解散
俺はあの時から、ずっと。
"ナニカ"に呼ばれている。
首の痕は消えず、冷やしても、
洗っても、落ちなかった。
あの日から"同じ夢"を見る。
少しずつ、少しずつ、、
その夢が進む夢を見る。
"断片的に見る"
と言ったモノだろうか、
それはまるで、自分がそこに居るかの様に、
自分が体験しているかの様に感じた。
沢山の行列。
皆が項垂れている。
まるで希望を失った様な、、
そんな言葉が似合っている。
俺はひたすら前へ続いて歩く。
帰ってから見た夢はそんなんだった。
きっとまだビビってるのだろう、
そんな風に思って居た。
次の日。
また同じ夢を見た。
行列に並んで居る夢。
だが、今日は昨日の続きを見た。
沢山の行列。
皆が項垂れている。
「こいつらはどうしたんだ、、」
その行為をどうにか理解しようとする。
救いを求め皆は視線の先へと向かう。
あの、"例の場所"へと。
「これは、、あの山か!?」
ゆっくりと足は進んでゆく。
あの時感じた気味の悪さよりも、
その時は何だか、安らぐ感じだった。
夢のせいか、寝ても疲れが取れない。
明らかに体がおかしい。
ネットで調べて、気休め程度に、
盛り塩を部屋の四隅に盛る。
次の日。
繰り返す様にまた最初から始まる。
「またか、、」
日を追う毎に、夢は少しずつ長くなる。
沢山の行列。
皆が項垂れている。
救いを求め皆は視線の先へと向かう。
あの、例の場所へと。
ゆっくりと進んでゆく。
各々手にはロープを持ち、
後ろの方では、
赤子らしき泣き声も聞こえる。
ザッ、ザッ、ザッ、
地面を擦る様に、
沢山の足音は響く。
「何をさせたいんだ、、俺に、、」
朝起きて盛り塩を見ると、
全ての塩は変色し、形が崩れていた。
「、何なん、だよ、、」
ゲーム等、身が入る訳も無く、
更新すらしていない。
酒を大量に飲み、頭がフラフラとする。
だが、酒を飲んでも、結局また夢を見た。
沢山の行列。
皆が項垂れている。
「いい加減、、やめてくれ、、」
救いを求め皆は視線の先へと向かう。
あの、例の場所へと。
「何であの山を見る俺は、
こんなにも穏やかな感情なのだろうか、」
ゆっくりと進んでゆく。
各々手にはロープを持ち、
後ろの方では、
赤子らしき泣き声も聞こえる。
ザッ、ザッ、ザッ、
地面を擦る様に、
沢山の足音は響く。
山の入り口では、
御経を唱える坊さんが居る。
あぁ。
楽になれる。
「何が?」
『救われる』
「どうゆう事だ、、」
そう思い、木にロープを縛ると、
俺はロープに首を括る。
「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、、」
全身汗びっしょりで起きると、
心臓の音がバクバクと鳴る。
俺は自害しかけた。
「もう、ずっとこんなんだ、、
俺はどうしちまったんだ、、」
寝るまいと、ゲームをする。
寝たら"オシマイ"だ。
寝たら"必ず"夢を見る。
久しぶりの配信に、心配をする声。
隈が酷いので、サングラスをかけ、
首の痕を隠す様に服を着る。
「大丈夫ですか?」
「久しぶり」
「何かあった?」
「調子悪そう、」
「無理しないで」
コメント欄は優しさで満たされる。
ゲーム実況を終え、SNSを更新する。
「最近よく眠れない。嫌な夢を見る。何度も、何度も、繰り返す夢。日に日に近付くあの山に、、楽になりたいとすら思う、、」
そう、投稿したのを後に、
俺はあの夢の中へと入る。
沢山の行列。
皆が項垂れている。
救いを求め皆は視線の先へと向かう。
あの、例の場所へと。
ゆっくりと進んでゆく。
各々手にはロープを持ち、
後ろの方では、
赤子らしき泣き声も聞こえる。
ザッ、ザッ、ザッ、
地面を擦る様に、
沢山の足音は響く。
山の入り口では、
御経を唱える坊さんが居る。
あぁ。
楽になれる。
『救われる』
そう思い、木にロープを縛ると、
俺はロープに首を括る。
「楽になりたい。」
俺はそう思い、ロープは首を締める。
「グッ、ッ、、、」
声にならない痛みが、苦しみが襲う。
下から引っ張られているかの様に、
重く、苦しく、痛い。
頭が熱くなり、もがけば、もがく程苦しい。
周りの者はただ抵抗もせずに、吊るされていた。
「はっ!」
全身汗びっしょりで、
心臓の音がバクバクと鳴る。
日に日に死へと近付いているのが、
自分でも、もう。分かって来た。
「俺は、もう。助からない、、」
ここ最近、朝はシャワーから始まる。
嫌な汗をかき、ここ2日は異常だ。
冷たい水を浴び、鏡に映る首を見る。
日に日に色が増し、濃くなり、
痛みすら覚える。
夢を見る事が辛くなり、
眠る事に恐れを抱いていたが、
『早くこの悪夢から覚めたい』
そう、思う様になった。
どうすれば、見なくなるか、、
そうだ。
"死ねば良いんだ、、"
ロープを括り付け、
体を委ねる。
「グッ、ッ、、、」
紐が軋む。
あぁ。
楽になれる。
『救われる』
その時、玄関の扉が開く音がした。
「きぃ!!!」
聞き覚えのある様な声。
俺を、探している、、
ギィ、、
光が眩しい。
「、、、、、、」
うっすらと見える顔は誰か、、
俺は苦しみの中で意識を失う、、