メンバー
「何だ、この部屋は、、」
きぃのファンからSNSで連絡が来た。
「あぉさん突然すいません。
きぃさんの様子が変なのですが、、
何かありましたか?心配です、」
「あぉさん!きぃさんが変です!」
「あぉさん。突然すいません。
きぃさんの部屋とか知ってますか?
何か様子が変で。見てもらえますか?」
と言う内容が沢山あった。
きぃやレッドとは"あの件"以来、
全く連絡も取ってなかったし、
チャンネルすらも見る暇も無かった。
俺もようやく軌道に乗り始め、
正直それどころでは無かったのだ。
きぃが心配で無かった訳では無かった。
何せ、"あんな事"があったんだ。
でも、何かあったら連絡するだろ、、
ぐらいに思って居たのだ。
それが"失敗"だった。
管理人室に行き、事情を説明して
鍵を開けて貰った。
玄関を開けて、入った途端、
一番始めに目に入って来たのは
無数のロープだった。
「何だ、これ、、」
異様な光景に、思わず息を飲む。
管理人さん「住まわれている、方は、、?」
管理人さんの声に我に返る。
「きぃ!!」
ドンドンドンドン、、
廊下の先は扉だ。
扉を開け、電気を点ける。
辺りにはいろいろなロープが
不自然に垂れ下がっている。
部屋には誰も居ない。
トイレか、、浴槽!!
ガラッ、、
「居ない、、」
もう、ここしかない、、
恐る恐るもうひとつの部屋を開ける。
中はパソコンの明かりだけ。
電気を点けると、同じ様にロープが。
「居ない、、」
管理人さん「どうでした?」
「はい、、!」
外からの声に返事をすると当時に、
手は手摺りに触れ、
クローゼットを開けると、、
そこには青ざめたきぃの姿が、、
「きぃ!!!」
それからは、いろいろと大変だった。
管理人さんが異変に気付き、入って来て、
状況を理解し、直ぐ様救急車を呼んでくれた。
救急車が着くと、外は野次馬で溢れていて、
きぃと一緒に俺は救急車に乗った。
病院に着くと警察も来ていて、
トントン拍子に事情聴取が始まった。
経緯を話し、携帯を見せて、
自分のアリバイは立証出来たが、
後日。再び署に行く事になり、
解放されると、外は朝になっていた。
ロビーに行くと、心配して来てくれた
仕事明けの管理人さんが居て、
きぃは何とか無事だった事を知る。
俺は緊張から解放され、
更には安心したのか、膝から崩れた。
その後昼頃まで何をしていたのか記憶が無い。
多分、放心状態だったのだと思う。
ようやく周りの音や視界が戻ると、
きぃの病室へと向かった。
中には看護婦さんが居て、
見付かるのが後少しでも遅かったら、
助からなかった事を告げられる。
対処の仕方や手順が良かった事を誉められたが、
やってくれたのは、全部。管理人さんだった。
俺は何も出来なかった。
きぃを心配して、連絡をくれた人達や、
管理人さんのお陰で、きぃは助かった。
赤の他人なのに、、本当に、
管理人さんには頭が上がらない、、
そんな、濃い半日を送り、夕方から、
大手の雑誌の撮影があったが、
状況を話し、仕事を休んだ。
無論。休める様な仕事では無かった。
次に繋がる機会がある仕事だった。
でも、
きぃを放ってはおけなかった。
何を今更、
そう、言われても仕方が無い。
『気付いた時にはもう、既に手遅れ。』
とは言うが、今、当に。自分がそうである。
容態は、直ぐ起きる様なものでも無かったが、
"俺がもっと早く気付いてあげられれば、、"
そんな責任感が今更やって来て、
自分を責める気持ちでいっぱいだった。
これは仲間を見捨てた俺への『罰』だった。
レッドに連絡するも全く繋がらない。
「くそったれ、、」
きぃがこんなんなっちまったのに、
レッドは何してやがんだ、、
沸々と沸き上がる自分への怒りは、
いつしか、レッドへと転換され、
次第に自らの責任は、他人への、
怒りへと変わって行った。