森の中にて【3】
森に突如現れた巨大な肉の塊。
尻尾を見る限り巨大な蛇だったようだ。
頭部から腹部にかけて骨や肉が入り混じり元の姿を想像することは出来ない。
思いもよらぬ食糧の供給に森の生物達はじっと私達が立ち去るのを見ている。
青年は金色の髪が血に染まるのを気にも留めず目の前の肉塊から何かを探している。
「レオ何してる?さっさと森を抜けるぞ」
私がそう言うと彼は、待ってと言って肉に突っ込んだ腕を引き抜いた。
「お!あった! 」
そう言うと嬉々として手に持った牙を私に見せた。
「そんなものどうするんだ? 」
私が呆れているとレオは
「一流のアーチャーは自分で毒を集めるもんなのよ」
と言って、牙から滴る液体を瓶に移した。
「それに、こいつの鱗結構いい値段で売れそうだし剥ぐの手伝えよ!
一人10枚も剥げば当分の生活には困らないぜ。
そう言うと私に尻尾の辺りの綺麗な鱗を剥ぐように指示した。
二人で黙々と剥いでいると、馬が走る音が聞こえた。
イブの叫び声が聞こえた。
「二人とも何やってるの!?
レオは血まみれじゃない! 」
「あーこれ俺の血じゃないから大丈夫よ?
ただの戦利品あさり」
ニヤっと笑うと事の顛末を説明した。
イブは鱗の話を聞くと、
「私も手伝う 」
と言って黙々と剥ぎだした。
結局一人20枚ほど剥ぎ取った私達は今晩の宿のために、インパ国を目指し森を駆け抜けた。