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吊妛山  作者: 紀希
1/8

視聴



ある県のある山の話。



昔から"其所"は、


良く無い場所とされた。


あまり普通の人間が



『入るべき場所ではない』



そう、言った場所だった。



「今回は、こちらの心霊スポットに


行きたいと、思いまーす!


OP。OK?」


派手な髪色のYouTuber。


再生数もそこそこで、


中でも心霊企画は大人気だ。


「んー。


もう少し怖そうにすれば?」


そう助言するのはカメラマンである。


「じゃあ、もう1回。



どうも、、私は今。あの有名な、、


えっ、、何か今動いた??


、、気のせいか、、


やべーなここ、、


OK?」


カメラマン「良いと思う。


じゃあ、このまま回すね。」


「了解。


ごめん、一回トイレ。」


カメラマン「了解。


暗いから気を付けて」


「はーいっ、」



最初は3人でやっていた。


だが、再生数が伸びないと、


現実的に厳しいモノもある。


勿論。


いろいろな事で、、



その都度メンバーと揉め、


理想と現実はかなり違った。


過激な内容な程、


視聴者は興味をそそられ、


配信者は理性を失い、


警察沙汰になる者も少なくは無い。



あの日。


それぞれに皆が企画を


出し合うはずだったんだけど、


俺のまともではない、


心霊企画になった。



ぶっちゃけ、あれは、


魔が差していた。


同じ様な企画をやっても、


パクりとか言われるし、


過激過ぎても、配信出来なくなるし、


とか言う、言い訳をしておく。



もしかしたら、"心霊"と言うジャンルが、


その時には、丁度良かったのかも知れない、、



俺達にはそれぞれ


メンバーカラーがあった。


まあ、名前からしてそうだったのだが、、



チャンネルの名前はTRAFFICLIGHT。


信号機と言う意味だ。


クール担当こと、青のあぉ。


元気担当こと、黄色のきぃ。


熱血担当の赤こと、俺。



あぉはイケメンで、


モデルをやっていた。


きぃは童顔で、ゲームが好きで


ゲームチャンネルをしていた。


俺は辛いのとか、そうゆうのを食うみたいな。


自分でも自分のキャラが良く分からない感じだった。



あぉはモデルをやりながら、


俳優とか、役者とかに興味があって、


オーディションを受けながら、


TRAFFICLIGHTをやっていた。


きぃはゲームの大会とかに参加し、


プロゲーマーとして活躍する為、


TRAFFICLIGHTでゲーム実況をずっとしていた。


俺は、、とりあえず楽に稼ぎたかったからで、、


辛いのは苦手だけど、視聴者は、


俺が苦しむ姿を映すと喜ぶから、


TRAFFICLIGHTとして活動していた。



3人の出逢いは、大学だった。


何となく仲良くなって、


何となく一緒になって、、


やりたいことがやれる様に


俺達はTRAFFICLIGHTになった。



だが、夢を追う者は、周りから避けられる。



"異端であるから"


と片付ければ楽だろうか。



夢を追う事には


"必ず"



『結果が伴う』



それは年齢と比例し、


いつまでも夢を見ていると、


世の中では


『ロクデナシ』


扱いされる。



結果が全てであり、成功しなければ、


何もして無いのと同じである。



「普通に働けよ。」


「現実見ろよ?」


「無理だろ」


「就職しろ」


「つまらない。」


「辞めろ。」



沢山の批判の声があった。


でも、諦めたくなかった。



『夢を諦めた者は夢を追うものを蔑む』



それは、



"自分が出来たかも知れなかった未来が。


本当はしたかったハズの事が、


他人が出来てしまう事が怖いから"



であるのだと、俺は勝手に考える。



自分の人生とか、時間とかは、


正直。考えたり、感じたり、、


そうゆうのをよくは分からなかった。



ただ、嫌な事をして、ずっと定年まで働き、


大した楽しい事も無く、意地悪い奴等と、


同じ空間や場所に拘束されるのが嫌だった。



世間から見たら確かに全てがそうかも知れない。


今。あなたが感じている事が全てだ。


けれど、俺はそうは思わなかった。


感じなかった。


ただ、それだけなのだ。



自分の好きな事に時間を使い、


自分と、自分の技術を磨きたい。



方向性は分からないけど、


そうやって生きたかっただけだった。



「どうも、クール担当。あぉ。」


「ゲーム、、いや。元気担当きぃ(笑)」


「リンゴ担当レッドで〰️すぅ、(笑)」


あぉ「いや、キャラ崩壊(笑)」


きぃ「もう、元気担当とか、


正直辛くて(笑)


もう、そんな歳じゃねえし」


「リンゴだよ。俺だけ英語だよ(笑)」



そんな風に、最初は仲良くやっていた。


だが、好きな事は各々がやれたが、


スケジュールが段々と合わなくなっていた。



「来週撮影何時なら大丈夫?」


あぉ「来週は昼間なら大丈夫かな?」


きぃ「来週はちょっと厳しいかな、、」


「了解。」



合わなくても、各々が


自ら撮影した動画があるので、


それを上げればどうにかはなった。



こうして、3人で上げる動画は、


次第に減って来たのだった。



「なあ?たまには3人でやらね?」


あぉ「何やんの?」


「何かないの?」


あぉ「特に、、」


「各々1個ずつ出すとかは?」


きぃ「了」


あぉ「正直、3人で集まる意味。」


「どゆこと?」


あぉ「ぶっちゃけ、俺ら単体でも良くね?」


「解散って事?」


きぃ「まあ、一応。休止。


とかでも良いんじゃない?」


会話を聞いて唖然とした。


確かに、俺の再生数よりも、


2人の再生数のが桁が違う。



2人共、自分で編集出来るし、


個人のサブチャンネルのが、


TRAFFICLIGHTの再生数の


半分以上いっているのだから、



「じゃあ、ラストって事で、、」


あぉ「そうだな。


何か考えとく。」


きぃ「了。」



あっさりと、休止と言う名の、


解散が決まったのであった。

















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