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祝勝パーティー【1】

勝利の一報がもたらされたインパ国ではどこも祝勝ムードで一杯だった。

私達は再び首都に呼び出され、あのハゲ男との対面という苦行を強いられた。

イブなどは露骨に嫌な顔をしている。


またも前回の部屋に呼び出され、勲章を授かった。

「やっぱり勇者様とお付きの方は違いますな!あの劣勢をいとも簡単に覆すとは」


ゴルゴンの脂ぎった顔が満面の笑みでくしゃくしゃになる。

「同盟国として当然のことをしたまでです」


「閣下のお役に立てて光栄ですわ」


「平和を望む人々の為に戦ったまでです」


三者三様に適当な返事で返し、本題に入る。


「ヨギ大聖堂のことなのですが……」


「ええ! わかっていますとも! 教会には既に私が話してあります。

ここからヨグまでは半日で行けますが、焦ることはないでしょう。

祝勝パーティーを主催しますので是非参加してくださいよ」


特使として来ている以上無碍には出来ないので受けることにした。

2日後ということでその期間インパに滞在することとなった。

つかのまの休息……と言ったところであろうか。


ゴルゴンの計らいで、宿が用意された。

部屋に入ると記憶に新しい甘い花の香が漂ってきた。

まず広い客間があり、その奥にリビングが。


リビングから分かれるように、3つの寝室とキッチン、バスルームとなっていた。

部屋のいたるところには、見るからに高価な調度品が備え付けられ、寝室には一人で寝るには大きすぎるほどのベッドが3つ。


さらにバスルームの窓からは街が一望でき、夜には夜景を楽しむことができる。


私は国王と初めて謁見したときに用意された部屋を思い出した。



「わー! ベッドふかふか」


「ちょー気持ちいい! てか、俺ら3人なのに寝室とベッド多すぎる」

3人でけたけた笑いながらベッドに転がった。


「しかし、あのおっさん態度変わりすぎだろ」


「仕方ない。実績が無かったんだから。結果で示していくしかない」


「あ、てか魔石一個で来てるじゃん! 」

レオは私の腕をみて言った。


ブレスレットには3つの丸穴があり、私の魔力を吸うことで人造魔石が生成できる。

ブレスレットには黄色くて丸い透き通った玉石が出来ていた。


「最上位魔法使ったし、かなり抑えたからな。

純度も高いと思うよ。5回くらいは使えるんじゃないかな?」

ほれと言ってイブに投げ渡した。



「ありがと…… 」

と言ってイブは自分のポシェットに大事にしまった。


「あれで威力抑えたってどんだけだよ…… 

てか、抑えなきゃ一人で戦争終わったってことか? 」

レオがドン引きしている。


「いや、だって抑えないと俺の手もタタじゃ済まないと思うし。

結構リスキーなんだよ俺の魔法って。

竜の母乳は魔族の血が入ってない生き物には毒って聞くしね。

それで無理やり魔力引き出したから威力は強いけどリスクも伴うのよ」


昔、竜の母乳と呼ばれる特別な場所にある菩提樹の葉に溜まるエキスを飲んで魔王時代の魔力を取り戻した。

だが強すぎる魔法は人間の体では耐え切れないようだ。



下位魔法程度ならなんともないが、それ以上を放つと体にダメージを受けた。

試しに中位の火魔法を唱えると片腕に大やけどを負った。


おそらく最上位となると治癒不可能な程度のダメージを受けるだろう。

尤も、下位魔法で通常最上位魔法とされる程の威力なので最上位魔法を撃つ機会など今までなかったが。


「そのブレスレット自体普通に着けてたら魔力吸いきって装着者は衰弱死する代物だもんな…… 

勇者やばすぎでしょ」


「人を化け物みたいに言うなよ」

実際人外なのは本人が一番良くわかっているのだが。


イブをちらっと見るとイブは疲れからか、眠ってしまっていた。

私達は夕食までそれぞれの寝室で仮眠を取ることにした。

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