再生数
あの日の帰り。
俺達はあそこが本当に
"ヤバい"
と、改めて知る事になった。
その場所までは遠かった為、
あぉの車で行った。
帰りの車は何だか、
息苦しかったのを覚えている。
あぉ「まあ、、
良かったな。死ななくて、、」
きぃ「冗談でも笑えねえよ、、」
きぃの首にはくっきりと、
ロープの後が痛々しく残って居た。
あぉ「でもまあ、、さ。
結局やれみたいのが良く無かったよな?
良くないぞ?お前。」
あぉはミラー越しに俺を見る。
「?
言ったのは俺じゃねえよ?
お前だろ??」
あぉ「は?
お前だろうに。」
「いやいや、、
『ココマデキタンダカラ
ヤレヨ』
って言ったのはお前だろ?」
皆静まり返った。
とりあえずいつもの俺ん家で、
撮影した動画を見る事にした。
きぃは正直俺と居たく
無かったみたいだったが、
あぉが俺の無実を証明する為に引き留めた。
『ヤレヨ』と言った犯人を見付ける為でもあった。
俺は手を切ったので、処置をして、
きぃに湿布を渡した。
「はい、、」
きぃは受け取ったが、
何も言わなかった。
あぉ「子供じゃねんだから、、」
テレビにカメラを繋げ、その映像を確める。
始まりは山の入り口から始まった。
「どうもー、お久しぶりのあぉでーす」
「最近伸び悩んでいるきぃでーす」
「久しぶりのTRAFFICLIGHTで嬉し涙。
あかじゃなく、レッドで、すぅう!!」
あぉ「今回は、、
何処ですかここ、、」
「ここはですね、、、
の、前に。
今回は最後に重大なお知らせがあります!!」
きぃ「プレゼント、かな??」
あぉ「な、訳、、」
薄暗い暗闇の中、ライトに照らされて、
俺達はいつもの様に話を進める。
だが、山の朽ちた鳥居を潜った以降、
動画内でずっとノイズが走る。
ザザザザ、ザザザ、ザザザ、、
配線を抜き、再び付けるも、
雑音は鳴り止まなかった。
ザザザザ、ザザザザザザザザ
俺達の会話も雑音で聞こえない。
あぉ「なんだ、、これ、、」
きぃはぶるぶると震え始めた。
俺はテレビの音を小さくした。
ザザザザザザザザザザザザ
きぃが俺の袖を掴む。
「なっ、何だよ、、」
きぃ「画面に、3人、、居る、、」
当たり前の様にあぉときぃ。
そして、誰かが映っている。
あぉ「誰だ、、これ、、」
誰かは途中で消えた、、
だが、それが誰なのか、
すぐに嫌でも分かった。
あぉがロープを見つけたシーン。
右側のロープに誰かがぶら下がって居た。
あぉ「うわぁ!!」
きぃはぶるぶると怯えていた。
きぃが居た場所は、
誰かがぶら下がって居た場所だった。
あぉ「待て、、ここだ。」
俺からリモコンを取ると、
音量を上げる。
ザザザザ、、ザザザザ、、ザザザザ
あぉのライトの薄明かりが暗い闇を照らす。
その明かりの先には誰かの足元が照らされて居た。
あぉ「確かに、、呪われそうだな、、」
「何でも、潜ると、死ぬとか」
こんなこと言わなきゃ良かったと、
画面越しに見て、今更ながらに後悔する。
「きぃやってみて」
きぃ「いや、、」
あぉ「じゃあ、、皆でやろうぜ?」
「おう、、」
何も聞こえなかった。
あぉが巻き戻す。
あぉ「確かに、、呪われそうだな、、」
「何でも、潜ると、死ぬとか」
「きぃやってみて」
きぃ「いや、、」
あぉ「じゃあ、、皆でやろうぜ?」
「おう、、」
あぉ「本当だ、、、」
きぃ「一体、、何なんだ、、
あれは、、誰が言ったんだ、、」
その後、あぉとの下りが始まる。
「おぃ!!」
あぉ「うわぁ!!」
「うわぁ!!」
あぉ「ビビった?」
「たちわりいよ、、、」
あぉ「ははは
これ。どうせお前の作り話だろ?」
「ははは」
あぉ「きぃ。
もう、いいよ、、
俺でその下りやっちゃったから。」
あぉ「おい!!」
「何やってんだよ!!」
あぉ「くっ、、」
「硬い、、」
あぉ「どうなってんだ!!」
「切らないと!!」
俺がカッターを探す為に、
バックの方に駆け寄った際、
カメラのアングルがズレた。
カメラは雑音を無くす。
映像には、人の様な影が
沢山。映し出されて居た。
パチッ、、
配線を抜く音がして、
映像が終わった。
あぉがケーブルを抜いた。
きぃはガタガタと歯の音を立てて震えていた。
あぉ「あそこは、、駄目だ、、」
皆怖かったのだろうか、
何の会話も無く、そこで寝た。
こんなにも近くで固まって
皆で寝た事は今までに無かった。
俺は恐怖心もあったが、
確かな何かも感じ取っていた。
それは、浅はかで、安易な、
手応えと呼ばれるものだった。
朝になると解散した。
それ以降、皆とは連絡を取っていない。
俺はチャンネルを作り、
そして、新しくカメラマンと組み、
YouTuberを歩む事にした。
カメラマンとはSNSで知り合い、
カメラマンは俺のファンだった。
撮影は俺のやりたい様に出来るし、
アドバイスも的確だった。
しかし、再生数は稼げなかった。
いろいろやったが、全部駄目だった。
こうして、俺は心霊系に手を出し、
最初の動画でそれなりの数を叩き出した。
『泣くお地蔵様』
は、今や再生数100万。
「よっし!!!」
カメラマンと喜び、それからは心霊が
俺のチャンネルのメインになった。
こうして、俺は今に至る。