シンデレラ大作戦!
フユ「ハル来ないなぁ…ハチ公前に18時って言ってたのに…
いつも5分前には来るのに、珍しい
なんかあったのかなぁ」
アキヒト「ね、ねぇ、そこの君…かわいいねぇ…(デュフッ)おじさんと、お、お茶でもどうかな…?」
フユ「はぁ?キモイんだけど
無理に決まってんじゃん
あっちいってよ!」
アキヒト「そんなこと言わないでよぉ…
さっきから見てたけど、き、君もうずっとここにいるし…暇なんでしょぉ?」
フユ「違うし!待ち合わせしてんの!
ちょっ…こっち来ないでよ!」
カランッ(キーホルダーが落ちた音)
アキヒト「いいじゃないかぁ…おじさんとデートしようよ…(バキッ)…ん?なんか踏んだ…」
フユ「ぁ…ぁぁあああ!!!
あたしのナツキくんアクキーが!!
おじさんなんてことしてくれてんの!?
これは2018年のデビュー当時のグッズでもうネットでもなかなか買えないものなのに!
ぁぁあ…どうしよう…!ごめんねナツキくん…あたしと一緒にお出かけしてたばっかりに…!
こんなキモイおじさんに踏まれるなんて辛いよね…!ごめんね…(泣き出す)」
アキヒト「えっ…えぇ…
踏まれて困るものなら落とさないでよぉ…(ボソッ)
(咳払い)な、泣かないで…?僕が悪い人みたいになってるじゃないか…!」
フユ「うるさいっ!そもそもおじさんがナンパしてこなきゃ落とさなかったもんっ!
女子高生に声掛けてデートしようとか言ってる時点で悪い人でしょっ!?
ううぅ…あたしのナツキくんがキモいおじさんに汚されちゃった…!」
アキヒト「な、なんかその言い方は誤解を招くんじゃないかなぁ…?
ごめんって…たかがアイドルのキーホルダーでしょぉ?」
フユ「たかがアイドル…!?あんた馬鹿じゃないの!?
あたしにとってナツキくんはかみさまみたいでかわいくて、かっこいい王子さまなの!
あたしナツキくん推すために生きてるんだからっ!人の大事なもの壊しといてその上バカにするなんてサイテー!」
バシャッ(フユがアキヒトに持っていた缶ジュースをかける)
フユ「あっ…ご、ごめ…」
アキヒト「なっ!?な、なんてことを…!
これはハルたんが初めて単独ライブを開催した時のライブTなのに!
ぼ、僕の一張羅だったのにぃ…!
ううぅ…!もう、ゆ、ゆるさないぞ!」
フユ「ぁ、あんたがナツキくんに酷いことしたのが悪いんだからっ!
あんたにも推しがいる癖にグッズの大切さもわかんないわけ!?
ハルたん?だってあんたみたいな人に推されたくないわよ!」
「ハ、ハルたんはそんなんじゃないっ!
どんなファンだって微笑んで受け入れてくれる、て、天使のような方なんだ!
それに、『推し』なんて言葉で地下アイドルなんかと一緒にするなっ!
ハルたんは新進気鋭の女性声優さんなんだからっ!」
フユ「地下アイドルなんかですって!
バカにしないでよっ!
って…痛っ離してよ!やだ!触んないで!!」
ハル「ごめんフユ、遅れちゃって…
って、えっ!?ぁ、あなた何してるんですか!離しなさいっ!」
アキヒト「ぅ、うるさいっ…って…その声、まさかハルたん!?」
フユ「ハルたんって…ハルのことだったの!?
た、確かに声優やってるって聞いたけど…」
ハル「えっ?わ、私のこと知ってるんですか…?」
アキヒト「し、知ってるというか…知り尽くしてると言うか…(デュフッ)
あの…ぼ、僕、あなたのファンなんですよぉ…
デビュー作の『お隣の魔法使い』のルルちゃんの頃から追いかけていて…
あ、握手してくれませんか…?あとアキヒトって呼んで欲しいですぅ…」
ハル「い、いや今日はオフですし…」
フユ「は、ハルになんかしたら許さないんだからっ!」
ナツキ「ちょっとそこの人!何してるんですか!?
二人とも嫌がってるじゃないですか!」
ハル「(うわ、すごいイケメン…ってあれ、この人どこかで…
あっ!わかった!フユの好きなアイドルさんにすごく似てるんだ!)
ねぇフユ、フユの好きな人に似てない?…って…フユ?どうしてしゃがんでるの!?」
フユ(やばいやばいやばい
絶対本人だよ
現場でもこんな近くに行けたことないのに
どうしよう顔がいい、声もいい
オフかな!?変装してるし絶対オフだよね
話しかけたら困らせちゃうよね…?
ぁぁあどうしよう…!)
ナツキ「どうしました!?大丈夫ですか!?」
ハル「フユ?大丈夫!?」
フユ「だ、大丈夫です…ハルも心配してくれてありがとぅ
あ、あの…おじさん!
さっきはごめんなさい…
私っ代わりの服買います!
あっでも…男の人の服って買ったことないからお店とか分からない…どうしよう…」
アキヒト「えっ…か、代わりの服…?
で、でも…」
フユ「(遮る)あの!お兄さん!おじさんの服選ぶの手伝ってくれませんか?」
ナツキ「えっ…俺?まあ今日は1日オフだからいいけど…服がどうとかって…何があったんです?」
ハル「それ私も気になってた!ナンパにしてはアキヒトさん?怒ってるしなんか服濡れてるし…」
アキヒト「な、名前呼んでくれたぁ…!」
フユ「キモ…じゃなくて、えっと…さっき急におじさんに声かけられて…びっくりして事故でおじさんに私の持ってたジュースがかかっちゃったんです」
アキヒト「…ん?じ、事故で?」
フユ「事故で!」
アキヒト「アクキー壊れてキレたという方が正しいのでは…?」
フユ「しっ!」
アキヒト「怖っ」
ナツキ「そういうことだったんですか…
こんな体格のいい男性に迫られたらさぞかし怖かったでしょうね」
フユ「はい…すごい怖くて…(うるうる)」
アキヒト「こ、怖いのは君のキャラ変の方だよ…(ボソッ)」
フユ「なにか?(にっこり)」
ハル「…クリーニング代渡すとかじゃダメなの?」
フユ「ダメなの!ぁっ…だ、だって落ちなかったりしたら申し訳ないじゃない?」
ハル「そういうことかぁ…じゃあどこに買いに行く?」
ナツキ「どうしようか…おじさ…アキヒトさんどこがいいとかありますか?」
アキヒト「ぇっ…渋谷で服なんて買わないからわかんないよぉ…(焦)」
ナツキ「じゃあ…magnetとかどうです?
すぐそこのメンズ服のショップが集まったビルなんですけど」
フユ「そんなのあるんだ…!初めて知った
お兄さんやっぱりすごぉい」
ナツキ「い、いやぁたまたま知ってただけですよ」
アキヒト(な、流れで服を買ってもらうことになったけど…陽キャの街の服屋に行くとか無理じゃない…?
いや、でもハルたんがいるんだ…!
ハルたんとお買い物…これって実質デートって言っていいよね…?
ハルたんに服を選んで貰えたりするのかな…!)
ドキワクなアキヒト(31歳)
ハル「じゃあ行きましょうか!」
ハル「アキヒトさんは、普段どんな服を着られてるんですか?」
アキヒト「えっ…どんな服…?Tシャツとか…ジーパンとか…?」
フユ「…アキヒトさん、もっと似合う服着て髪とか整えたら、今より見栄え良くなると思うけどなぁ」
アキヒト「えっ」
ナツキ「俺もそう思う!ってあ…タメ語すいません」
フユ「大丈夫ですよぉ!
お兄さんの方が年上なんですから私たちにはタメ語で話しちゃっていいと思います」
ナツキ「そう?じゃあタメ語で話しちゃおうかな…ってあれ、俺歳言ったっけ?」
フユ「あっ…えっ、えっと…なんとなく年上っぽいなーと…あはは…」
ハル「お兄さんおとなっぽいですもんねー
おいくつなんですか?…とか聞いちゃっても大丈夫です?」
ナツキ「全然大丈夫ですよー
これから一緒に買い物行くんですし軽く自己紹介でもしときましょうか!
俺、ナツキって言います
歳は23、よろしく!」
ハル「2つ上かぁ…意外と近いですね
私はハル、アキヒトさんのお察しの通り声優やってます!
21歳です、よろしくお願いしますねー」
フユ「私一番年下だぁ…フユです!
18歳です
よろしくお願いしまぁす」
アキヒト「……」
フユ「おじさんは?」
アキヒト「あっ、ぼ、僕もするの…?
えっと、ぁ、名前はアキヒトで…歳は31です…
よろしく…?」
ナツキ「よろしくお願いします!
…あっ、着きましたね
このビルです」
ナツキ「ここは店舗数も多いですし色んな店を回ってみるのがいいと思います」
ハル「じゃあ近くのお店から行ってみましょうか!」
フユ「ハル、意外とノリノリだねぇ
誰かに服選んであげるの好きだもんね
今日もあたしの服選んでもらう予定だったし」
ハル「うんっ!大好き!」
アキヒト「ゔっ…は、ハルたんの声で大好きとか…!供給過多で死んでしまう…!」
フユ「キモ…じゃなくて、アキヒトさんはやっぱカジュアルめな方がいいですか?」
アキヒト「そ、そうだなぁ…普段着てるのとあまり変わらない方が助かる、かなぁ」
ナツキ「じゃあ…あそことかどうです?」
ハル「行ってみましょう!」
アキヒト(好きな人に服を選んで貰えるなんて…幸せすぎる!
僕は今日死ぬんだろうか…?
いや、死んでもいい!今日という幸せな日を堪能してからなら死んだって…!)
フユ「おじさんさ、『推しに服を選んで貰えるなんて…!もう今日死んでもいい!』とか思ったでしょ」
アキヒト「な、なんでわかったの…?君もしかして僕のこと…好きなn」
フユ「なわけないから!
あたしがナツキくんに服選んで貰えたりしたらそう思うだろうなって思っただけだよ
ほら!行くよ!2人もうお店入っちゃったし」
ハル「アキヒトさん!これ着てみて!
優しいアイボリー色のトレーナー!
フユも見て!可愛くない?」
フユ「いーじゃん
シンプルだし使いやすそう」
ナツキ「サイズは…とりあえずLサイズですかね
すいませーん!試着お願いします!」
アキヒト「え"っ…試着するのぉ?」
フユ「当たり前じゃないですか!ほら!店員さん待ってますよ!」
アキヒト「うぅ…でも…」
ハル「アキヒトさん!頑張って☆(少し作った声で)」
アキヒト「うっ!…ぼ、僕頑張る…!」
ナツキ「アキヒトさん遅いね…大丈夫かな?
…アキヒトさーん着れましたー?」
アキヒト「き、着てみたけどぉ…なんか…」
ハル「見せてくださいっ!」
アキヒト「…うぅ…」
シャッ!(試着室のカーテンが開く音)
アキヒト以外「……うーん(ハル)/うわぁ…(フユ)/これは…(ナツキ)」(同時に)
フユ「なんか…パツパツだし…白いトレーナーが黄ばんだみたいな…」
ハル「(遮る)しっ!わ、悪くは、ない…?んですけど…似合う服では、ないかもです、ね…?」
ナツキ「…サ、サイズがあってないみたいですね…すいません(目をそらす)」
アキヒト「…ぬ、脱いでくるね…?」
フユ「アキヒトさんもう脱ぎました?」
アキヒト「あっ…ぬ、脱いだよぉ
待ってね、今出るから…」
フユ「出なくていいですからこの服も着てみてください」
アキヒト「わ、わかった」
アキヒト「ど、どうかなぁ…?さっきよりはマシかなって思うんだけど…」
アキヒト以外「おぉ…(ナツキ)/わあ…!(ハル)
…いいじゃん(フユ)」(同時に)
ナツキ「アキヒトさん色白だから暗い色の方がいいですね!
すごい似合ってますよ…!」
ハル「……(考え込んでいる)」
フユ「…ハル?どしたの」
ハル「よしっ…アキヒトさん!!」
アキヒト「ひゃいっ!?」
ハル「髪!!切りませんか!!!」
アキヒト「えっ…か、髪ですか…?」
ハル「そうです!髪!髪型整えたら絶対かっこよくなりますから!
今よりもっとかっこよくなったアキヒトさん…見てみたいです!」
アキヒト「で、でも…美容院とか行ったことないし…」
ハル「初めてを経験するいい機会じゃないですか!
ほらっ先輩もいますし!ね?」
ナツキ「えっあっ俺!?先輩なんて、そんな大層なもんじゃ…」
ハル「(遮る)どこかいい美容院知ってます?」
ナツキ「お、俺が行ってるとこなら渋谷にありますけど…」
ハル「やっぱり知ってるじゃないですかー!
なんて美容院です?」
ナツキ「Cielってとこです
立花さんって方に切ってもらってます」
ハル「Cielですね?口コミはっと…いいですね!満足度なかなか高いですよ!
どうします?アキヒトさん、ナツキさんの行ってるところで大丈夫ですか?」
アキヒト「あっもう切る事は決定事項なんだねぇ…ま、まあいいと思いますよぉ、他に美容院なんて知らないし」
ハル「じゃあ予約取りますね!アキヒトさん、苗字はなんておっしゃるんですか?」
アキヒト「し、柴崎です…ハルたん意外と強引だなあ(ボソッ)」
ハル「柴崎さんですね、わかりました♪」
フユ「アキヒトさん…諦めた方がいいですよ
こうなったハルはもう誰にも止められませんから」
アキヒト「そ、そっかぁ…」
数分後
ハル「予約!取れました!!
今日の20時からですー
きっと今から移動し始めたらちょうどいいくらいだと思うので行っちゃいましょう♪」
フユ「美容院行くのはいいけどさ…髪型どうするの?」
ハル「そうだねぇ…美容師さんと相談しながら…と思ったけど大まかには決めて行った方がいいよね
アキヒトさんはなんか希望とかありますか?」
アキヒト「も、もうお任せします…」
ハル「わかりました♪
お任せだそうですよ、先輩!」
ナツキ「先輩呼び、どうにかならない…?」
フユ「ハルがそう呼ぶって決めたならもうどうにもならないですよ、ナツキさん(な、名前呼んじゃった…)」
ナツキ「やっぱり?…そんな気がしてたんだよね」
ハル「先輩?聞いてます?」
ナツキ「はは、先輩呼び固定になっちゃった
…ああそれで、アキヒトさんの髪型についてだったよね?
どうしようか
アキヒトさんは髪のセットとか慣れてないだろうから、しっかり乾かせばまとまるような髪型がいいよね」
ハル「うーん…そうですねぇ」
ハル「あ、着いちゃった
セットができる限りいらない髪型とお伝えして
美容師さんと相談ですかねぇ…」
1時間後
アキヒト「ど、どう…?」
フユ「…いいじゃん
今のあんたならお茶してくれる女の子だって、いるんじゃない?」
アキヒト「ふ、フユちゃんは?僕とお茶…してくれ…」
フユ「るわけないでしょ
調子に乗んないでよね」
アキヒト「だっ、だよねぇ…」
ナツキ「いやーそれにしても、アキヒトさん大変身作戦、楽しかったっすねー!
服と髪型とか整えただけでこんなに変わるとは…!」
ハル「本当に楽しかったですー!男の人の服を選んだりするのがこんなに楽しかったとは思わなかったでs(ハルのお腹が鳴る)あっ…」
アキヒト(ハルたんの…お腹の音…!?き、聞いておかなくちゃ…!くっ…録音しとけば良かった…!)
フユ「ふふ…ってその顔…おじさんなんかキモイこと考えてるでしょ
それにしても…なんかお腹すいちゃったね?」
ナツキ「みんなでご飯でも行きます?
そろそろいい時間ですし」
アキヒト「あっ…そ、そうだね…じゃあ僕はこの辺で…」
フユ「はぁ!?『みんなで』って言ったんだから、あんたも行くに決まってるでしょ?
それとも、行きたくないの…?」
ハル「アキヒトさん、もう疲れちゃいましたか?
…そうですよね、私強引に連れ回しちゃったし…」
アキヒト「ちっ、違うよぉ!?普通に僕が『みんな』に含まれてると思ってなかっただけで…
みんなと一緒にいるの、ほ、本当に楽しかったんだ
…一緒にご飯、行ってもいい?」
ハル「もちろんです!!」
ナツキ「行きましょ行きましょ!」
フユ「あたしさっきからそう言ってるもん…き、来たいなら来れば!?」
ナツキ「よーっし!決まりっすね!
どこ行きましょっか?」
ハル「焼肉とかどうでしょう!?」
フユ「相変わらずハルはお肉大好きだねぇ…(笑)
あっあたしはなんでもいいですよー
好き嫌いとかないんで誰かの食べたいものにしてください!」
ナツキ「俺もなんでもいいかなぁ…
じゃあ、今日の主役に決めてもらいましょうか!」
アキヒト「えっ…もしかして、僕…?」
フユ「当たり前でしょ、あんた以外誰がいんのよ」
アキヒト「そ、そっか…!えっと…ぼ、僕も嫌いなものないし、お肉好きだから…焼肉いいなと、思うんだけど…ど、どうかな?」
ナツキ「よしっじゃあ焼肉で!」
フユ「おじさん?…どうしたの?」
アキヒト「なんか…周りの人も、自分の姿さえ違うから…か、感慨深くて
こんな事僕が言うの、ほんとおこがましいかもしれないけど、人ってさ…変われるんだねぇ
自分が変われば…周りだって変わってくれるんだ」
フユ「何急にシリアスに語っちゃってんのよ
…でもまあ、そうね
何かを変えたきゃ、努力と勇気が必要ってことよね」
アキヒト「あ、当たり前のことって言われるかもしれないけど…初めてわかった気がするよ」
(なんだか上手く言えないけど…昨日までの僕より少し、素敵な僕になれた気がする
明日も少し…頑張ってみようかな)
end