りの要領で後ろから蹴りを入れてくる。

 脚が当たる寸前で、俺は前に倒れこんで避けようとしたが、相手の蹴りが一瞬早く、蹴りの勢いを殺し切れず態勢を崩す形で、倒れこんでしまった。

 チャンスとばかり、相手は倒れこんでいる俺めがけて、剣を突きて来た。

 それを体を捻り、転がりながら避け、脚で地面を蹴り上げながら、同時に手で地面を突き放つようにして、なんとか起き上がり、剣を構え相手と正対する。


 すると、街道側から気配を消さずに放たれた探査魔法の気配を感知した。この魔力気配、ジェイミーか。無警戒な探査魔法を使ったということは、向こうは終わったか。

 なら、あとは出来るだけ粘れば、勝負ありだ。


 勝ち筋が見えた俺は、相手と剣を打ち合い無理はせず、相手の剣筋を受けることだけに専念した。


 「ふん、どうした受けてばかりでは俺を倒せんぞ。」


 相手は、俺が受けに回って、隙が出来ないことにイラつき、そう挑発してきた。


 「いや、俺の勝ちだ。」


 俺がそう言った瞬間、リーダーの男の背後から水の拘束魔法が襲い掛かった。


 「うっが!」


 首元と腕に絡みつくようにロープのような質感がある水が男を締め上げ、思わず声が漏れる。そこへ、カミーラが楯を構えながら突進して来る。

 俺がリーダーの右腹を払う様に切りつけ、カミーラが背後からシールドを叩きつけつつ、腰に剣を突き立てる。

 その瞬間、水の拘束魔法が解かれ、カミーラの背後からの衝撃に弾かれる様にリーダーの体が宙に舞い倒れこんだ。


 俺は、大きく息をして倒れこんだ死体を見る。

 

 「大分傷だらけだな。レオ。」 


 カミーラが笑顔でそう俺に言ってきた。


 「ああ、でも最後は助かった。他に敵の反応はあるのか?」


 「うーん、この先に弱い反応が2つあるだけね。」


 ジェイミーが近づいてきて、そう答える。


 「それは、気を失っている敵だな。あと一人、馬車を高台から伺っていた男の反応があるはずだが逃げられたか。」


 「それは、見つからなかったわ。追って探す?」


 「いや、気を失っている男達から、この人数で潜伏していたんだ。拠点があるだろうから聞き出そう。襲撃されたヒントがあるかもしれないしな。」


 「そっちの聞き取りは、私達がやるから、レオは、止血をしたら、空なのがばれて、運よく潰されなかった馬車の回収とレニーさんを連れて来てくれ。」


 「了解。」


 尋問は慣れてないので任せ、素直に馬車とレニーさんの迎えを請け負う。まぁ馬車の御者もギルドの依頼で少しこなしたことがあるだけで、下手なのには変わりないが、レニーさんと合流するまでの間だ、どうにかなるだろう。


 そして、俺は、止血薬を取り出し、水で傷口を洗い薬を付けると、馬車を追いかけ、少し広めの場所で方向転換をさせると、そのまま、慣れない手つきで場所を走らせて、レニーさんを迎えに行った。

 レニーさんは、最初血だらけの俺を見て驚いたが、今は薬で傷口がふさがっていると聞いて安堵していた。


 カミーラ達は、その間に男達から拠点の位置を聞き出し、俺達が合流すると捕まえた男達に案内をさせて、そこへ向かった。

 拠点は、森の奥に倒木で塞ぐようにし隠された洞窟だった。中には人の気配はなく、中に入ると金目の物が持ち出されたらしく散らかっていた。


 恐らく、逃げた男とここの留守番が持ち出したのだろう。それでも、中を探ると、予備の武器や食料はほぼ手付かずだし、金品もすべては持ち出せなかったらしく残っており、書類がはいったいる小さな木箱も残っていた。

 レオは、それらを片っ端からマジックバックに仕舞い込むと、戻ることにした。


 それから、襲撃現場で殺した男達を街道にまとめ、武器と金目の物を回収して、討伐部位である右耳を回収した。





 「さて、リーダー格の男の死体はどうする?」


 カミーラが俺がリーダーだと伝えた男を見てそう尋ねてきた。


 「これだけ大きな盗賊団なら、賞金首かもしれないね。」


 ジェイミーはあまり興味なさそうにそう言った。


 「なら、首だけ落として、持っていくか?リーンの町で判別してくれるだろ?」


 俺は、確かにその可能性もあるかと考え、そう言った。


 「なぁ、あんたらお頭が賞金首になっているか知ってるかい?」


 カミーラは、生き残った賊にそう聞いてみた。


 「あっしは知らねえです。」


 「ええ、俺らは町に行けなかったので、わからねぇです。」


 だが、二人は知らないらしく、そう答えた。まぁ、確かに身なりや喋りからして、確実に街に入るとき怪しまれるよな。


 「じゃあ、あんたらの自分の組織の名前ぐらい知ってるだろ?」


 カミーラは、諦めずに手掛かりを探そうと、今度は、賊の団名を聞いていた。


 「へい、森の人食いと言いやす。」


 それ位は流石に知っているようで、男の一人がそう答えた。


 「そりゃ、結構な賞金首だね。私でも知ってるよ。」


 カミーラは、それを聞いて喜んだ表情でそう言った。


 「俺は知らないな。」


 「あたしもー。」


 だが、俺もジェイミーも賞金首に興味もなく、見ていないので、そう答えた。


 「あんたら、話の腰を折るんじゃないよ。でも、かなりの賞金首だよ。」


 「そうなのですか?ところで私としては先に進みたいのですが、賊の生き残りもいますし、一度出発した街に戻りましょか?」


 カミーラの言葉に、レニーさんは、死人の首と一緒に旅をしたくないと考えたのか、賊を2名連れて旅をするのも危険と感じたのか、そう提案してきた。


 「すまないがそうして貰うと助かる。」


 「では、戻りましょうか。今は日が長いですし、急げば門が閉まるまでに戻れるかもしれません。」


 そうして俺達は、盗賊退治の報告に戻ることにした。幸い門が閉まる前に街に戻ることができた。

 門で衛兵に盗賊の生き残りとリーダーの首を引き渡した。それと、賊が俺達を襲うよう指示された依頼書を見せて、門で借りた衛兵を伴い、魔法・スキル習得所に向かった。

 そこの職員の一人が襲撃計画の首謀者として、捕縛され色々調べられて、次のようのことが分かった。

 今回の襲撃は、女性職員がこちらに来るよう、リーンの町の職員と共謀して練られた物だった。女性冒険者と女性職員ならば、制圧も楽だろうと計画したらしい。

 

 その後は、事情聴取や賞金の引き換え等の雑多な手続きもあり、翌日には出立するつもりだった俺達は都合3日引き留められることとなった。

 本来急ぎの魔法・スキル習得所の依頼については、内部職員による犯行と言うこともあり、代わりの者が、荷物の運搬とリーンの町の共犯者の捕縛を通達するため、出発した。

 そのため、俺達の帰りの依頼は、レニーさんの護衛のみとなり、特に何事もなく旅をし、行きに泊まった最初の木賃宿で、俺は再び料理を振舞い、高評価を受け、無事に終了した。


 今回の報酬は、冒険者ギルドからの成功報酬の他、魔法・スキル習得所からも迷惑料の支払い、盗賊の討伐報酬、盗賊のリーダーの賞金、武器やその他金品の売却料金と言った物があり、合計で6,523,520シリング、金貨652枚、銀貨5枚、銅貨52枚となった。

 これらは、金貨は3等分され、残りの端数は、マジックバック使用料と言うことで俺に払われた。

 本来なら、銀貨まで3等分だそれが金貨までで3等分、実入りが良すぎて、余り細かくやり取りしづらかったのだろう。本来何事もなければ、この端数である13,520シリングくらいが、護衛の一人当たりの報酬だったはずだ。

 まぁ、これだけ危険な目にあったのを考えれば、それだけもらっても足りない気がするし、また同じだけ危険な目に合うつもりがあるかと言われれば、御免被りたいというのが正直なところだ。


 俺の切傷は薬で塞いだし、リーンの街に戻るまでには完全に癒えていたが、一応10日程体を休めることにした。

 カミーラ達も、3日程休んで、ダンジョンに潜る仲間を見つけると言っていた。まだ、カミーラ達にしてもCランクになって、一年だしそう焦って攻略することもないと思うのだが、色々あるのだろう。気を付けるよう言って、別れた。縁があれば、また会うだろう。

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