自分の動画
到頭、、。
「この日が、、
来てしまった。」
"吊妛山"
カメラマン「どうした?
行こうぜ?」
ノリノリのカメラマン。
『まるで、遊園地にでも、行くかの様に、、』
ここは。違う、、
"来ちゃイケナイ"
場所なんだ、、
重い足取りで、一歩ずつ、
確実に。山へと進む、、
山の入り口に差し掛かる途中で、
2人の小さな女の子が居た。
手を繋ぎ。立ち尽くしている。
近所の子供だろうか、、
「こんな所で、、
何で、、」
彼女達は、俺を見つめる。
物珍しいのだろうか、、
明らかに俺を凝視していた。
「こっ、、。こんにちは、、」
視線を紛らわすかの様にした挨拶は、
彼女達を呼んでしまった。
「お兄さん。」
「お兄ちゃん。」
お腹の辺りに頭があり、
彼女達は異様な近さで話しをする。
2人は本当にそっくりだった。
『瓜二つ』
その言葉が合う様に。
同じようなモノが2つある様だった。
双子。なのだろうか、、
容姿の整った。可愛らしい子供。
「どっ、、どうしたんだい、、」
「お兄さん。この間も来たよね?」
「お兄ちゃん。せっかく助かったのに。」
、、?
助かった、、。
何を言っているのだろうか。
俺の頭の中が混乱した。
「お兄さん。」
「お兄ちゃん。」
「どっ、どうしたの、、」
『次は。
死んじゃうよ?』
鳥肌が立った。
重なる声が異様に。
気持ち悪かった。
すると、俺のあるハズの無い。
"紅い鈴の御守り"を、、
彼女は手に持っていた。
「それは、、」
じいちゃんから貰った。
大切な。先祖代々のモノ。
リンリンリンリン。
確か、、。
『影神様』
とか言う神様の、、
じいちゃんが死んでから、、
大切に。仕舞って置いたハズなのに、、
何で。あるんだ、、
何故。持っているんだ、、
俺の、、だよな。
「お兄さん。死んじゃうよ。」
「お兄ちゃん。死んじゃうよ。」
リンリンリンリン。
二人はくるくると周りを回りながら、
まるで。俺に警告をしているかの様に。
「返して。
それ。大切なモノなんだ。」
リンリン。
カメラマン「お~い。
早く撮影しないと。
日が暮れちゃうってばあ!!」
ノイズの混じった。
何人かの重なった声。
「ヤバい。」
そう感じた。
やめよう。
やっぱりイケナイ。
ここは。駄目だ。
鈴が。気になったが、、
後で返して貰えばいいと。
そう、思った。
先ずは、、
アイツを引き摺ってでも。
この山から、、下ろさなきゃ。
「あーあ。。お兄さん。」
「あーあ。。お兄ちゃん。」
『せっかく、助けて貰ったのに、、』
ペキッ。
鈴は割れ、地面に落ちる。
寒気と共に。夕暮れの山を登る。
「どうしてだ、、、」
カメラマンが見付からない。
「何処だ。」
徐々に辺りは暗くなって行った。
ザッ、ザッ、ザツ、、
パキッ、、キキギギギ。
俺の歩く足音と。
木の軋む様な、音。
トン。
誰かに肩を叩かれる。
カメラマン「よっ。
遅いよ、、。
まあ。この方が。
雰囲気出るから良いけどさ。」
「何処行ってたんだよ、、
探したんだぞ。」
息切れがして、心臓が高鳴る。
カメラマン「なかなか来ないからさ。
逆に何してたんだよ笑
いいからさ。
そろそろ始めようぜ?」
「その事何だけどさあ。
、、やめない?」
カメラマン「え。?」
沈黙が続き。時が止まる。
おどける様にカメラマンは話す。
カメラマン「何か。用事でも??」
「いや、、。普通に。。やめよう。」
カメラマン「えっ。。ビビってるの??」
その言葉は馬鹿にするかの様に、
笑いを含んだ話し方だった。
「いいから。やめよう。」
すると、何かが切れてしまったかの様に。
カメラマンは感情的に話し出す。
カメラマン「、、、。
ようやく。ここまで来たじゃん?
彼奴らみたいに。
中途半端に。投げ出すのか!?
また。振り出しに戻るのか??
せっかくここまで来たのに!!
それが。したかった事なのか!!?」
何も言い返せなかった。
全て的を射ていたからだ。
ここまで、、長かった。
ようやく。ここまで来たんだ、、
こいつとだ。
"彼奴ら"じゃなく。
初めからは嫌だ。
これからだ。
まだまだこれから。
彼奴らを見返すんだ。
「そうだ、、。
俺は、
"逃げない!"
ごめんな。」
カメラマン「良いんだ。
気にしないでくれ。
俺も言い過ぎたよ、、
ごめん。
じゃあ、やろうか。」
「うん、、。」
俺達は成功する。
あれは、気のせいだ。
さっきのも、たまたまだ。
大丈夫。
やれる。
カメラマン「回すよ。
どうぞっ、」
「どうもみなさん。
今日から何と!!
"禁足地"シリーズです!!」
こうして、新たなシリーズの始まりと共に、
俺達の"ヲワリの音"は。同時に幕を開けた。
リ゛ンリ゛ン。