突然
卓球大会の会場から飛ばされ、異世界転移した!
今は王子のお供です!素晴らしい王にするために頑張ります!
ぼちぼち進めます。
気がついたらオレは、卓球ラケット一つ持って荒野に立っていたんだ・・・
「ひゃーー・・・これはもう、あれですか?異世界転移って奴」
ハイハイ、流行りですね。ついにオレに役目が回ってきたと?
宝くじよりも低い確率。
「でもオレ今試合中だったんだけどなーーー?!」
3年夏、最後の大会だったんだぞ!!しかも県大会!!
これが終わったら受験に集中、そして行きたい大学に・・・それもパァ。
「ラケット、しかもユニフォーム、短パンだ!ああ、寒っ!」
荒野は雪がちらほら。冬か!!
「死ぬ、寒さで死ぬ、どっか寒さを防げる所は・・」
オレはとにかく駆け出した。走れば寒く無い!!全力でなくて良い、ジョギング程度。
すると、ああ!オレは運が良い!村?建物が見えるのでそこを目指した。
「あ」
人の死体がゴロゴロあった。腹が広げられて、内臓がデレーンと飛び出してたり、首が飛んで目ん玉がぶっ飛んでたり、スプラッタどころじゃ無い。
絵面ではこなかった吐き気は、臭いで・・きた。
げえげえ吐いて、地面にボトボト落ちて散らばる。
今日あんまり食ってなかったからな、出る量も少ない。試合の日はあまり食わないから。
口の周りのゲロを腕で拭い、水を探す。
日本だったら、どこの水も綺麗だが、ここはヨーロッパ的な所だ。まんまの水は飲めないだろうな。
そう習った。よろよろと彷徨っていると、井戸らしき物を発見。石組みの中を見ると、汲み出し用の木のバケツがあったので、なんとか水を汲み、顔を洗う。口に水が少し入るが、やはり美味しく無い。
硬水って感じだ。
そばにある家の中を覗くと、ここも人が殺されている。
よく漫画、映画、小説・・・色々あるけど、つまり、盗賊にやられたのかな?軍の兵かもしれない。
よく掠奪するシーンとか書かれてるから。
異世界転生って、転生した人のギフトとかで本が読めたり、言葉が通じたりするけど、ここはどうだ?
床に落ちている本を広げると・・・よかったーーー!!読めたーー!!多分言葉も聞き取れる!
だって強引に連れてこられたんだぜ?これくらいのサービスはなくっちゃ!
でも腹減った・・・さっき吐いたし。何かないか?
床に、血がついたパンが落ちていた。
「・・・へ、へへ。黄泉竈食ひ、だな。もう帰れねーかなぁ?」
硬くてパサついたパンをかぶり付く。鉄の味がした。
こういう転移ものは、ステータスって出るじゃないか。さて、オレにも何かあるかな?
小説とかで、生き方はたくさん読んできた。でもオレは何がある?
せっかく来たのにすぐ死ぬとか、ありえん。
出ろ出ろ、念じたらステータス、出た。わあ、初心者用なのかな?
コウイチ サトクラ Lv 1 17歳 異世界人 職業 タンク(盾剣)
タンク?えーと、防御する役だっけ?違った、撹乱とか・まあいいや。で、盾剣とは?
「まさか」
半パン後ろのゴムに指していたラケットを抜き出して、軽く振ってみる。これ?
「盾に小さし剣に短し」
うん。ここはアニメの効果的ビジョンで妄想してみよう・・・
シュッと降ると、透過光でビカーーで、ドカーーーン!!って感じ・・
しゅっとラケットを振った。
ゴオッ、ビカーーー、ドカァ・・・ン
物凄い突風に閃光、そして轟音!目の前の2階建ての家が全壊したのだ。
「は、はぁーーー・・・こりゃすげーわ」
オレは唖然とした。これはすげー。安易には出せませんな、この技。
ピロリン 『レベルが上がりました。レベル3です』
「・・・弱いまま旅をするのもねぇ・・・よし、練習だ」
でもなんで家壊しただけでレベル上がったんだ?
はっ!!
不意に気配に気付き、オレは反射的にラケットを振り被る。
ゴッ。
何かがラケットに当たった!それは矢だった。誰かがオレを狙った!
なるほど、さっきの家には矢を射た奴の仲間がいたんだ!
オレは再度ラケットを構え・・力を込める、ここはイメージ。あ、こっちに来るぞ・・
また矢がこちら目掛けて飛んできた!!
「チキータ!逆チキータ!!」
腕をブンブンと左右に勢いよく振ると、矢はまるで光が鏡に反射するが如く、カキンと音をたてて戻って飛び、人に刺さった。おお、これは跳ね返しに使える技だ・・でもオレ・・
「あっさり人殺してね?」
ピロリン 『レベルが上がりました。レベル5です』
ゲームの様だ。
でもこれはゲームじゃない。現に死体がゴロゴロ転がっている。
オレ、殺して罪悪感が全く湧かない。
これって、人として由々しき事態か?
でも生き延びる。死んでたまるか。
何もわからないうちに、転生の意味が分からないうちに、死にたくない。
『気まぐれだった』
『不可抗力で、特に意味は無い』
こんな回答でも良い。こんなところに飛ばしたんだ、理由くらい知っても良いだろう?
オレはまた現れた敵に、ラケットを構え、力を溜める・・そして、一気に振りかぶった。
知りたがりのオレは、たった一人の攻防を始めたのだった。
話も徐々に増えてます。他の話も読んでちょ。
pixivでも変な絵を描いたり話を書いておるのじゃ。
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