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吊妛山  作者: 紀希
5/8

解散



俺はあの時から、ずっと。


"ナニカ"に呼ばれている。



首の痕は消えず、冷やしても、


洗っても、落ちなかった。



あの日から"同じ夢"を見る。


少しずつ、少しずつ、、


その夢が進む夢を見る。



"断片的に見る"


と言ったモノだろうか、



それはまるで、自分がそこに居るかの様に、


自分が体験しているかの様に感じた。



沢山の行列。


皆が項垂れている。


まるで希望を失った様な、、


そんな言葉が似合っている。


俺はひたすら前へ続いて歩く。



帰ってから見た夢はそんなんだった。


きっとまだビビってるのだろう、


そんな風に思って居た。



次の日。


また同じ夢を見た。


行列に並んで居る夢。


だが、今日は昨日の続きを見た。



沢山の行列。


皆が項垂れている。


「こいつらはどうしたんだ、、」


その行為をどうにか理解しようとする。


救いを求め皆は視線の先へと向かう。


あの、"例の場所"へと。


「これは、、あの山か!?」


ゆっくりと足は進んでゆく。


あの時感じた気味の悪さよりも、


その時は何だか、安らぐ感じだった。



夢のせいか、寝ても疲れが取れない。


明らかに体がおかしい。


ネットで調べて、気休め程度に、


盛り塩を部屋の四隅に盛る。



次の日。


繰り返す様にまた最初から始まる。


「またか、、」


日を追う毎に、夢は少しずつ長くなる。



沢山の行列。


皆が項垂れている。


救いを求め皆は視線の先へと向かう。


あの、例の場所へと。


ゆっくりと進んでゆく。


各々手にはロープを持ち、


後ろの方では、


赤子らしき泣き声も聞こえる。


ザッ、ザッ、ザッ、


地面を擦る様に、


沢山の足音は響く。


「何をさせたいんだ、、俺に、、」



朝起きて盛り塩を見ると、


全ての塩は変色し、形が崩れていた。


「、何なん、だよ、、」



ゲーム等、身が入る訳も無く、


更新すらしていない。


酒を大量に飲み、頭がフラフラとする。


だが、酒を飲んでも、結局また夢を見た。



沢山の行列。


皆が項垂れている。


「いい加減、、やめてくれ、、」


救いを求め皆は視線の先へと向かう。


あの、例の場所へと。


「何であの山を見る俺は、


こんなにも穏やかな感情なのだろうか、」


ゆっくりと進んでゆく。


各々手にはロープを持ち、


後ろの方では、


赤子らしき泣き声も聞こえる。


ザッ、ザッ、ザッ、


地面を擦る様に、


沢山の足音は響く。


山の入り口では、


御経を唱える坊さんが居る。


あぁ。


楽になれる。


「何が?」


『救われる』


「どうゆう事だ、、」


そう思い、木にロープを縛ると、


俺はロープに首を括る。


「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、、」



全身汗びっしょりで起きると、


心臓の音がバクバクと鳴る。


俺は自害しかけた。


「もう、ずっとこんなんだ、、


俺はどうしちまったんだ、、」



寝るまいと、ゲームをする。


寝たら"オシマイ"だ。


寝たら"必ず"夢を見る。



久しぶりの配信に、心配をする声。


隈が酷いので、サングラスをかけ、


首の痕を隠す様に服を着る。



「大丈夫ですか?」


「久しぶり」


「何かあった?」


「調子悪そう、」


「無理しないで」



コメント欄は優しさで満たされる。


ゲーム実況を終え、SNSを更新する。



「最近よく眠れない。嫌な夢を見る。何度も、何度も、繰り返す夢。日に日に近付くあの山に、、楽になりたいとすら思う、、」



そう、投稿したのを後に、


俺はあの夢の中へと入る。



沢山の行列。


皆が項垂れている。


救いを求め皆は視線の先へと向かう。


あの、例の場所へと。


ゆっくりと進んでゆく。


各々手にはロープを持ち、


後ろの方では、


赤子らしき泣き声も聞こえる。


ザッ、ザッ、ザッ、


地面を擦る様に、


沢山の足音は響く。


山の入り口では、


御経を唱える坊さんが居る。


あぁ。


楽になれる。


『救われる』


そう思い、木にロープを縛ると、


俺はロープに首を括る。


「楽になりたい。」


俺はそう思い、ロープは首を締める。


「グッ、ッ、、、」


声にならない痛みが、苦しみが襲う。


下から引っ張られているかの様に、


重く、苦しく、痛い。


頭が熱くなり、もがけば、もがく程苦しい。


周りの者はただ抵抗もせずに、吊るされていた。


「はっ!」



全身汗びっしょりで、


心臓の音がバクバクと鳴る。


日に日に死へと近付いているのが、


自分でも、もう。分かって来た。


「俺は、もう。助からない、、」



ここ最近、朝はシャワーから始まる。


嫌な汗をかき、ここ2日は異常だ。


冷たい水を浴び、鏡に映る首を見る。


日に日に色が増し、濃くなり、


痛みすら覚える。



夢を見る事が辛くなり、


眠る事に恐れを抱いていたが、


『早くこの悪夢から覚めたい』


そう、思う様になった。


どうすれば、見なくなるか、、


そうだ。



"死ねば良いんだ、、"



ロープを括り付け、


体を委ねる。


「グッ、ッ、、、」


紐が軋む。


あぁ。


楽になれる。



『救われる』



その時、玄関の扉が開く音がした。


「きぃ!!!」


聞き覚えのある様な声。


俺を、探している、、


ギィ、、



光が眩しい。


「、、、、、、」


うっすらと見える顔は誰か、、



俺は苦しみの中で意識を失う、、

































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