核兵器
ロシアの戦争に何を見るか。4回目は「核兵器」です。
ロシアの侵略に対してNATOが動かないのは、ロシアの核兵器の存在が大きいでしょう。
本来抑止力として相互の侵略を阻止するのに機能するはずだったものが、核保有国の当事者以外に対する攻撃では無力であったことが示されました。大国が大国に対して手を出さないという抑止力は今も有効だと思いますが、対小国(とっいってもウクライナは日本より広いですが)の場合は機能しないようです。
これは単純に核兵器の使われ方を考えれば想像できたことだと思います。
広い国土を持ち、多数の弾道弾ミサイル基地を持つ国にとって、最初の1発が本土に届いてからでも反撃を始められ、反撃するための基地が破壊されるまでには相当の時間が残され、相互確証破壊が成立する。
仮に日本が核装備をした場合、1発のミサイルを見て核かどうかの判断もできず、仮に核兵器だとわかった時点から反撃をするにしても、決断までに時間がかかるでしょうし、複数の核弾頭が日本中に飛来すると脅されるのは必至。
それだけのリスクを背負いながら、敵に核兵器を使用して何を得られるでしょうか。
敵に対しては全体の機能を失わせることは不可能な一方、日本は東京に1発もらったら壊滅的なダメージを受けることになります。
国土の広さによって核兵器の持つ意味が全く違ったものになるのに同じ論理が通るはずがありません。
それと、忘れてはいけないのが核兵器の破壊力です。
小型核が実用的だと最近では言われているようですが、小さな核でも通常の爆弾とは規模が違うと思いますし、通常のミサイルと同程度であれば、核にする必要もありません。
大きな核の場合、一応実験された「ツァーリ・ボンバ」の威力の場合、wikiによると「致命的な火傷を負う熱線の効果範囲は58キロメートル」で、しかもこれは威力を半減させた実験だったと言うから、とんでもない兵器だと言えます。
実際にはこんな核兵器は使いどころもないとは思いますが、範囲がキロ単位である時点で無差別破壊兵器には違いありません。今も「子供を含む○○名が死亡」なんてニュースになっていますが、万人単位での死者の内、何名が子供であるかを数える事すらできないような兵器です。
都市部に使うなら、病院を攻撃した、なんてレベルではなく、病院も学校も何もかもを含んだ都市全体が一瞬で焼かれる兵器です。そんな兵器を「抑止力」として持つこと自体が狂気にすら思えるのですが、日本の政治家でさえ、日本に核のボタンが必要と大真面目に考えています。
今、ロシアが行っている攻撃によって多くの命が失われています。それを見て戦争犯罪だと糾弾しています。なのに、それよりも多くの命を奪う兵器をなぜ持とうとするのか。私には理解が及びません。