聴けなくなった着うた
エッセイ『繋がるかもしれない携帯電話番号』に繋がる詩です。
大好きな曲だった
だから、大好きなあの人だけの着うたにした
あの人からの着信だと、すぐにわかるように
あの人がいなくなった
あの曲も
いつの間にか生活の中から消えていた
聴かないのか
聴けなくなったのか
その両方か
時が流れた
ときどき、ほんの少しだけ
あの曲を聴くようになった
ほんとうに少しだけ
やっぱり大好きな曲だから
あの人がいなくなった
同じ月、同じ日がもうすぐやってくる
月日は同じなのに
年だけが、毎年進んでる
きっと、また
しばらくあの曲は聴かない