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ロシアの戦争に何を見るか  作者: だるまんず
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抑止力

 現実の戦争がウクライナで起こっています。

 ロシアの要求を全て受け入れなければ攻撃を止めないとロシアは宣言しています。

 武力による恐喝。強盗が包丁を振りかざして「金を出せ」と言っているのと同じこと。

 どこから見ても犯罪行為。その自覚がないロシア。


 この状況、見えている現実は未来への教訓となるはずです。すでに多くの命が消えていて、人が人を殺しています。私は誰も殺したくないし、殺されたくもない。だから、私がそれを繰り返さないために考えなければならないのです。


 最初のテーマは「抑止力」としました。


 世界中の軍事力は抑止力を目的として用意されています。悪の組織が地球を征服するために新兵器を開発しているのとは違います。敵の侵略から自分の国を守るために存在しています。少なくとも建前ではそのはずです。


 軍事力が抑止力となる理由は2つあります。

 ①侵略しようとしても、強力な軍事力で容易に侵略が出来ない相手だと思わせること。

 ②「やられたらやり返す。 倍返しだ!」と、敵国に被害を想起させて思いとどまらせること。


 アメリカがロシアに対して軍事行動を起こさないのは、この抑止力が効いているからと言ってもいいでしょう。アメリカ大統領は世界大戦を回避するために派兵はしないと説明しているのですから、特に②の理由がアメリカを抑止した結果だと考えています。


 では、ロシアに対してこの抑止力は働かなかったのか、という疑問が生まれます。

 ウクライナは欧州からの武器を得てNATOに加盟したい、つまりロシアに対抗する軍事同盟に加盟したいと申請をしていました。欧州とロシアに挟まれたウクライナが軍事的に欧州側に寄っていたことを示す発言から考えると、ロシアがウクライナを攻撃するのは欧州、もしくはNATOへの敵対行動と見做され、世界大戦となる可能性が低くはなかったと考えます。

 少なくともウクライナはNATOや欧州に援助を求めていますから、それに応じる可能性がない状況ではなかったはずです。


 ウクライナ単体の軍事力であれば、ロシアの軍事力の比ではなく、先に書いた抑止力はあまり期待ができません。でも、アメリカが派兵をしないと敢えて発言したように、本来ならばNATOも軍事力を行使するケースでもあったはずです。それが単なる脅しで行使しないなら抑止力は意味を成しません。


 つまり、従来の考え方であれば、地球で最も大きな抑止力が働いていた地域と言えるでしょう。

 私はこのNATOの影がある以上、クリミアのように親ロシア派のエリア以外には手を出さないと思っていたのですが、実際は首都を目指し侵略を続けています。


 ロシアはロシア国民の命を核戦争のテーブルに乗せて侵略を決断したと推測します。

 アメリカは自国民の命を核戦争のテーブルに乗せないために派兵しなかったと推測します。

 

 抑止力は自国民の命を守るための力であると考えるならば、自国民の命を危険に晒す行為をするはずがない、という常識が通用しなかった結果だと考えています。


 つまり、自国民の命を軽んじる国に対して、抑止力は無意味だと示された戦争だと考えます。


 仮にウクライナが核兵器を持っていたとして、ウクライナがロシアに報復ミサイルを打つようなことになれば、ウクライナは何倍もの核兵器によって焼かれることでしょう。それを避けるためには、やはり核兵器は使えない。アメリカが使わないように、ウクライナであっても使えない。使えるのは、自国民の命を失うリスクを恐れない国だけです。


 本当の抑止力は友好関係によって作れます。

 アメリカの核搭載可能な船や航空機が日本に入っても日本の脅威になりません。アメリカからの侵略がないと信じる友好関係があるからです。


 敵対行動は敵の武器を自らに向けさせ、抑止力とは反対方向に力が働きます。


 北朝鮮の行動が好例です。核武装を目指す北朝鮮が向かう未来が明るくなったと思う人は少ないでしょう。核を放棄し武装解除し国際社会と協調する北朝鮮となることを望んでいるでしょう。それが北朝鮮にとってのより良い未来であると考えているでしょう。

 抑止力と信じている軍事力が未来を暗くしている、軍事的危機を煽っている、でも軍事力を抑止力と信じている。それが誤りであると認められない。それが北朝鮮の今の姿だと思います。


 相手が今のロシアであれば、どの国も軍事的抑止力は0であると言えます。もちろん、ロシアにとっての戦力は自国民の命を大事にする国に対する抑止力となっています。同じ世界最大級の戦力を持ちながら、抑止力の働き方が全く違います。



 簡単に友好国となれなくても、経済依存をさせることで抑止力とすることは可能です。

 中国はすでのその手で安全保障関係を構築しつつあります。良いところはマネをすべきです。


 例えば、ロシアにしても天然ガスや石油を欧州に依存させていることが、ウクライナを侵略しても手を出さないだろうという読みの一部にあったと思います。現実にロシアを完全に切り離すと困る欧州の国は少なくありません。

 もちろん、日本も無傷ではありません。


 仮に今回の侵略国がロシアではなく中国であったとしたら、経済制裁をどこまでかけられたのか疑問です。日本と中国は経済的な繋がりが強く、仮に中国との輸出入が止まれば日本の経済は大混乱となります。アメリカも中国を切り離すのは難しい。

 つまり、中国が台湾周辺に軍を展開して台湾政府に中国の一部であると認めないなら軍事侵攻すると宣言した時、アメリカも日本もどこまで強い措置がとれるか疑問です。

 もちろん、いくら軍事力を展開しても同じ。

 世界大戦を避けるためにアメリカ軍は動けない。

 それがロシアによって明らかにされてしまった。


 日本が抑止力を持つためには、中国やロシアに依存している分野を切り離し、依存させる関係を構築することです。技術の流出を避け、日本ブランドを磨き上げ、日本なしには得られない利益構造を提供することです。

 敵基地攻撃能力を持ったところで脅しにしか使えず、自国民の命が軽い国家にとって抑止力とならないことを今回の侵略が示したと理解する必要があると思います。

初めて連載の形で投稿します。

異論反論あるとは思いますが、私がこの戦争から見ようとしている未来が伝わればいいなと思います。

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