光る石
私の右手は輝き、手を開くとその光の正体は石であった。
「勇者様これはなんですの? 」
「わからない…… 光魔石ではなさそうだけど……
神から授かったみたい」
「私にも触らせていただけませんか? 」
興味津々のミレーヌの手のひらに石を置いてやった。
するとミレーヌは艶めかしい声を出した。
「んっ……すごいです……ひやっ…あんっ… 」
少女の吐息混じりの喘ぎ声が響き渡り、私はバツの悪さと妙な興奮を覚えた。
「はぁっ……はぁっ……私の中の魔力が……ダメっ…… 」
少女は数回痙攣すると光に包まれ私は咄嗟に叫んだ。
「ミレーヌ!? 」
少女を包む光は天を突き抜け、やがて収束し、石の光が方角を指示した。
「これは……いったい……? 」
「はぁっ…… はぁっ…… この石に体内の魔力を暴走させられるところでした……
勇者様はよく平気でいられましたね」
服が乱れ、色っぽい表情のミレーヌのせいでまともに話が入ってこなかった。
「と、とにかくここを出よう」
私はそう提案すると石を取り上げて乱れた服を整えさせ本堂を出た。
本堂を出て二人の元にもどると二人の私を見る目が侮蔑を感じさせた。
「いったい何してたのよ」
イブが私に詰め寄った。
「お前、浮気はともかくイブが居る前で最低だな」
レオに至ってはどこから突っ込んでいいのかわからない。
「二人とも誤解だって! 」
あたふたしながら答える私に二人はより一層疑いの目を強めた。
「そうですよ!あまりにすごかったので変な声でちゃっただけですから! 」
まさかの伏兵に背中を撃たれた気分だった。
「とりあえず落ち着いて話そう。あった事全部話すから。
終わったら四人で話すって約束だったろ?さ、行こうぜ」
私は強引に二人と疲労した様子のミレーヌを大聖堂から出そうとするとイブは冷たい表情で
「触らないで」
と言い、私は少々苛立った。
「誤解だって言ってるだろ。ちゃんと説明するから落ち着いて話せる場所に移動しよう。
そんなに俺の事が信じられないか?」
「信じたいけど…… 今はキツイ」
ぽつりと言ったイブの目には涙が浮かんでいた。
「とにかく行こうか」
レオは空気を読んで私に従った。
私達は無言でコロネイ通りに向かい、適当なカフェで話し合いを始めた。




