表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
囚われのカルマ  作者: 弓月斜
第1章 アンダーグラウンド
2/7

1-2 新たな出会い

3人のスタッフに連れられ、遂にアンダーグラウンドの敷地へ入った。

さすが、巨大組織。地面はきれいな若葉色の芝生に被われ、回りには丁寧にカットされた木々がセンスよく植えられている。ここは汚れた者がいないため、常に平和な時間が流れているようだ。俺がさっきまでいた外の世界とはまるで違う。あそこは、木々は折れ曲がり、燃やされた跡やゴミ、血生臭さで充満している毎日だった。こんな楽園、この世にまだ存在していたのか。なんだか、孤児院の仲間に申し訳ない気持ちになった。

あいつらにも見せてやりたいな。


「レイ様、こちらへお入りください」


「はい、、、って中も豪華ですね!何ですか、この床はっ!げっ、よく見たら何か埋もれていますよ」


煉瓦で出来たなんとも高そうな建物の扉を開けると、下にはツルツルの石でできた床が広がっていた。

けれど、よく見ると貝やら虫のようなものが閉じ込められている。


「ふふふ、この床はここでは珍しい大理石というもので造られているのです」


「だい、りせき?」


「はい。大理石は石灰岩から出来ていて、それは石灰質の殻や骨格を持つ生物の死骸が蓄積して出来たものなのです」


「うわっ!!これが大理石ってやつなんですね!生まれて初めて見ました」


思わず、床に寝そべりすりすりしたい欲望を抑えた。またスタッフに笑われてしまうところだった。

後で1人の時にスベスベしておこう。


「気に入っていただけて何よりです。この床をまっすぐ進むとみなさんのいるルームになりますが、その前に」


「着替えですよね?」


「さようでございます」


確かに今の俺の格好はここでは目立つ。というか不向きだ。それは俺にもわかった。


※※※


「みなさん、こちらは第52回生最後のメンバーであるレイ様です」


着替えが終わり、俺は仲間のいるルームに案内された。そこには、約20名の入隊者が待っていた。

パッと見、男女同じくらいの比率で年齢は下から上までバラバラだ。皆、すでに俺と同じように純白の衣を身に付けている。


「遅くなりました。初めまして、レイ・カーティスです。今日からよろしくお願いします」


「それでは、レイ様これから早速、ペアになって第1試練を始めますので、あちらの子のところへ」


スタッフに連れられ、俺と組むことになる仲間のもとへ行った。


「レイ様はこの子とペアを組んでこれからの試練を受けてもらいます」


「初めまして、レイさん。ハル・リドルです。これからよろしくお願いします」


「こ、こちらこそよろしくお願いします!レイです。ハルさん!」


ハルさんはとても華奢で白っぽい女性だった。そして非常に美人である。白い衣を着ているからより白く見える肌にグレーの瞳。髪の毛は銀髪で肩につくかギリギリのショートでさらさらストレートである。背丈は俺より10㎝くらい低い感じ、165cmほどでやや高めで、スラッとしている。

俺は寝癖でぴょんと跳ねた髪の毛を急いで整えた。くそ、こんな美人さんとペアを組むことになるなら、もっときちっときめて来れば良かった。俺だって、頑張れば平均以上の容姿。だと自分では思っている。


「レイさん、これ。今日の試練の説明資料です」


「ありがとうございます」


ハルさんからもらった資料に目を通していると、スタッフからの説明が始まった。


「さあ、みなさん。全員集まったところで、第52回アンダーグラウンド登用試練を始めたいと思います。ご存知の通り試練は全部で3つあり、一人前の単独任務ができるまで全ての試練に参加して合格し、死神と契約しなければなりません。一日でも早く任務に就けるよう今日から頑張ってください。」


死神。そんなものが本当にいるのだろうか。噂だと死に近づいた者が死神を見ることができるようになるとか。ってことは、この試練で死に直面することってことなのだろうか。急に体がこわばった。


「大丈夫ですか、レイさん。顔色が悪いですが」


「い、いや。大丈夫ですよ。そんな死神が怖いなぁなんて俺は思っていませんし?あはは、、」


「そうですか、、ぼくはちょっと怖いです。死神」


ん、ぼく?、、、、、

死神を恐れるのは当たり前のことだ。まぁ、そうでもしなければあいつらには立ち向かえないのだ。人の命を何とも思っていないような悪魔ども。大切な時間を一瞬で無に変える化け物。その化けの皮を剥がせる唯一の手段、それが死神と組むことなのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ